Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

連載

【私の履歴書・田代親世】第5回 香港が運んできた韓国との出会い

香港をきっかけに、実はこの時、韓国のエンターテインメントとの出会いを果たしていました。元々は香港の番組を見るために、日本でケーブルテレビを見ていたのですが、アジアのエンタメを広く紹介するようなチャンネルで。韓国ドラマも放送されていたので、「試しに見てみようかな?」という軽い気持ちでした。そうしたら、ビックリ!

それまで観ていた「古臭くて、社会派で、女性が虐げられている」というイメージの韓国映画とは全く違う、デパートを舞台にした三角関係のトレンディドラマだったんです。

「愛はあなたの胸に」という94年のチャ・インピョ主演作でした。それを見て「え~!これは私が知っている韓国じゃない!」と。主人公はカッコイイし、御曹司だし、サックス吹いてるし、キザだし、すごくいい部屋に住んでいるし...日本よりも全然ハイソじゃないの!?と、今までの韓国に対する固定概念が覆されました。今までそれほど興味がなかった韓国に、俄然興味が湧いてきた瞬間でした。

それが香港に行く直前の出来事。「韓国ドラマも面白そうだな」というイメージは持ちながらも、既に決まっていた留学に向かいました。ところが、やっぱり縁があったんでしょうね。私が日本で見ていたケーブルチャンネル「スタープラス」の本社は、何と香港にあり、日本人向けに香港で番組を作っていたのです。ちょうど番宣(番組宣伝番組)のナレーションを出来る人を探しているとのことで、紹介もあり、私がさせてもらうことになったんです。ドラマ以外の音楽番組などにもナレーションを付けている内に、「これは面白そう。日本に帰っても韓国エンタメはチェックし続けなくては」と思っていました。

1999年1月に帰国。スタープラスと再度契約し、見始めたのが、韓国ドラマ「星に願いを」でした。まさに「キャンディ・キャンディ」の世界が実写になったような衝撃。気恥かしいけど、キラキラした世界を見て、「私の求めていたものは、ここにあったのね~!」と確信しました。このドラマに没頭し、アン・ジェウクのファンになってしまい、それから色々と調べ始めました。その時、KNTVの存在を知って加入し、それこそ「岩が転がり落ちるように」韓国コンテンツにハマっていきました。そうしている内に、自分の中の熱い気持ちを留めておけなくなって。すごく良いものって、人に知らせたくなるじゃないですか?でもあまりにも周りに韓国ドラマを知ってる人が少ないのが、歯がゆくて、「これは自分で本を書くしかない!」と決心し、自分で本を企画したんです。

日本に帰国して、今度は以前の番組でお世話になったPDから「事件でない案件」である、もう少しヒューマンな内容の取材、レポートをお願いされたんです。それはテレビ朝日の「ワイドスクランブル」という番組でした。

多少のゆとりと時間を持って取材ができるので、留学前のレポーター時代よりは、ずっと落ち着いた環境で一つのテーマに取り組むことが出来ました。そこで知り合ったのが取材相手だった編集者。その方に自分の企画を持ち込んだんです。「韓国エンターテイメント三昧」(芳賀書店)という本でした。当時2000年、ちょうど韓国映画が面白くなってきた時期でした。

HOT(1990年代後半に、韓国を席巻した5人組の男性アイドルボーカルグループ)にもハマっていたので、ドラマ、映画、音楽情報を網羅してミーハーチックに紹介したいという思いがあり、「いかに韓国エンタメが魅力的か」ということを書きました。お陰さまで翌年には続編を出すなど、本は好評を得ました。


(第6回に続く)


◆著書


「恋する韓流」(朝日新聞出版)
-韓流10年の活動を振り返ってのエッセイ本




「韓国ドラマが教えてくれる 心が強くなる40の言葉」(中経の文庫)-ドラマの名セリフを取り上げて解説する情報本




小説「台北に舞う雪」(朝日新聞出版)監修-映画化になったオリジナル脚本をもとに書き下ろした小説




小説「泡沫の夏」(新書館)



記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP