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シネマートで今やってます。vol.18 『シチリアの恋』

こんにちは。エスピーオー宣伝スタッフYです。
今回はシネマート新宿にて好評公開中の『シチリアの恋』レビューです。

―あらすじ―
ジュンホ(イ・ジュンギ)は留学先の中国で一目惚れしたシャオヨウ(チョウ・ドンユイ)に「彼女になってほしい」と告白。
恋人同士になった二人は、上海のデザイン事務所にそろって就職したことをきっかけに一緒に暮らし始め、やがて結婚の約束も交わす。そんな幸せが永遠に続くと思っていた矢先、なぜかジュンホが突然「別れよう」と言い残し、ひとりイタリアへと旅立ってしまう。
幸せの絶頂の中、なぜ彼は恋人のもとを去ってしまったのか?そこには愛する女性の幸せを心から願う、あまりに切ない"秘密"が隠されていた・・・。


この作品は日本でも熱狂的なファンが多いイ・ジュンギの中国スクリーンデビュー作品となります。一言で言えば、ハンカチ必須の"超純愛ラブストーリー"です。

私は特に涙腺が弱いので、開始30分から最後のエンドロールまで、涙腺が崩壊しっぱなしで、目が腫れてしまったのではないかと心配になるくらいでした。

涙の訳を詳細に説明してしまうと、この映画は特に面白さを奪ってしまうことになりかねないため、今回もネタバレにならないよう気をつけながら書かせていただきます。



なんと言ってもこの作品で一番語りたくなるのは主演のイ・ジュンギです。イ・ジュンギのスクリーン作品といえば、やっぱり『王の男』、そして個人的には宮崎あおいとの共演でも話題となった『初雪の恋 ヴァージン・スノー』です。どちらも好きな作品ですが、しばらくドラマ中心の活動が多く、本作が『光州5・18』以降実に8年ぶりのスクリーン復帰作となるとのこと。

彼の映画作品をほぼすべて観ているせいか、そんなにスクリーンブランクがあったとは少し意外に感じました。ドラマであろうと、映画であろうとハードな作品であろうと、ラブロマンスであろうと、ジャンルを問わず毎回視聴者を惹きつける素敵な演技を魅せてくれる彼ですが、久々のスクリーン作品でも、期待以上に魅せてくれました。

先ほど、たくさん泣かされた作品だったと書きましたが、その半分くらいはイ・ジュンギの迫真のとてもリアルな演技に泣かされたように思います。




そんな彼をこの映画にキャスティングし、初めての中国作品への出演にこぎつけたのがドキュメンタリー映画としてとても評価の高かった『ジャンプ!ボーイズ』の実力派監督リン・ユゥシェンです。資料を見ると何度も何度もイ・ジュンギのいる韓国を訪ねて口説き落としたようで、そのくらい彼に惚れ込み、その魅力を最大限、それ以上に引き出していたように思えました。

リン監督の素晴らしい演出があってこそ、この作品で描かれる2人の純愛物語によりリアルに胸を打たれたのだと思いました。ジャンル問わず、素敵な作品を生み出せる、才能溢れる監督なんですね。




そして、最後にイ・ジュンギのロマンスの相手役ヒロインを演じたチョウ・ドンユイですが、少女のようなピュアさと、芯の通った頑固な一面を見せる姿など、観ているうちにどんどんそのナチュラルな演技に自然と感情移入させられていく不思議な女優だなと感じました。デビュー作がチャン・イーモウ監督の『サンザシの樹の下で』、ピュアな魅力を放つ女優をたくさん発掘してきたチャン監督に見出されたというのが、納得できました。彼女の演技にも涙をたくさん流させられてしまったので、私にはほんとにタオルが必要でした...



この純愛の物語はイ・ジュンギ演じる韓国人ジュンホとヒロインのシャオヨウのいきなりの別れからはじまります。ラブラブの絶頂期のような時に、急にジュンホが別れようと言い残しイタリアへ夢を諦められなくて旅立ってしまいます。急な別れに情緒不安定となるシャオヨウ、会社も休み、気持ちの整理をしようと努力していた時、ジュンホが事故死したことを聞きます。

彼との思い出がたくさんつまった部屋で、思い出の物たちや、一緒に飼っていたフレンチブルドックに囲まれて不安定な日々が続き、そして、ジュンホへの想いのため、彼の最後の仕事となるバーの内装を仕上げようとしますが...。ネタバレになってしまうので、これ以上は書けないのですが、ムキになっているとも見えるこのシャオヨウのストレートな愛情表現にも涙を誘います。




ヒロインにも演出にも泣かされたのですが、最初に書かせていただいたように、すべて観終わったあと、私の中に一番残ったのは、イ・ジュンギの魅せる究極の愛情表現でした。すべては「あなたが好きだから」「あなたを愛してるから」。そんなストレートで純粋な愛情に、最後ほんの少しだけ欲を見せたところなどは、さすがリン監督の素晴らしい演出ですね。

そのちょっとしたスパイスが、ファンタジーのようなラブストーリーをよりリアルなものに感じさせてくれました。この作品にはたくさんの涙を流させられましたが、エンドロールの頃にはとっても温かい涙となっていたことも印象的です。


もうすぐG.W.となりますが、新しい生活がはじまって少し経ち、ストレスフルな日々を過ごされている方も多いかと思います。涙を流すことは、良いストレス発散方法でもありますので、この連休中、たくさん泣ける映画を観てストレス発散というのもいいのではないでしょうか。

イ・ジュンギのファンでなくとも、恋愛映画好きなら必見の作品ですので、是非お見逃しなく――その際はハンカチを忘れずに!

『シチリアの恋』はシネマート新宿ほか全国にて公開中。・シネマート心斎橋では4/29(土)より公開。



監督:林 育賢『ジャンプ・ボーイズ』 製作:スタンリー・クワン『ロアン・リンユイ』『長恨歌』
出演:イ・ジュンギ『王の男』『初雪の恋』 ショウ・ドンユイ『サンザシの樹の下で』『Stand by me(声の出演)』
2016年/中国映画/101分/シネスコ/カラー/5.1chデジタル /原題:Never Said Goodbye /配給:ハーク /
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エスピーオー宣伝スタッフY
韓国映画・韓国ドラマを好きになってから15年以上。
時代劇からラブコメディまでジャンル問わず全般的に観ている。

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