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「男装女子」は当時の流行だった?!|中国時代劇トリビア#7

時代劇を観ていると、身分を偽ったり、人目をはばかる場面で、女性が男装する姿が登場します。

ドラマ「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」でも、飛鸞が李玉渓と運命的な出会いを果たす場面で、飛鸞はカワイイ男装姿でした。私たちから見ると、かなりバレバレな気もしてしまうこの男装という手段ですが、実は、唐代ではこの男装をすることが女性たちのファッショントレンドでもあったのです!今回はこうした男装を始めとする唐代に流行った不思議なトレンドについてご紹介していきます。

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」場面写真1

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」より©天津唐人影視股份有限公司 ©Chinese Entertainment Tianjin Ltd.

女子が男子の服を着用して男性の身なりをすることは、唐代の服装の一つの特徴でした。

女子が男装をしている姿は、敦煌の壁画を始めとする絵画資料として残され、書物の中にもその様相について記されています。皇帝の前で歌や踊りを披露する際に、武官の装束を身につけていたり、また、『新唐書・李右伝』には「宮廷には金鳥の錦の袍が二着あると聞いたが、それは昔、玄宗が楊貴妃と温泉に行ったときに、楊貴妃に着せたものだ」という記述もあるそうです。二人は温泉でペアルックを楽しんだのでしょうか...。

ともあれ、この時代は男女の服に差があまりなく、女子が男装を楽しんでいたことが分かります。これは貴族に限ったことではなく、庶民の間でも、男子の服・靴・短い衣を着用した女子があるという記述も残されており、その風潮は開元天宝年間(713~756年)に盛んだったそうです。こうした風潮は、唐代の女子に対する束縛が他の封建的王朝より少なかったことを示しているそうで、美・トレンドに関してはかなり自由な気風が許容されていたようです。

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」場面写真2

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」より©天津唐人影視股份有限公司 ©Chinese Entertainment Tianjin Ltd.

この自由さは、メイクにも表れています。唐代メイクというと、軽風、飛鸞、秋妃などがしているおでこにキレイなお花のマーク「花鈿」を貼り付けるスタイルや、ほほに赤いえくぼのような点々をつけるスタイルが思い浮かぶかと思います。

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」場面写真3

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」より©天津唐人影視股份有限公司 ©Chinese Entertainment Tianjin Ltd.

こうしたキュートさとは真逆をいく、いうなればガングロメイクならぬ「黒口メイク」もアバンギャルドな女子に受け入れられたそうです。この奇抜な黒口メイクとは、おしろいは一切つけず、眉毛は八の字下がりにして、ただ唇に真っ黒なあぶらを塗り付けるというもの。このメイク、男性ウケはどうかというと、かの詩人、八居易が「世の流行は、ひどいもの」と思わず嘆く風変りな様子だったとか...。

こうしたヘンなものが唐代で流行るのは、すでに唐代の様式美が頂点を極め、新たな珍しい刺激を求めた結果なのだそう。どこか現代のトレンドの動きにも似ていて面白いですね!

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」場面写真4

「皇帝と私の秘密~櫃中美人~」より©天津唐人影視股份有限公司 ©Chinese Entertainment Tianjin Ltd.

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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<参考文献>
白帝社 華梅著 施潔民訳 『中国服装史―五千年の歴史を検証する―』
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