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今夏劇場公開作『日常対話』にホウ・シャオシェンよりコメント到着!日本初上映『One Day いつか』の監督よりコメント到着!

現在開催中の「台湾巨匠傑作選 2021-侯孝賢監督デビュー40 周年記念<ホウ・シャオシェン大特集>」では、監督、出演及びプロデュース作品まで、現在日本で上映可能なホウ・シャオシェン関連作全 22 作品を一挙上映中。

このたび、今夏ポレポレ東中野で劇場公開が決定しているホウ・シャオシェン監督プロデュース作『日常対話』(ホアン・フイチェン監督作)に、ホウ・シャオシェン監督のコメントが到着!

そして、今回が日本初上映となるプロデュース作『One Day いつか』のホウ・チーラン監督から、「台湾巨匠傑作選 2021」にコメントが到着した。近年、若手監督の育成に尽力してきたホウ・シャオシェン監督の姿勢がよく伝わるエピソードだ。


『日常対話』


『日常対話』は、第 67 回ベルリン国際映画祭パノラマ部門デディ賞受賞作品。ホウ・シャオシェン監督はエグゼクティブプロデューサーを務めた家族の傷を癒すドキュメンタリー。

本作の監督ホアン・フイチェン(黃惠偵)は社会活動家で映画監督。2016 年、同性愛者である母親を撮った初の長編ドキュメンタリー映画『日常対話』(原題:日常對話)を発表し、台湾のドキュメンタリー映画としては初めて、ベルリン国際映画祭パノラマ部門でテディ賞を受賞。

ホウ・シャオシェン監督は『日常対話』に、「人生を見据えるシーンは極めて写実的で、心打たれるものがある。誰もが賞賛する力をそこに見出すだろう。」とコメントを寄せた。

ホウ・シャオシェン監督が応援するホアン・フイチェン監督は、社会運動を通してホウ・シャオシェン監督と知り合った。台湾ではホウ監督の社会運動家としての顔もよく知られている。

ホアン監督は、
「ホウ監督の私の映画への最大の助けは信頼とサポートです。彼はプロの映画のトレーニングを受けていない私を信頼して下さり、資金調達がよりスムーズなるだろうからと、自らプロデューサーを買って出てくれました。
ホウ監督は私の仕事に「ホウ・シャオシェン」の名義を喜んで付けてくださったのですが、私にとっては、助けよりもプレッシャーの方が大きいと感じたので、資金調達の際にはホウ監督の名前を使いませんでした。するとホウ監督は私のことを謙虚だと言ってくださいました。」
と話し、作品についてホウ監督が口を出すことはほとんどなく、「自分の感情は自分で処理すること」とだけホアン監督にアドバイスしたという。

『One Day いつか』は、第 60 回ベルリン国際映画祭フォーラム正式出品作品。『狼が羊に恋をするとき』(12)『四十年』(16)などで知られるホウ・チーラン監督(侯季然)監督による幻想的でロマンティックなラブストーリー。


『One Day いつか』

ホウ・チーラン監督は、
「私がホウ・シャオシェン監督と出会ったのは 2003 年のことです。私の初監督作品が台北映画祭で賞を獲り、作品をご覧になったホウ監督が、当時、ホウ・シャオシェン監督の会社で進行していた企画の監督をして欲しいと言ってくださいました。

ホウ・シャオシェン監督は折に触れ、私の仕事の進捗を気に掛けてくれました。ただ、直接的に「どのように撮るべきか」を指導することはなく、その代わり、生活上のアドバイスをいくつもくれました。例えば「車を運転してはいけない」、ということ。「道を歩き、公共交通機関を利用することで、社会の本当の姿が見えてくる」というのです。

そして私の心に深く刻み込まれているのは、創作に関して常々ホウ・シャオシェン監督がおっしゃっていた言葉です。「作品が完成するまでは、他人に見せてはいけないよ」 そのドキュメンタリー映画は無事完成しました。そして、その後も常に私の仕事の状況に関心を向けて下さいました。

それから何年も経ち、私は初めての長編劇映画『One Day いつか』を撮りました。ホウ・シャオシェン監督はこの作品の製作総指揮を買って出て下さいました。『One Day いつか』はデジタルで撮影したものを 35 ㎜フィルムにプリントして上映しました。

『One Day いつか』をご覧になったホウ・シャオシェン監督は見終わった後に新しいアイディアが浮かんだと言い、私を会社に呼んでくださいました。私たちは作品を再度編集し、それからふたたびプリントし直しました。そんなホウ監督に、作品に対してストイックな、真の芸術家の姿を見ました。作品に完成はないのです」
とコメントを寄せた。


『日常対話』
監督:ホアン・フイチェン
2016 年/89 分/台湾
配給:台湾映画同好会

★第 67 回ベルリン国際映画祭パノラマ部門テディ賞(ドキュメンタリー映画部門)受賞
★第 19 回台北映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞
★第 90 回アカデミー賞外国語映画賞 台湾代表作品

ひとつ屋根の下、赤の他人のように暮らす母と私。母の作る料理以外に、私たちには何の接点もない。ある日私は勇気を振り絞り、母と対話することにした。ビデオカメラはパンドラの箱をこじ開け、同性愛者である母の思いを記録する。そして私も過去と向き合い、心に秘めた思いを、母に伝える…。巨匠ホウ・シャオシェンがエグゼクティブプロデューサーを務め、ホウ作品をはじめ中華圏の名だたる映像作家に音楽を提供しているリン・チャンが音楽を担当した、家族の傷を癒すドキュメンタリー。


『One Day いつか』
監督:ホウ・チーラン
2010 年/93 分/台湾 日本初上映/特別上映
出演:シエ・シンイン、チャン・シューハオ

★第 60 回ベルリン国際映画祭フォーラム正式出品

高雄と金門島を結ぶフェリーで働くシンインは、忽然と人が消えてしまった深夜の船内で若い兵士アツォンと出会う。シンインはアツォンから「これは夢の中だ」と告げられ…。夢と現実、記憶と時間が織りなす、幻想的なロマンチック・ラブストーリー。主演は後に『黒衣の刺客』でフージィ(瑚姫)を演じるシエ・シンインと、本作で映画初主演を果たしたチャン・シューハオ。

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台湾巨匠傑作選 2021―侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督デビュー40周年記念

4月17日(土)~6月11日(金)より新宿 K’s cinema 他順次ロードショー!

<ホウ・シャオシェン大特集>


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新宿K‘s cinema は 1000 平方メートル以下のため、感染防止対策を充分に行なった上で平常通り上 映します。詳細は公式サイトまで。

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