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韓国に関するイベントのレポートをお届けします。

【イベントレポ】「韓国テレビドラマコレクション2019」発売記念トークショー「今すぐ韓国ドラマが見たくなるとっておきの話」<後編>

12月10日に文京シビックホール小ホール(東京)で行われた、「韓国テレビドラマコレクション2019」発売記念イベント『第2回 韓国テレビドラマコレクション大賞』クロストークショーの模様をお伝えします。

2002年からキネマ旬報社で発行されている元祖韓国テレビドラマ年鑑「韓国テレビドラマコレクション」。去年より韓国ドラマ精鋭ライターが今年のイチオシ作品を選ぶ「韓国テレビドラマコレクション大賞」がスタート!2018年はこの3作品が選ばれ、授賞式の後、豪華ゲストによるトークショーが行われました。


第2回 韓国テレビドラマコレクション大賞
【総合第1位】「浪漫ドクター キム・サブ」
【総合第2位】「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」
【総合第3位】「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」


★去年の『韓国テレビドラマコレクション大賞』クロストークショーイベントレポはこちら★

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MC古家正亨さん(以下、古家) 今までは俳優さんのお話を聞いてきましたが、2019年にそれぞれの放送局でかかる作品も踏まえて【2019年にヒットするドラマは何?】をずばり聞きたいと思います。青木さんから聞きましょうか?

アジアンエンタメライター青木久美子さん(以下、青木) 「ボーイフレンド」「アルハンブラ宮殿の思い出」ですね。いま旬のスターの共演なので話題になると思います。「ボーイフレンド」も、パク・ボゴムさんの作品を皆さん待っていたので、日本で放送されたらすごくヒットするんじゃないかなと思っています。

古家 僕も「ボーイフレンド」の予告編を見ただけでもう「これ売れるなぁ」って思いました。だってパク・ボゴムさんが髪を伸ばしただけで「キャ~!」でしたからね。(会場笑)あの人格者が髪を伸ばしてさらにイケメンになって、人妻をハグ...ごめんなさい、現実で人妻なだけですけど(会場笑)。

青木 (笑)。あと「キングダム」というNetflixで配信される作品に注目しています。脚本は「シグナル」のキム・ウニ作家が手掛け、キム・ソンフン監督が演出を担当する時代劇なんです。まだ全貌がよくわかってないんですが、ゾンビと時代劇の融合らしいんです。主演はチュ・ジフンさんで。

古家 最近Netflix系の作品って増えてますよね。イ・ビョンホンさんの「ミスター・サンシャイン」もNetflixでしたし。でも日本ではNetflixしか見られないから、イ・ビョンホンファンがドラマを見られないという状況に陥っていて、「Netflixってどうやってみるんですか?」ってイベントで質問されたりしました。そういう意味ではせっかく良い作品があっても敷居が高いという問題点があるかもしれませんね。
真田さんはどの作品がヒットすると思いますか?

株式会社BSフジ 真田夏希さん(以下、真田) 「トッケビ」カップルのイ・ドンウクさん、ユ・インナさんが共演される「真心が届く」ですね。あと「九家の書」以来5年ぶりの共演となるイ・スンギさんとスジさんの「バガボンド」も。この2作品に注目しています。「バカボンド」は「ジャイアント」の脚本家と「浪漫ドクターキム・サブ」の演出家の作品なので、注目度が高くて見ごたえのあるドラマになるんじゃないかなと思っています。

古家 「ジャイアント」「浪漫ドクターキム・サブ」のお二人と聞くと、かなり濃厚な人間ドラマが展開されそうですね。土井さんはいかがでしょうか?DATVやKNTVって日本初放送が多いから、なかなか選べないかもしれませんが。

株式会社デジタルアドベンチャー 土井裕美子さん(以下、土井) そうですね、追いつくのも大変ですし。2019年は時代劇に期待しています。実は2018年って時代劇が少なかったんです。「逆賊」も「雲が描いた月明り」も韓国放送は2017年ですし。でも来年はまた時代劇が増えてきていて。その中でもソン・ジュンギさんが出演される「アスダル年代記」という、時代劇とファンタジーが融合したような作品が、規模も大きく注目を集めているので、個人的にも楽しみにしています。

あと、ヨ・ジングくんが出演する「王になった男」。以前、イ・ビョンホンさん主演で映画が公開されましたが、そのドラマ版です。あの役、絶対ヨ・ジングくんは似合うだろうなと思って。見守りたいなと思っています。

古家 それぞれの立場からの注目作ということでお話いただきましたが、去年2017年はDVDレンタルも好調で、良作も大作も多かったと言われていました。今年は、そんな去年の反動もあったと言われていますが、お三方から見て、今年は韓国ドラマにとって作品の質も含めて良い年だったと言えますか?

青木 作品の質に関してですが、大体はずれもなく、どの作品も本当によくできていると思いました。「トッケビ」のような大ヒット作はありませんでしたが、一つ一つの作品がすごく作りこまれ、脚本も緻密で。なので見ごたえのある良作が多かった年だと思います。

ただ作りこみすぎて、お話についていくのが大変な作品も多かったです。伏線が凄すぎたり、事件の裏にさらに事件がでてきたり(笑)。そんな中で、軽いラブコメディが目を引きました。パク・ソジュンさんの魅力爆発の「キム秘書がなぜそうか?」とか。あと「ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~」も秘書という設定の作品ですが、重い作品が多い中、軽いお仕事ラブコメディだったので楽しめました。そんな風に、今年はいろんな形で良い作品がそろったなという印象です。


「ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~」日本版予告編



古家 これ個人的な質問なんですが、日本でも韓国ドラマのリメイクが増えていますし、韓国でも日本ドラマのリメイクが相変わらず制作されています。青木さんは、リメイクドラマの中で印象に残っている作品はありましたか?

(会場から:空から降る一億の星!)

古家 えっ!?...一瞬、青木さんが客席にいつの間にか客席に移動しちゃったのかと思ってびっくりしました。(会場笑)




土井 「空から降る一億の星」はソ・イングクさんがすごく良かったですよね。木村拓哉さんとはまた違った魅力があって。復帰第1作で見事に素敵な姿をみせていただけました。

青木 「Mother」も日本版とは違う感じで作り上げられていてよかったです。最近、韓国は日本ドラマだけじゃなく、イギリスやアメリカのドラマのリメイクもやっています。「ミストレス」というイギリスの主婦ミステリーをリメイクした「ミストレス~愛に惑う女たち~」という作品があるんですが、すごくハマりました。どうなるのか知りたくて知りたくて、歩いてるシーンとかは早送りしちゃって...。(会場笑)韓国オリジナルの解釈がすごくよかったですね。


「ミストレス~愛に惑う女たち~」予告編



古家 歩くシーンを飛ばすほど!(笑)韓国の主婦が主役のミステリーってだけで、もういろんなことが起こりそうですよね(会場笑)。真田さんはどうでしたか?

真田 今年弊社で「トッケビ」を放送させていただき、新大久保の「コーヒープリンス」というお店でコラボカフェをやりました。お越しいただいたお客様が、5歳から60歳以上の方までと本当に様々で。カフェでは5歳のお子さんが「あ!死神だ!」と言って喜んでくれたり。(会場笑)お母さまと一緒にドラマを見てくれているんですよね。年齢層が幅広く、たくさんの方に愛されてる作品だなと思いました。

古家 カフェは大盛況でしたか?

真田 はい、大盛況でした。思っていた以上にお客様がいらっしゃり、遠方からも、岩手から鹿児島までお越しいただきました。

古家 そういう新しいプロモーションも面白いですね!あと、今年の新大久保は本当にすごかったです。全然歩けなくて...って握手を求められて歩けないとかじゃないですよ!チーズびよ~んやつを食べに行く人たちが多すぎて!(会場笑)
土井さんは、2018年を振り返っていかがでしたか?

土井 先ほど青木さんのお話に出ました「Mother」が個人的に良かったです。私イ・ジェユンさんが好きなんですけど、ヒロインを見守る医者役だったのですが、彼の見守り方が良かったです(笑)。

古家 土井さん、主人公より見守る人好きなんですね(笑)。

土井 2番手が好きなんですよね(笑)。「Mother」はオリジナル版の脚本家、坂元裕二さんも韓国版に注目されていましたね。

古家 あと今年は「シグナル」が日本でリメイクされましたけど、韓国ドラマだと20話ぐらいあるものを、日本では10話ぐらいに短縮しなきゃいけないので難しいと思いますが、結構「シグナル」は面白かったですね。10話を20話にするのは出生の秘密とかを入れちゃえばいいと思うんですけどね。(会場笑)そんな難しいところがあるなと思いながら、日本も韓国ドラマのリメイクを面白く制作しているなというと思いました。

今年日本でリメイクされた「シグナル」c2016 Studio Dragon & ASTORY(写真は韓国版)



ではここで客席の皆さんから、お三方に聞いてみたいことはありますか?

客席からの質問 韓国ドラマを見るときに視聴率を参考にしているのですが、地上波とケーブルの視聴率はどう考えたらいいですか?

古家 地上波とケーブルテレビでは視聴率の考え方が根本的に違いますよね。ケーブルテレビとか衛星放送は接続率って言って、どれぐらいの人がそこにアクセスしているのかという数字なんですけど、地上波の視聴率はもう視聴率として計測されているので。同じ数字でも、どうやってそれを見分ければいいのか、その基準を知りたいと。

質問者 あと、作品を選ぶときは韓国の視聴率を気にされますか?それとも別のポイントがあるんですか?

土井 まず視聴率は、ケーブルの視聴率を大体5倍すると地上波の視聴率と比較できるといわれてますね。作品買い付けのポイントとしては、編成担当がリアルタイムで作品を見て、面白いと思った作品を相談しながら買ったりしています。

古家 数字だけじゃない?

土井 そうですね。中身を見て決めています。

古家 最近、JTBCやチャンネルAなどの総合編成チャンネル。新聞社が作ったテレビ局ですね。あとtvNなどのいわゆるケーブル系。最近この辺のチャンネルの勢いがすごく、逆に地上波の勢いが落ちてるんじゃないかと言われてるぐらいで。「トッケビ」もtvNでしたね。
真田さん、BSフジ的には視聴率はどうなんでしょうか?

真田 視聴率も大事ではあると思うんですけど、出演している方がどれぐらい有名なのか、日本でブレイクしている方なのか、などが基準になります。作品を見て面白いかももちろんですし。一概に視聴率が大事というわけではありませんね。

古家 青木さん、ライターさんからして数字は気にしますか?

青木 ある程度は気にするんですけど、向こうで評判になったからといっても、自分が良いなと思うわけではないので、日本は日本で考えますね。でも、最近ケーブルの視聴率は5倍しなくても地上波を超える作品が多いので、ケーブル作品に注目することが増えました。あとNetflixの参入もあると思うんですけど、制作費が結構上がってます。地上波を上回ってるんじゃないかというときもあるほど。ケーブルが始まった当初はドラマも小規模で、まだ地上波では2番手3番手の俳優さんがケーブルでは主役になれるという感じでしたが、今はメインの俳優さんもケーブルに出ているので、逆転しているかなというのも感じますね。

古家 tvNのドラマなんて今や主役級の方ばかり出てますからね。総合編成チャンネルが始まった時は「JTBCに誰が出るんだ?」なんて言ってたぐらいなのに。流れそのものも、だいぶ変わってきてますよね。

客席からの質問 日本初放送がすぐ始まる作品と、なかなか放送されない作品がありますが、何か理由があるんでしょうか?

土井 人気があるのになぜ放送がないんだろうと思われる作品があったら、裏に何かあると思っていただいて...。(会場笑)

古家 意外とねぇ...あるんですよねぇ、言えないことが...。(会場笑)ここにいる人達はそれに巻き込まれる立場の方々なのでね。

本日は貴重なお話を聞かせていただきましたが、最後に「2019年いますぐ見たい、これから見るべき注目の韓国ドラマ」をKNTV・DATV土井さん、BSフジ真田さんに100秒でご紹介いただく映像をそれぞれご用意いただきました。(会場拍手)

【BSフジ】
① 放送中「記憶」(日本版・4K放送)番組ページ
② <ゆう韓ドラマ>放送中「六龍が飛ぶ」番組ページ
③ <ゆう韓ドラマ>1/31(水)スタート「マンホール~不思議な国のピル~」番組ページ

古家 ガチャピンとムックが紹介してくれましたが(笑)、「記憶」の日本リメイク版ですね。

真田 12月1日から4K放送がスタートいたしまして、「記憶」を4K放送でお届けしております。映像も綺麗ですし、重厚感や臨場感がより伝わるかなと思っております。中井貴一さんの演技がすごくよくて。ぜひ皆さんには日本版もご覧いただきたいですね。

古家 皆さん、お家のテレビは4Kですか?ブラウン管ですか?(会場笑)
これからこういったコンテンツがどんどん増えてくることになるんですが、4Kになると逆に今まで見えなかったものが見えるようになるといいますよね。細かいディテールにまでこだわらないといけなくなるというところがね。
それから「六龍が飛ぶ」と「マンホール~不思議な国のピル~(以下、マンホール)」はすっかりお馴染みの作品ですけど、「マンホール」はジェジュンの新しい魅力を見せてくれますし、「六龍が飛ぶ」は名作ですからね。楽しみにしていただければと思います。あと付け加えて皆さんにお伝えすることはありますか?

真田 弊社の「ゆう韓ドラマ」という枠で、毎週月曜日~金曜日14:59~16:00に韓国ドラマを放送しております。「マンホール」の後も新しい作品を予定しておりますので、ぜひここの枠を注目していただければと思います。(会場拍手)


【KNTV・DATV】
KNTV 1/19(土)スタート「100日の郎君様(原題)」番組ページ
KNTV 1/27(日)スタート「ラブリー・ホラブリー(原題)」番組ページ
DATV 1/18(金)スタート「少女For Rest」番組ページ

古家 「100日の郎君様(原題)」は話題作ですね。

土井 韓国でも視聴率が「シグナル」を抜いたぐらいものすごくよかったので、ギョンスくんの株が韓国でグッと上がりまして。俳優として大成功しております。

古家 映画もヒット、ドラマもヒット、歌を出してもヒット...彼はどこに向かうのでしょうか...。(会場笑)
「ラブリー・ホラブリー」はパク・シフさんの主演作ですね。


「ラブリー・ホラブリー」番組ティーザー映像



土井 そうです。パク・シフさんがご自身でインタビューの時に「パク・シフ史上一番ぶっ壊れています」とお話されてました。(会場笑)コンビニ袋を頭からかぶったり、ファンの方が観て大丈夫かなと思うぐらい、ハチャメチャなコメディ演技をされています。前半はすごく笑えて、後半はロマンティックなシーンもたくさん出てきます。パク・シフさんと言えばキスシーンがすごくお上手なので、ぜひご覧いただきたいですね。

古家 はい、皆さん夢でキスしてくださいね。(会場笑)そして少女時代のメンバーたちが登場するリアルバラエティですね。

土井 こちらはDATVでの放送なんですが、DATVはKPOPやアイドルに力を入れておりまして。1月から少女時代OGGとして出演しているリアルバラエティを放送します。これは5人が南フランスに行って久しぶりに一軒家で共同生活をします。彼女たちの素顔がいっぱいです。

古家 韓国ってリアルバラエティが本当にすごいですからね。ますますいろんな作品がご覧いただけると思いますので、ぜひご覧ください。いま見ていて思いましたけど、制作会社のスタジオドラゴンって凄いですね。CJ系列の制作会社ですよね。「トッケビ」に「100日の郎君様(原題)」、「プレーヤー(原題)」などを次から次へとヒット作を生み出していてすごいなと思います。

では最後に、青木さんの放送局は無いので(笑)、青木さんが2019年皆さんに向けて発信したいメッセージがあればお願いします。

青木 少し先になるんですけど...実はキム・スノクさんという脚本家が好きなんですが、「妻の誘惑」とかちょっとマクチャンと言われている方で。その方が脚本の「皇后の品格」を楽しみにしています。チャン・ナラちゃんが主演で、完全なマクチャンではないと思うんですけど。

古家 "永遠の少女"チャン・ナラがマクチャンに!

青木 あと「七日の王妃」という時代劇に、目が腫れるぐらい泣きました。もしまだご覧になっていない方がいらっしゃいましたらぜひご覧いただきたいです。時代劇ですがどっぷりロマンスです。(会場拍手)



「七日の王妃」日本版予告編



古家 今日、会場の皆さんすべてのドラマに反応されてましたけど...皆さんいったい1日何時間ドラマ見てるんですか?(会場笑)ちなみにうちの親は1日6時間韓国ドラマ見てます。電話すると大抵ドラマを見ていて「ちょっと後からにしてくれる?」って。(会場笑)

本当に多様化が進んでおります韓国ドラマですが、2019年もいろんな作品をいろんな形でお三方が紹介してくださると思いますので、どうかご注目いただければと思います。本日のゲスト、デジタルアドベンチャー編成制作局宣伝チームの土井裕美子さん、BSフジ編成局広報部の真田夏希さん、アジアンエンタメライター青木久美子さん、貴重なお話ありがとうございました!

3人 ありがとうございました!
(会場拍手)




<おわり>

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今年の表紙はパク・ソジュン!


定価:2,100円+税
刊行:2018年12月3日
判型:A5
ページ数:704(予定)
発行元:キネマ旬報社
ISBN:978-4-87376-857-1

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