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キスする前のエチケット!? ブレスケアに使われていた○○とは?!|中国時代劇トリビア #95

近年、中国歴史ドラマでは医療や検視モノといった医術的見地が登場する作品に注目が集まっています。例えば「女医 清落~恋愛の処方箋~」「九齢公主~隠された真実~」などでは、高い医術をもったヒロインが、劇中で広い薬学の知識や診療の術を披露していきます。

前回に続き、こうした医術系ドラマから時代劇に登場する気になる“アレ”について、探っていきます!

エチケット用には意外な“アレ”が活用された⁉

「九齢公主」場面写真
「九齢公主~隠された真実~」© Youku information technology (Beijing) co., LTD

ロマンティックなシチュエーションだったり、あるあるハプニングだったりと、印象的なキスシーンが多いのも最近の中国歴史ドラマの話題の一つ。実際に洋の東西を問わず、愛情表現としてのキスは紀元前から行われてきたそうです。

が、しかし!古代中国では歯を磨く習慣はなく、最古の歯ブラシは唐の時代のもので、それ以前は存在しなかったのだとか。なので、起床時と食事の後に水で口をすすぐだけで、日ごろのお手入れは終わり。食生活の習慣の違いもあり、虫歯は現代人と比べても驚くほどの多さとはならなかったそうですが、ことブレスケアに関しては、人々を大いに悩ませたようで……。

男女の間だけでなく、皇帝に仕える側近クラスとなると、職場においての不快なニオイなど大問題! そこでこの時代の人が口臭防止として用いたのが、ハナミョウガ系の植物や鶏舌香(けいぜつこう)。鶏舌香は、曹操が諸葛亮孔明に贈ったというほどの大変貴重な品で、簡単に手に入るものではなかったそう。

では、この鶏舌香は一体何かというと、実はこれ、生薬の「丁子(チョウジ)」で、スパイスでおなじみのクローブのことなのです。これを直接口に含み、辛みと鋭く舌がしびれるような刺激をこらえてニオイを除去!というのが、デキる古代ビジネスパーソンのエチケットだったのだとか。

一方、女性はというと、美しい女性は「吐息が蘭のようだ」と評される人もいたそうで、こちらはもしかするとフローラル系の香りのお茶の利用があったのかも? 中国茶の中には、蘭の花に似た香りの種類のものもあるそうで、漢方茶でいえば口臭予防に茉莉花(ジャスミン)茶+サンザシをまぜたものが効果があるそう。

そういえば「九齢公主」では、楚九齢の習慣で、お茶に玫瑰花を入れていましたね! ちなみにバラ科のハマナスである玫瑰の効能は、気の流れを良くし、清代の宮廷では頬と肌をバラ色にする美容茶としても好まれたそうです。  

「九齢公主」お茶のシーン
九齢公主~隠された真実~」© Youku information technology (Beijing) co., LTD

【参考文献】
柿沼陽平(2021)『古代中国の24時間』中央公論新社

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

このコラムに登場した作品
「九齢公主」キービジュアル

「九齢公主~隠された真実~」

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