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【イベントレポ】<SPO30th『バウンド』特別上映>トークイベント

シネマート新宿・心斎橋の運営会社・株式会社エスピーオー30周年を記念し、シネマート新宿・心斎橋では過去の配給作品をリバイバル上映する特別企画が開催中!

先日、14日に上映されたのは、1997年に劇場公開された『バウンド』。
『マトリックス』シリーズや『スピードレーサー』などで知られるウォシャウスキー兄弟(現・姉妹)の初期の代表作です。

上映後、編集者/ライターの門間雄介さんをゲストに、トークイベントが開催されました。

97年の公開当時、日比谷シャンテで初日に『バウンド』を鑑賞したという門間さん。
ウォシャウスキー兄弟(現・姉妹)にも対面インタビューを行った経験もあり、鋭い作品分析やウォシャウスキー兄弟(現・姉妹)とのエピソードが飛び出しました。

今回は、このトークイベントの一部をお届けします!



門間さん
「その当時の感覚を思い出すと、こんなにクラシカルな映画を撮る新人監督がいるんだ、という驚きが大きかった。

90年代、特にアメリカ出身の新人監督はタランティーノ以降という風に括られて論じられていたと思います。その中で、『バウンド』は犯罪劇なので、余計にタランティーノとの比較ということで注目されていた気もするんです。

でも『バウンド』は、タランティーノ作品のような軽妙さやスピード感とは違う、非常にしっかりとした作りで、カメラワークも優雅さを感じさせる作品です。テンポ感だけを追求していくと、こういう映画って取れない。

後々、彼らがビリー・ワイルダーやコミックの影響を受けているんだな、っていうこともわかるんですが。
当時は、"タランティーノ的な流れとは異色の人達なんだ"という印象でしたね。」




シネマート新宿・宮森
「この『バウンド』は、『マトリックス』を作る為のプレゼンテーションの意味もあったと聞いたことがあって。
キャストもすごく少なくて、撮影もほとんどマンションの一室で行われていますよね。」



門間さん
「制作費は400万ドルと、当時のハリウッドではかなり低予算の作品ではあります。
ただ、その後の『マトリックス』シリーズや、さらに『クラウド アトラス』、『ジュピター』と一貫して貫かれている部分が、既にこの作品にはあるなぁと。

公開当時、僕はこの作品を"クラシカルなフィルムノワール調の犯罪劇"というふうに見ていたんですが、
今回見直してみると、ジェンダーの問題を明確にテーマにおいていたんだなと思って。

『マトリックス』以降もずっと繋がっている部分ということでお話しすると、
主人公たちは、束縛・抑圧がかかった状況にいるんですよね。

『バウンド』の2人の女性、特にヴァイオレットはマフィアの情夫として、男社会の中で男の言いなりになって暮らしている。
そんなヴァイオレットがコーキーという女性と出会うことで、自分の行動したいように行動していいんだって、ようやく"本当の自分"みたいなものを見出していくんですよね。

それって『マトリックス』でも、
支配された世界の中で、自分自身が覚醒して、支配から解放されていく、
ということが基本的には描かれていて。

そういう事が作品の柱になっているんですよね。

『バウンド』は、VFXなど技術的な部分では全然違うんですが、
本質的な部分では、自分たちが描きたいことをこの時点からはっきり見据えて脚本にもしているし、それが活かされるような作品づくりをやっていたんだなと思います。

今回見直してみて、明確なテーマ性があったんだなって実感しましたね。」





シネマート新宿・宮森
「さきほど"ジェンダー"というテーマが出てきましたが、今でこそLGBTという言葉も浸透してきて。
いま改めて、この作品はLGBTの問題でも再認識されるのではないかと思います。」


門間さん
「ラナさん自身も、『バウンド』がLGBTのコミュニティの中でもカルト的な作品として評価を確立させている、と話しているんですが、
97年の公開当時は、そのあたりに焦点をあてて語っちゃいけないような。

今思うと、僕自身も偏見みたいなものにとらわれていたなと思うんですが、
女性同士のセクシャルな描写に対して、どう話せばいいのか僕も分からなかった。

今回、『バウンド』以降に撮られたレズビアンのセックスシーンがある最近の作品で
『アデル、ブルーは熱い色』や『お嬢さん』だったりを観直してみたんですね。
どちらの作品も男性監督が撮った作品ですが、『バウンド』とは焦点の当て方が違うんです。

『バウンド』は、カメラが引いて二人を撮ることも無く。
2人に密着して、腕とか足とかつま先とか、体のパーツで2人の快楽を表現している。

そういった違いを見ると
監督自身が、女性としてこのセックスシーンを撮っていたんだなとようやく分かった気がします。

また、そこに重要な役割を果たしていたのが、スージー・ブライトという女性で。
アメリカだと草の根的なフェミニズムの活動をしていて、ポルノのレビューをしたり、レズビアン雑誌だったりに関わっている方なのですが、
『バウンド』では、クレジットで"テクニカルコンサルタント"という肩書で入っているんです。

実は、序盤にコーキーが入るバーのお客さんでちらっと出演もしているんですが、
彼女は主にセックスシーンのコンサルタントとして関わっていたらしいんですね。」


シネマート新宿・宮森
「まさかセックスシーンにコンサルタントが入っているなんて...知りませんでした。」


門間さん
「それだけこのシーンを重要だと思って監督2人が撮っていたかがわかりますよね。

今の同じような描写のある映画と比較しても、全然古びていないと思います。
もっとそういった部分でも評価すべき作品なんじゃないかなと思います。」



シネマート新宿・宮森
「本当に今見ても古びていない、今だからこそ再発見できる作品だと思います。」


門間さん
「以前ラナさんが、私たちの作品はどの作品も後々になって評価される映画なんだ、っておっしゃっていて、
当時も話題にはなっていたんですが、犯罪劇とレズビアンによる恋愛ドラマの融合ということで、批判されることも結構多かったようで。

今ではLGBTの世界でのカルト作にまでなっているし、
改めて見直しても、十分楽しめる作品にもなっているし。

ひょっとしたら、スクリーンで『バウンド』が観られる機会はこれが最後になるかもしれませんよね?」


シネマート新宿・宮森
「そうですね。
映画祭などで取り上げられる機会が無ければ、なかなか観ることはできないんじゃないかな、と思います。
また18日(金)にもあと1回上映されるので、ぜひお越しいただきたいなと思っています!」


門間さん
「あと1回、スクリーンで観ることができる機会があるということなので
既に見ている方にも、未見の方にも楽しんでいただける作品だと思うのでぜひご覧いただきたいですね!」




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【上映情報】

『バウンド』

シネマート新宿にて
8月18日(金)18:45~ ※1回上映のみ
【料金】1,000円均一


※招待券・ポイント引換は使用不可。
※各種割引およびサービスデーは適応外。

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