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【きゅんとあじあ】東京国際映画祭 『レイジー・ヘイジー・クレイジー』(香港) Q&A

清々しく眩しい裸体、香港JKの桃園の誓い!?
新進女性監督が描く青春ムービー!

トレイシーとクロエは幼馴染の女子高生。彼女たちの間にアリスが加わり、3人はつねに一緒にいるようになるが、援助交際で生活費を稼いでいたクロエとアリスの絆が次第に深まっていく。さらに、トレイシーが想いを寄せていたバスケ部の男の子にも、ふたりが急接近していた。3人の関係はやがて少しずつこじれていき...。
10代の女の子トリオの恋愛、嫉妬、裏切りを繊細かつ伸びやかに描き出した、女性監督ジョディ・ロックの鮮烈なデビュー作!


オーディションで選ばれた主演の3人が、ものすごく、いい。
女性の最も美しい時期の躰(それは一瞬にして失ってしまう儚いものですが)を、あっけらかんと、スクリーンの中に曝け出す。眩しいほどにのびやかで、援助交際ですら、彼女たちを汚すものではないとでもいうように、放課後の一部として提示されてゆく。
それにしても、女子3人て、どうしてこうバランスが難しいんでしょうね。ヤキモチ焼いちゃうからでしょうか。上手くいくと最高なのですが。そして、好きな女の子だけには純粋でいて欲しいっていう、男の子の身勝手さ。そんなことも懐かしく思い出す、女性のための青春映画です。きゅんとして、最後は思わずほろっときてしまいました。


ジョディ・ロック監督の経歴が面白い。
80年代に香港に生まれ、香港浸會大學卒業後は台湾に渡り、私立探偵を経験。帰国後はエキストラやバーのウェイトレスとして働く。さらに作家としても、《二十五?前。我試過》などの小説を出版。そしてあのパン・ホーチョンに見出され、『恋の紫煙2』の脚本に抜擢。その後『低俗喜劇』もパンと共同で脚本を担当し、この2作で香港電影金像獎の脚本賞にノミネートされました。(その他作品に『飛虎出征』『愛のカケヒキ』『指甲刀人魔』など)
ただものではなかった。次回作が楽しみな監督と出会うことができました。

さて、このジョディ監督と、プロデューサーのパン・ホーチョン、特別出演の蒼井そら、さらに主演の3人がずらりと揃った豪華Q&A。客席から劇中と同じピンクのセーラー服で登場!可愛い、可愛い、可愛いよ~と、テンション上がりまくりました!

(写真:右からジョディ・ロック監督、プロデューサーのパン・ホーチョン、クォック・イッサム、フィッシュ・リウ、マック・チーイ、蒼井そら)


まずはジョディ監督が「この作品を気に入ってくれたら嬉しいです」と挨拶。
映画祭の常連、パン・ホーチョンは、「ただいま~(客席から「おかえり~」)。みなさんに会えてうれしいです(日本語)」とファン心をくすぐる。

クォック・イッサム(トレイシー役)は「愛してる」と言おうとして恥ずかしくなったようで、他のふたりから「続けて!」「頑張れ!」と声を掛けられてやっと、「愛してる。ありがとうございます(日本語)」と挨拶。




フィッシュ・リウ(アリス役)は「初めまして、わたしの名前はフィッシュです。う~う~。実は、私のアイドルは、三上博史さんです。彼に...この映画を......だめだ(笑)」と長めの日本語で頑張りました。




マック・チーイ(クロエ役)からは、「日本語を暗記したけど思い出せるかな。あ...完全に忘れました。私たちの演技を評価していただけたら嬉しいです」と挨拶がありました。(この後、日本語の挨拶にも再挑戦してくれました)




「蒼井そら似のビールガール」を演じた蒼井そらが、逆に広東語で挨拶。すごい!







■この作品を撮ることになった経緯は?
ジョディ:この作品を撮る前は、パン監督の脚本を担当していました。自分で監督をやるのは予想外でしたが、脚本を書いている時に、自分の物語や感情を入れて書いている内にこの物語がとても好きになりました。それで「監督をやらせてくれる?」と聞いたら快諾してくれました。


■脚本を読んだ時、監督をやりたいと言われた時はどう思いましたか?
パン:脚本はジョディがほかの脚本家と相談をしながら開発していました。ジョディが休暇から戻ってくると、「この作品を監督したい」と言いました。もともと女性監督に撮ってもらったほうがいいだろうと思っていたので、この作品に特別な感情を持っていて理解している脚本家が撮るのが一番いいだろうと思いました。



■(主演の3人に)チャレンジだったことは?
クォック:役者をやるのは子供の頃からの夢でした。しかもこの作品はパン監督とジョディ監督の作品です。だから今日このような機会にこうして皆さんにお会いすることができ、とても感謝しています。この映画の中で一番難しかったのは泣く場面でした。私の役は頭がちょっと足りない。そうすると増々泣くのが難しくなって。新人なので何もわかっていなくて、色々と監督に教えてもらいました。最後に、私はとにかく日本が大好きです! 「東京に来てワールドプレミアをやりました!」と叫びたいです!

フィッシュ:私も少し歳をとってきたので、学生の役をやりたいと思っていて、有り難い機会だと思いました。監督にお会いした時はとにかく興奮して、この魅力的なチームと一緒にやりたい、絶対にこのチャンスを掴みたいと思いました。私の演技が下手だったり、行き届かなかったところは大目にみてください。私は何とか、ドラえもんの自動翻訳機を手に入れたいと思っています。

マック:私ももう24歳なのですが、以前ドラマに出てから大分時間が経ちました。演技経験も少ないのですが、演技を一生の仕事にしたいと思っています。今回は著名な監督が新人を使って映画を撮ると聞いて、なんとかこの役を掴みたいと思いました。難しかったのは、これが最後のチャンスかもしれないと思って、自分に高い目標を課していたのですが、それが現場ではプレシャーになってしまって、結局は監督に助けてもらいました。プロの役者が私たちの演技指導をしてくれました。この場を借りて、クォックとフィッシュにもお礼が言いたいです。一緒に泣いたりもしました。私たちの演技はパーフェクトではないのですが、この作品を気に入ってくれたら嬉しいです。私はお刺身とお寿司が大好きです!


■蒼井そらさんの起用理由は?
ジョディ:香港では蒼井さんはすごい人気で、男女問わず彼女が大好きです。以前彼女にインタビューをしたことがあるのですが、依頼したら快諾してくれました。

蒼井:今日初めて観たのですが、こんな素敵な作品に出演できてうれしいです。3~4年前にジョディ監督にインタビューしてもらって、その時から一緒に仕事ができないかなと思っていたので、すごく嬉しかったです。



■デビュー作にして、大胆不敵で自由奔放な作品ですが、どうしても譲れなかったことは?
ジョディ:普段はあまりこだわらないのですが、現場に行くと譲れない気持ちが出てきます。ラストシーンは特に譲れませんでした。映画の中で女性が裸で出てくると、濡れ場だと思われます。これはおかしいと思います。現実生活の中で女性が裸でいることは結構あります。女性が裸になると、必ず男性と何かがあるという固定観念を変えようと思いました。
また、女性自身が女性の身体をどう受け入れるのか、ということが大事だと思いました。このシーンを通して、それを伝えたいと思いました。撮影現場でも3人に、とにかく自分の身体を受け入れよう、という話をしました。

パン:付け加えると、ジョディが非常にこだわっていた部分があって、この3人は劇中で同居するので、クランクイン前に実際に同居して、お互いをよく知ってから撮影に入りました。

(写真:フィッシュの手には日本語のカンペが!)


この後、出口では観客全員に可愛いファイル(中面は...わお!)がプレゼントされました。
さらに外ではサイン会が行われ、たくさんのファンが並んでいました。(文:村野奈穂美)




レイジー・ヘイジー・クレイジー』 原題:同班同學 (2015/香港)
監督:ジョディ・ロック(陸以心)
製作:パン・ホーチョン(彭浩翔)
出演:クォック・イッサム(郭奕芯)、フィッシュ・リウ(廖子妤)、マック・チーイ(麥?誼)
グレゴリー・ウォン(王宗堯)、チョイ・ティンヤウ?(徐天佑)、蒼井そら(特別出演)




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