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【インタビュー】『偽りの隣人 ある諜報員の告白』イ・ファンギョン監督 “ラストシーンは自分にとってもベスト名シーンのひとつ”

本日9月17日(金)よりシネマート新宿ほか全国で上映がスタートした社会派ヒューマンサスペンス『偽りの隣人 ある諜報員の告白』。1985年、軍事政権下の韓国。国家を揺るがせた男たちの“正義”を描く本作の監督を務めたイ・ファンギョン監督にお話を伺いしました。


   

― イ・ファンギョン監督にとって、『偽りの隣人 ある諜報員の告白』(以下、『偽りの隣人』)のこだわりや重視したことは、どんなところでしょうか?

イ・ファンギョン監督 私は何よりもキャスティングを大切に考えています。温かい心を伝えることができる俳優さん達のアンサンブルを重視しました。


― キャスティングで印象に残っている方はいらっしゃいますか?

イ・ファンギョン監督 前作の『7番房の奇跡』でもご一緒したオ・ダルスさんですが、彼の新しい一面を見せられないかと思い、今回彼をイ・ウィシク役に起用しました。

オ・ダルスさんは、『7番房の奇跡』ではヤクザの役だったのですが、それ以外でも、コミカルな役や誰かを裏切ったり詐欺師だったり、そういう役が多かったと思います。そういうオ・ダルスさんも魅力的なのですが、彼の新しい一面を見せられる役はないだろうかとずっと考えていました。

それで今回、ぜひ彼にこのイ・ウィシクという役を演じてほしいという気持ちが湧き上がってきたんです。彼だったらうまくこなしてくれるだろうという信頼の気持ちもありましたし、監督の意地というか「絶対やってほしい!」と思って。周囲にも私の考えを支持してくれる人が多く、彼にこの役をオファーすることになりました。

― 撮影中の印象的だったエピソードはありますか?

イ・ファンギョン監督 オ・ダルスさんとのエピソードになるのですが、彼はマッコリが大好きなんです。撮影中は1日も欠かさず飲んでいました(笑)。共演者や制作会社の代表と一緒に飲むこともありました。マッコリを飲みながら今日の撮影の反省や、明日の撮影についてたくさん話をしました。

そういう姿を見ていたので、彼の楽しい人柄が映画の中に溶け込んでいると思います。オ・ダルスさん演じるイ・ウィシクはもともとシリアスな役だったのですが、彼は面白い人なので、シリアスな演技であるにも関わらず思わず笑ってしまって(笑)。笑うのを我慢することもありましたね(笑)。

― イ・ファンギョン監督が、本作で監督のお気に入りのシーンはどこですか?

イ・ファンギョン監督 俳優達のアンサンブルが秀でていると思ったのは、私たちの間では「かくれんぼのシーン」と呼んでいるシーンです。ヨム・ヘランさんとキム・ビョンチョルさん、チョ・ヒョンチョルがかくれんぼをするような感じで、片方が隠れると片方が出てくる、またもう片方が出てくるともう片方が隠れる、あのシーンがとても記憶に残っています。実はあのシーンを撮るために、何日も俳優さん達と練習を重ねたんですよ。

あと、ベスト名シーンの一つだと言えるのがラストシーンです。あのラストは、私にとってベストともいえる名シーンの一つだと思っています。


― 最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願い致します。

イ・ファンギョン監督 コロナ禍の中ではありますが、少しでも誰かと一緒に笑って泣いているような気持ちになっていただけたら嬉しいです。この作品を通じて、自分のことを思ってくれる人が隣にいる、頼れる隣人がいるんだということを感じていただき、このコロナ禍を乗り越えていただきたいなと思っています。



『偽りの隣人 ある諜報員の告白』
!本日より!9月17日(金)より、シネマート新宿 ほか全国ロードショー

【STORY】
1985年、国家による弾圧が激しさを増す中、次期大統領選に出馬するため帰国した野党政治家イ・ウィシク(オ・ダルス)は空港に到着するなり国家安全政策部により逮捕され、自宅軟禁を余儀なくされた。諜報機関はウィシクを監視するため、当時左遷されていたものの愛国心だけは人一倍強いユ・デグォン(チョン・ウ)を監視チームのリーダーに抜擢。デグォンは隣家に住み込み、24時間体制の監視任務に就くことになった。機密情報を入手するため盗聴器を仕掛けたデグォンだったが、家族を愛し、国民の平和と平等を真に願うウィシクの声を聞き続けるうちに、上層部に疑問を持ち始める。そんな矢先ウィシクとその家族に命の危険が迫っていたー。

監督:イ・ファンギョン(『7番房の奇跡』)
出演:チョン・ウ(『王の預言書』『善惡の刃』)、オ・ダルス(『国際市場で逢いましょう』)

2020年/韓国/韓国語/130分/シネスコ/5.1ch/原題:이웃사촌 /英題:BEST FRIEND /日本語字幕:安河内真純
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
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