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【インタビュー】「月に咲く花の如く」スン・リー #1「自分の心と周瑩の心がすごく近い」

2017年中国時代劇ドラマ視聴率No.1を獲得し、社会現象となった大ヒットラブ史劇超大作「月に咲く花の如く」。本作で、激動の時代の中で実業家へと成長していくヒロイン周瑩を演じたスン・リーさんに本作についてお話を聞きました。

\スン・リーさんのプロフィールはこちら/



©HS Entertainment Group Incorporated

― この作品はディン・ヘイ監督からの熱心な働きかけで出演を決められたそうですが、お引き受けになった決め手は何でしょうか?

スン・リーさん(以下、スン・リー) 実は「玉観音(※)」と「月に咲く花の如く」の間にも、ディン・ヘイ監督からのお声掛けが何回もありましたが、私は、もう一度一緒にやる作品は、2人とも何年経っても懐かしくなる作品でなければいけないと考えていました。監督もこの考えに同意しました。そして「月に咲く花の如く」の脚本を見た時、この作品はそういう作品になると思いました。

私はディン・ヘイ監督のことをある程度分かっているつもりです。彼は人物の感情を把握することを重視しています。私も最初に周瑩というキャラクターを知ったときから想像がとても膨らみ、周瑩を演じたい気持ちでいっぱいになりました。こういう気持ちが大事だし、それが私がこの作品を引き受けた大きな要因でもあります。

俳優陣はもちろん、制作チームを見ても、美術、撮影チーム、照明担当、全員監督が入念に選んだ方々でしたし、皆この作品に専念しているから、この作品はすごくプロ精神がつまっていると思います。

※「玉観音」:2003年のテレビドラマ。ディン・ヘイが監督を務め、スン・リーとピーター・ホーが共演した。

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― スン・リーさんから見た周瑩はどのような人物ですか?

スン・リー まず私は「周瑩」という人が好きです。ドラマのキャラクターを演じるのは、現実でその人物に出会ったとき、その人と友達になりたいかどうかと同じだと私は思います。私は周瑩のことを知りたいし、彼女と仲良くなりたいと思いました。ドラマの舞台は清朝ですが、彼女は現代女性とも言えると思います。彼女の色んな考えや行動が、私にとってサプライズで、私がこれまで演じたことのないキャラクターでした。

それと同時に、彼女は様々ないい考えを持っているけど、完璧、優秀とは言えません。彼女にも色んな欠点があります。ですが、こういった完璧ではないところが、彼女を空想の人物ではなく、リアルな人物にしているのだと思います。完璧じゃないところがあるから、私は彼女のことが好きになりました。そして彼女の性格は大らかな部分があるから、自分のちょっとした欠点も気にしないのだと思います。


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― 周瑩を演じながら、彼女に深く共感したところはありましたか?

スン・リー 脚本を読んだ時に一番感動したのは、周瑩はいつも人前で何でも話すし明るくて楽しそうに振舞うけれど、部屋に戻るといつも寂しそうにしている部分です。

脚本には感情までは指示してありませんが、実際にその場所でその周瑩を演じた時に、彼女のことを考えると胸が痛くなり、自然に感情が出ることが何度もありました。

例えば呉漪が結婚したシーン。私(周瑩)が遠いところを見ながら爆竹の音を聞き、呉漪は今ごろ花轎に乗っているのかなと思いながら、自分が結婚した日を思い出します。夫である呉聘(ピーター・ホー扮)はもうだいぶ前に亡くなっていましたが、演じながら本当にパッとその日を思い出したんです。元々このシーンはセリフを読んだだけでも悲しかったですね。

このシーンは実は、本読みの時にもたもたしていると思われたのでセリフをいっぱい削除することになり、監督もこのシーンは簡単に撮ろうと考えていました。でもいざ撮影の日、最初のカットの後姿を監督が「雰囲気がいい」と言い、このシーンを最初から最後まで全部演じることにしようと私に指示をしたんです。全然準備をしていなかったのですが、それでもあのシーンは演じることができました。自分の心と周瑩の心がすごく近いと感じました。

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― 周瑩を演じるにあたり、役作りはどのようにされましたか?ドラマの序盤部分は、周瑩の奔放な性格を表すような荒っぽい振る舞いが多いですが、そういった振る舞いの数々は最初から脚本に指示があったのでしょうか?

スン・リー 監督は「周瑩は江湖出身だから熟語とか難しい言葉を使わずに、一番簡単で分かりやすい言葉で話す」と、いつも強調していました。だから、「もし脚本に彼女っぽくない言葉があれば、ぜひ言ってください」とも。周瑩のいろいろな動作は、私と監督が一緒に創っていったものです。

また、演じている中で自然に出てきた動作も結構あります。演じている私自身も面白いと思いました。例えば、急須の口から直接お茶を飲むと、必ずお茶がこぼれてしまう。監督も、あれは私がわざとそうしたと思っていたらしいのですが、実は私も何故そうなるのかよく分からなかったんです。急須でお茶を飲むたびに、毎回お茶がこぼれて流れていました。

あと関羽の像に叩頭するシーン。脚本では、呉家の大当主が周瑩に「叩頭しなさい」という指示を出し、周瑩は「関羽の像に叩頭する」する、とありました。でも私が実際に現場で演じてみると違和感がありました。監督に「なんか違う。周瑩はどうして大当主が言っているのは関羽像のことだと分かったの?普通だと大当主に叩頭すると思うんじゃない?」と言いました。そして撮影で実際に、私は(大当主を演じた)チャン・チェングァンさんに叩頭しました。チャン・チェングァンさんも私が投げたボールをキャッチし、「俺にじゃなくて、関羽像に!」と反応してくれた。すごく面白かったです。現場ではこういう即興芝居が結構あって、楽しかったです。

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あと私は本作のために、急須を三つ作ったんです。普通はお茶を飲む時、湯呑みを使いますが、彼女は直接急須から直接飲みますよね。実は段階によって、急須も違うものを使っています。私がお茶と急須の専門家に相談し、清朝末期の急須の形で三つの急須を作ってもらったんです。西安の友人に「西安の女の子はどういう感じなの?」と聞き、急須のことを最初まだ誰にも話していない段階でしたが、お茶を飲むシーンと場面写真を友人に送ったら、おばあさんのことを思い出したと言われました。ドラマで鼻をかんだら足裏で拭く動作は、じつは西安の友人からもらったアドバイスです。


<第2回「沈星移を演じてみたい」へつづきます>

「月に咲く花の如く」


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