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<シネマートで今やってます。Vol.20>チャン・ヒョクが悪役に挑戦!『ありふれた悪事』

こんにちは。エスピーオー宣伝スタッフYです。
前回のレビューから時間が空いてしまいましたが、久々に現在シネマートにて公開中の映画のレビューをお届け致します。今回はシネマート新宿、シネマート心斎橋にて好評公開中の『ありふれた悪事』です。




かなり骨太なこの作品、1987年という韓国が激しく揺れ動く時代に起きた、そこらじゅうにあったのかもと思われるある"悪事"に巻き込まれた普通の人について描いています。

この映画の主な中心人物は、
多少荒っぽいけど正義感があり、家族のために少し信念を曲げてしまうこともある平凡な刑事、
そして冷徹に国民を欺いていく政治工作をする国家安全企画部(現在の国家情報院)の室長、
普通の人だからこそ、おかしいことをおかしいと言い、正しいことを国民に伝えたいと思う記者、
この3人になります。




国民の政治に対する反発が強くなっていたこの時代、そんな国民感情をそらすため、別件で逮捕された人物を連続殺人事件の犯人に仕立て上げるなど、いろいろな政治工作をするチャン・ヒョク演じるギュナム。

彼の思惑を知らずに、その手助けをすることになっていくソン・ヒョンジュ演じる刑事ソンジン。

そしてその捏造の事実に気づき、真実を明かそうとするキム・サンホ演じる記者ジェジン。




映画が後半になればなるほど主人公の刑事ソンジンの感情は変化していきます。捏造に気づいても家族のために一度は曲げた信念。親友でもあるジェジンとのやり取りで少しずつ変わっていく感情の流れがすごく伝わってきて、胸が熱くなるシーンも。

悪役から善人の役まで本当に演技の幅が広すぎるソン・ヒョンジュ。だからこそ、今回の正しいだけではない"普通の人"である部分が、リアルで、そして共感できるキャラクターになったのかもしれません。




この作品で、一番熱く、そして正義感の強かったのはキム・サンホ演じるジェジンだと思いますが、彼のこんなに熱い、熱血漢ぶりは新鮮でした。

最近どちらかというとちょっとずる賢い癖のある役柄が多く、見る度に何かたくらんでいるのでは?と思わせるニヤリとする独特な笑顔も、今回は違った印象に感じられました。




ソン・ヒョンジュもですが、彼もカツラでこの当時の古い感じを出していたのだと思いますが、いつものもじゃもじゃの薄くなった頭を考えると、意外と自然に見えたフサフサの髪の毛がちょっとツボでした。

正義感の強い愛すべきキャラクターであったからこそ、自分のことを"普通の人"だと言った彼の言葉も生きてくるように思えました。当時の社会情勢など、リアルに考えるとソンジンのような人が"普通"かもしれません。

でも、正しいことを正しいと言える今だからこそ、ジェジンのような人が"普通"であるべきだと思います。




もうひとりの中心人物、悪役ギュナムですが、私はソンジンやジェジンよりも注目して観てしまいました。

韓国ではちょうど同時期にドラマ「ボイス~112の奇跡~」でギュナムとは正反対の正義感の強い熱い刑事役を演じ、視聴率も高く好評だったこともあり、二つの役柄を比較したインタビューなどが多かったようです。




これまで正義感の強い善人の役柄が多くその印象の強いチャン・ヒョクが、一転して冷徹で淡々と"悪事"を繰り返していく悪役を演じるということで、その違いも意識して観てしまいました。

驚いたことに、これまで悪役をやっていなかったのが不思議なほど、その冷たさ、感情のなさ、観ているうちに大嫌いになってしまいそうなくらいムカつく悪役っぷりで、「ボイス~」の刑事ジニョクとは同じ人とは思えなかったほどです。



「ボイス~112の奇跡~」


余談ですが、『ありふれた悪事』でキム・サンホ演じる記者ジェジンの後輩カメラマン役を演じていたオ・ヨンア。実は「ボイス~112の奇跡~」ではチャン・ヒョク演じる刑事ジニョクの妻を演じていて、彼女が残虐な殺人犯に殺されてしまうところからドラマは始まります。

2人ともまったく異なる役柄なのと、演技力が素晴らしいので最初はまったく気付きませんでした。




「ボイス~112の奇跡~」



本題に戻り、アクションの素晴らしさが魅力のひとつと言われてきたチャン・ヒョクですが、最近は医者や悪役などこれまで演じてこなかった様々な役柄を見事に演じ分けて、作品ごとに演技力への評価も高くなってきています。

この作品ではそんな演技派チャン・ヒョクの凄さをまた魅せてくれました。

彼は、ギュナムをその時代が作り出した一つのシステムであるから、乾いたゆっくりとした口調で必要な言葉だけ投げかける演技をしたと話しています。

チャン・ヒョクが淡々と演じているからこそ、際立つその社会の闇が強く印象に残っているのかもしれません。元々大好きな俳優ではありましたが、この映画でのチャン・ヒョクを観て、彼が今後どういう姿を魅せてくれるのかさらに期待する気持ちが膨らみました。



私はチャン・ヒョクばかりに注目してしまいましたが、韓国映画らしい骨太で考えさせられるテーマだけど、どこかにエンターテインメント感を盛り込んでいる『ありふれた悪事』。




観終わった後、誰かと無性に話したくなってしまったので、これからご覧になる方には、お一人ではなく、誰かと一緒に見に行かれることをおすすめします。

もし私みたいに一人で観に行くしかない方は、"『ありふれた悪事』感想"で検索をしてみてはいかがですか?
実は私もしてしまったのですが、けっこう"そうそう、私もおんなじこと思った~"という感想をあげている方がいらして、少しだけ誰かと話せたような気がしました。



ますます寒くなってきているこの年の瀬に、素晴らしい俳優たちの演じたこの映画を映画館に観に行ってみてはいかがでしょうか――


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★映画『ありふれた悪事』はシネマート新宿、シネマート心斎橋で好評公開中。
現在各劇場では、同じくチャン・ヒョク主演のドラマ「ボイス~112の奇跡~」DVD発売&『ありふれた悪事』公開記念<半券キャンペーン>実施中!
※詳しくはこちら⇒http://www.cinemart.co.jp/article/news/20171207001719.html

チャン・ヒョク主演作品のDVD-BOXなど豪華プレゼントが当たるキャンペーンです。
ぜひ、チャン・ヒョクの魅力にもたっぷり浸ってください!


▽『ありふれた悪事』予告編動画




<CAST>
ソン・ヒョンジュ『リバイバル 妻は二度殺される』「シグナル」
チャン・ヒョク『僕の彼女を紹介します』「ボイス~112の奇跡~」
キム・サンホ『海にかかる霧』
ラ・ミラン『国際市場で逢いましょう』
チョン・マンシク『アシュラ』
オ・ヨンア『アシュラ』「ボイス~112の奇跡~」
チ・スンヒョン「太陽の末裔」
チョ・ダルファン『技術者たち』

<STAFF>
監督:キム・ボンハン/脚本:チョ・サムエル
撮影:キム・ソンチョル『ビッグマッチ』/音楽:チョン・ジノ『技術者たち』

2016/韓国/カラー/121分    配給:クロックワークス
(c)2016 TRINITY ENTERTAINMENT CO., LTD. All Rights Reserved

公式サイト:http://klockworx.com/movie/m-405591/

エスピーオー宣伝スタッフY
韓国映画・韓国ドラマを好きになってから15年以上。
時代劇からラブコメディまでジャンル問わず全般的に観ている。

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