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【インタビュー】『BLEAK NIGHT 番人』イ・ジェフン “この経験が無かったら今の自分は存在しない”

ドラマ「シグナル」や映画『建築学概論』『金子文子と朴烈』など、日本でも人気の実力派俳優イ・ジェフンさん。そんな彼が2011年に主演した『BLEAK NIGHT 番人』は、まだ無名に近かった彼の名が一気に世に知れ渡るきっかけとなった作品です。

この『BLEAK NIGHT 番人』がこの度、韓国公開から10年経ち、ようやく日本でも配信がスタート! 配信開始を記念し、イ・ジェフンさんに当時についてお話を伺いしました。  


― イ・ジェフンさんの2011年の主演作『BLEAK NIGHT 番人』が動画配信サービスWATCHA(ウォッチャ)で、ついに日本でも配信されることになりました! 本作は俳優イ・ジェフンの名を世に知らしめた重要な作品です。10年経った今、この作品で得た経験で現在にも活かされていると感じることはなんですか?

イ・ジェフンさん この『BLEAK NIGHT 番人』、そしてユン・ソンヒョン監督を通じて、私は多くのことを学んだと思っています。

まずは俳優としての態度と姿勢です。どの作品に臨むにあたっても自分のすべてを出し切るということ、自分の感情のすべてを注ぐということ、それを相手にしっかりと伝えるということ、それが演技の基本であると学びました。

あとは演技観です。リアリズムを追及し本物のように見せることがいかに大事なことか、そしてリアリティの追求を決して諦めず、努力し続けることを学びました。そして、リアリズムを追求するためにずっと前に進み続ける力を得ることができたと思っています。


イ・ジェフンさん
©COMPANY ON


― とても重要な経験をされたんですね。

イ・ジェフンさん そうですね。ここで学んだことは、『BLEAK NIGHT 番人』以降の全ての作品でも適用させてきました。そのおかげでここまで成長できたと思っていますし、この経験が無かったら今の自分は存在しないと言い切れるほど、大事なことを学ばせていただきましたね。

― 本作で演じられた”ギテ”というキャラクターはとても複雑な心境を抱えた人物です。このキャラクターを演じるときに、工夫や意識していたことはありますか?

イ・ジェフンさん ギテを演じたとき、私自身は27~28歳だったんです。もう大人になっていたんですが、また制服を着て高校生を演じることになったわけです。最初は、自分の高校生時代を思い出しながら演じようと考えていました。

ただ、幼稚なことを言ったり友達にイタズラを仕掛けて見たり、あとは注目を集めたいとか仲間を引き連れてリーダーシップをとってみたいとか、映画の中でギテがまさにそういう存在として登場するわけですが、その高校生特有の感じ。それを果たして27歳の私が制服を着たからといって、自然に消化できるだろうか? ましてや吸ったこともないタバコを不自然な形で吸っているわけですし。上手くできるだろうかと随分心配したんです。しかも、共演者とも親友同士を演じなければいけないのに、初対面で年齢も違う。上手くできるのだろうかと心配しました。

ですが、そういったことを解決してくれたのがユン・ソンヒョン監督でした。監督は撮影に入る前にしょっちゅう出演者たちを集めて色々な話を聞かせてくれたんです。映画の話をたくさんしてくれたり、一緒に映画を見たり。皆が親密になっていく時間をじっくりと時間をかけて作ってくれたので、ギテという人物が私の中にだんだん溶け込んでいったのではないかと思います。


『BLEAK NIGHT 番人』より


― どれぐらい時間をかけてくださったんですか?

イ・ジェフンさん ほぼ2か月間、合宿とまではいいませんが、本当にしょっちゅう一緒にいました。この時間は本当に濃密でしたね。先輩後輩という形ではなく、お互いにタメ口をききながら、完全に壁のない友達で一緒に過ごしました。これが私たちにとってはそれぞれの人物になりきることができる、非常に貴重な時間になったのではないかと思います。

― 初対面で年齢の違う者同士とは思えないほど、映画の中では同級生の親友の雰囲気が自然と感じられましたが、そういった理由があったんですね。

イ・ジェフンさん あと、いま思い出したことなのですが、当時はまだ若かったので人生経験自体が不足していて。経験が無いなかで他人を演じるのは、常に不安との隣り合わせというか。これでいいのだろうか? このやり方で良いんだろうか? そんな自分に対する疑問でいっぱいだったんです。

ところがギテという人物を演じる上では、自信が持てない確信が持てない、その不安な心境がむしろ良いように役柄に投影されたのではないかなと思っています。


『BLEAK NIGHT 番人』より


― どの作品でも素晴らしい演技を見せてくれるイ・ジェフンさんですが、不安を感じながら演じていた時代があったのですね。

イ・ジェフンさん 今はキャリアも積み、どの作品に臨むにあたっても「よし、この役柄はこれで行こう」とある程度確信をもって望んでいます。ただそれと同時に、確信を持ちすぎるのもいかがなものか、と最近は思うんです。当時のように不安のままでいるのも良くありませんが、昔の私が持っていた演技する上での不安や純粋さというものが失われつつあるのではないかと、最近はむしろ反省しているような状況ですね。

― 大切なお話をお伺いさせていただきありがとうございました!

イ・ジェフンさん ありがとうございました!


『BLEAK NIGHT 番人』
動画配信サービスWATCHA(ウォッチャ)にて配信中!
https://watcha.onelink.me/MjBm/30d39705

監督:ユン・ソンヒョン
出演:イ・ジェフン、ソ・ジュニョン、パク・ジョンミンほか

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