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【きゅんとあじあ】東京フィルメックス ジョニー・トー監督作『華麗上班族』Q&A(動画あり)

フィルメックスで毎回満席になるジョニー・トー(杜琪峰)監督の『華麗上班族』が上映され、脚本のシルビア・チャン(張艾嘉)がQ&Aに登場しました。

シルビア・チャンが脚本、演出を手掛けた舞台劇「華麗上班族之生活與生存」を、自らが映画用に改編し、ジョニー・トーが監督に名乗り出た本作の第一の注目はやはり、シルビア・チャンとチョウ・ユンファ(周潤發)の再共演! 25年前、若かりしふたりが共演し観客の涙を枯れ果てさせた『過ぎゆく時の中で』の監督もジョニー・トーでしたね。

今回は、上場を目指す企業に勤めるやり手社員たちの成功と挫折を、なんとなんと、ミュージカル仕立てで描いています。いや~ビックリだけど、楽しい。確かに舞台劇っぽい演出です。
イーソン・チャン(陳奕迅)は歌手なので別格として、歌に抵抗があったというタン・ウェイ(湯唯)ですが、上手いし可愛いかった。 ユンファは残念ながら歌っていません。

舞台では台湾のジョセフ・チャン(鄭元暢)が演じた新入社員リー・シャン(李想)ですが、映画版ではワン・ズーイー(王紫逸)という俳優さんが演じています。彼がすごく魅力的! 一瞬、ショウ・ルオ(羅志祥)かと思いました。彼は俳優・巍子の息子さんで、ワン・シャオシュアイ(王小師)やジャ・ジャンクー(賈樟柯)の作品に出演しています。今後も要注目です。
彼が繰り返す、「李安(アン・リ-)の李、夢想の想です」という自己紹介が、最後に利いてきます。



本作の魅力はキャストだけではありません。まず音楽を担当したのが、ヒットメーカー、ロー・ダーヨウ(羅大佑)。「何必?」が先の台湾金馬奨の楽曲賞にもノミネートされていました。彼もまた『過ぎゆく時の中で』組ですね。
そして第2の主役といえるのが美術! とにかく凄い! 地下鉄と、そこから直結するエレベーターホール、そしてオフィスや会議室。豪華でもあり、計算しつくされたシンプルさも感じられる見事なセットです。こちらは、お馴染みウィリアム・チャン(張叔平)とヤウ・ワンミン(邱偉明)の手によるもの。金馬奨では、種田陽平が手掛けた『捉妖記』や強敵『黒衣の刺客』を押さえ、最優秀美術賞に輝きました。映画を観たら納得です。

さて、そんな豪華で賑やかな作品ですが、内容はなかなかにシビアです。
生まれつき「持たざる者」がようやく手に入れた繁栄は、欲を出したとたんにその手からこぼれ落ち、結局は生来「持てる者」が王座に君臨し続ける。しかし彼らとて、人生の勝者ではない。
特に、もう若くはない人間の引き際に、思いがけず涙してしまう作品でした。(文:村野奈穂美)


動画は次ページへ



お待たせいたしました。Q&Aの動画はこちらです。






(映像約18分)※映像冒頭に一部乱れがございます。





『華麗上班族』 Office
監督:ジョニー・トー(杜琪峰)
出演:チョウ・ユンファ(周潤發)、シルビア・チャン(張艾嘉)、 イーソン・チャン(陳奕迅)、タン・ウェイ(湯唯)、ワン・ズーイー(王紫逸)、ラン・ユェティン(郎月?)、ティエン・シン(天心)、エディ・チョン(張兆輝)、ティミー・ハン(洪天明)
[2015/118分/中国、香港]

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