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連載

【きゅんとあじあ】韓国映画memo 『尚衣院‐サンイウォン‐』

ハン・ソッキュ×コ・ス×パク・シネ×ユ・ヨンソク!
朝鮮王室の衣装を手がける尚衣院(サンイウォン)を舞台に、新旧デザイナーの美をかけた対決を描く、絢爛豪華な宮廷歴史大作! いよいよ11/7(土)より公開!

尚衣院とは、李氏朝鮮において王宮内に設置された、王室の衣服を製作、管理していた官衙のこと。まったく韓国は、ドラマや映画の題材に事欠かないなぁと、まず感心してしまいますね。




この尚衣院で、王の信頼を得ていたドルソク(ハン・ソッキュ)は、その功績が認められ、間もなく両班となることが約束されていました。貧しい出自で字も読めない彼は、幼い頃から手がボロボロになるまでに裁縫に励み、規則と伝統を重んじる生粋の職人としてキャリアを積んできたのです。




そんな折り、あるトラブルをきっかけに、王妃(パク・シネ)は街で評判の若き天才仕立師ゴンジン(コ・ス)を呼び寄せます。彼の作る革新的な衣装はたちまち王宮の人々の心を掴み、彼はドルソクの下で働くようになります。ゴンジンの才能に畏怖を感じながらも、その人柄に惹きつけられるドルソク。そこには同じ職人としての共鳴と、価値観は違えども互いに切磋琢磨できる才能に出会えた喜びもあったのでしょう。




一方、王宮では後継者不在による危機感が高まっていました。王(ユ・ヨンソク)は王妃に心を奪われながらも、複雑な心の傷が原因で指一本触れることが出来なかったのです。やがて王は側室を迎え入れます。王宮で孤立してゆく美しい王妃を救いたい一心で、ゴンジンは王妃のためにこの世で最も美しい衣装を仕立てます。しかし、越えてはならない一線を越えたことから、ある陰謀に巻き込まれてゆくのでした...




どちらかというとシリアスな役が多かったコ・スが、この若き天才仕立師を茶目っ気たっぷりに生き生きと演じ、新たな魅力を開花させています。ゴンジンのデザインに魅了された人々と同じように、彼の活躍に心が浮き立つようです。(とはいえ、『白夜行』『高地戦』『超能力者』はやっぱり好き)
そして、ハン・ソッキュ。威厳のあるベテラン職人が、若い才能と出会い、それを認め導きながらも最後は嫉妬に飲み込まれてゆく姿を、力むことなく、しかし圧倒的な説得力を持って演じています。





パク・シネの美しさは言うに及ばずですが、「応答せよ1994」のユ・ヨンソクも、複雑で孤独な性格の王役に果敢に挑み、存在感を発揮。さらにキャストのみならず、劇中に登場する煌びやかな衣装の数々や、染め上げられた反物がはためく場面など、美しい光景はもうひとつの楽しみとなっています。特に王妃が一世一代の賭けに出た時の衣装は息を飲むほどに美しく、是非ともスクリーンで観て欲しいワンシーンになっています。


重んじるべきは伝統か革新か? 認められるべきは努力か感性か?
権力とは?権力者とは?
ドルソクの年齢に近いか、はたまたゴンジンの歳に近いか、観客の世代によって全く違う印象を得る作品ともいえるかもしれません。


最後に思い出話をひとつ。
ハン・ソッキュといえば、個人的には『八月のクリスマス』を観たときの衝撃が、最も強烈な韓国映画体験でした。「これからは韓国映画の時代だ」と、認識させられた作品でした。
これから10年近くが経ち、めったに来日しないと言われていたハン・ソッキュが、『恋の罠』の公開に合わせシネマート六本木に登壇してくれました。これはもう事件でした。
舞台挨拶が終わり、客席の外で待機していた私たちの前をハン・ソッキュが通り過ぎました。その瞬間、彼は私たちにまで、「ありがとう、お疲れ様」と微笑んでくれたのです(実際には韓国語だったので想像です)。大抵の場合、バタバタとしているイベント中に劇場スタッフにまで目を向けてくる人は多くはありません。そんなわけで、私たちは揃いも揃って唖然と見送ることしかできず、彼の姿が見えなくなってよやく我に返りました。そして大俳優ハン・ソッキュを尊敬し感謝したのでした。
(当時の様子はこちらのレポート記事よりご覧ください。)


(文:村野奈穂美)

尚衣院‐サンイウォン‐
11/7(土)より、シネマート新宿シネマート心斎橋ほか全国ロードショー
監督:イ・ウォンソク
出演:ハン・ソッキュ、コ・ス、パク・シネ、ユ・ヨンソク
[2014/127分/配給:クロックワークス]

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