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【各国ライフスタイルシリーズ 学校行事編】アジア6カ国の大学の年中行事・成人にまつわるイベントは?

アジア地域No.1規模の“日本好き”コミュニティサイト『FUN! JAPAN』を運営する株式会社Fun Japan Communicationsが、 アジア各国の人生の節目やライフスタイルを独自リサーチし発表する「各国ライフスタイルシリーズ」。

今回『FUN! JAPAN』より、台湾・香港・タイ・マレーシア・ベトナム・インドネシアの大学在学中に行われる年中行事や、成人にまつわるイベントについてのレポートが到着した。



PICK UP

•大学進学率 95% 以上!就職活動は卒業後が基本の 台湾
•新入生歓迎キャンプや OPEN DAYなど新歓イベントに力を入れる香港
•先輩が後輩を世話し、 後輩が先輩を尊敬するタイの大学生活
•欧米の大学とも提携し留学支援 マレーシアでは大学制度もグローバル
•自由を重んじ、 大学ごとに様々な独自イベントが行われるベトナム
•大事な儀式は大学指定の服装で 協調性と実地研修を重んじるインドネシアの大学

今回取り上げるのは、 各国ユーザーが大学生のころに経験する学校行事、 そして成人する際の儀式に関してです。

文部科学省の学校基本調査によれば、 2019年の大学・短大進学率は58.1%となっており、 高校を卒業した人のうち約6割が大学や短期大学に進学しています。 現行、 成人年齢が20歳となっている(※2022年4月からは18歳に引き下げ)日本の場合、 成人式は大学在学中に開催され、 大学の卒業式と同様、 “社会人になる門出の儀式”のひとつとなっています。

成人式では、 特に女子大学生の多くは1年以上前から予約し、 あでやかな振袖を着ます。 男子学生も紋付袴やフォーマルなスーツなどを着用し、 厳粛な雰囲気儀式に参加します。 式後には、 久しぶりに再会した地元の友人たちとパーティーを行うなど、 盛大に成人を祝います。

では、 FUN! JAPAN対象国の大学では、 いったいどのようなイベントが行われているのでしょうか?また、 ここからは、 対象国6カ国の大学行事と成人にまつわる儀式や服装について見ていきましょう。

【調査概要】
調査主体:Fun Japan Communications
調査期間:2020年7月~2020年8月
調査対象者:10人、 男女 等
調査方法:インタビュー定性調査


大学進学率 9 5 % 以上 ! 就職活動は卒業後が基本の台湾

台湾は、 大学進学率が97%と言われており、 高校を卒業したほとんどの子どもが大学に進学します。
大学では、 大学の多様性や自主性を重視するため、 入学式や入学時のガイダンス、 卒業式、 クリスマスパーティーなど以外で、 季節ごとの決まった大学行事はないようで、 12月頃開催されるクリスマスパーティーでもクラスや学部毎に、 懇親会のようなパーティーを開催することがある程度のようです。

台湾の大学生と日本の学生の学校生活での一番大きな違いは、 就職活動や進路。
日本の場合は、 大学卒業後に就職する学生は95%以上を占め、 理系の学生や、 一部の文系の学生以外は就職を選択しますが、 台湾では大学の卒業生の約1/3が大学院へ進学するそうです。 そのうえ、 就職活動に関しても、 大学在学中から説明会に参加したりエントリーシートを書いたりするわけではなく、 まずは大学卒業までの必須単位を全て修了してから、 大学4年生の2学期後半もしくは卒業してから仕事を探す方が多いそうです。

成人する年齢は、 刑事上は18歳、 民事上は20歳になります。
そのためバイクなどの免許をとったり、 飲酒や喫煙は18歳以上になると可能ですが、 選挙の投票などは20歳からになります。 日本の成人式のように、 地域ごとに盛大にお祝いする習慣はなく、 お祝い等を行うかは各家庭によっても異なり、 両親や親族が成人祝いのギフトを贈る場合もあるそうですが、 プレゼントする内容も各家庭によって異なります。

また、 台湾の男性には4カ月の軍事訓練の義務があります。 ただ、 これは成人する年齢ではなく、 大学を卒業した後に訓練への参加が義務付けられているようです。


新入生歓迎キャンプ や OPEN DAY など 新歓イベント に力を入れる香港

     

香港の大学の入学・新学期シーズンは9月。 その入学前の8月には、多くの大学で“迎新營(O-CAMP)”という新入生歓迎キャンプが開催されます。
これは、在校生(1年生~)が新入生と親睦を深めることを目的に、大学構内で宿泊形式で行われるキャンプです。 宿泊日数は1泊2日の短い日程のものもあれば、2泊3日や3泊4日の長い日数のものも。

キャンプの期間中は、昼間は在校生が用意したミッション(※在校生が指定した場所に行く、 指定の物を集めるなど)をクリアするゲーム形式のイベントが開催され、夜は大学のドミトリー(学生寮)に泊まります。キャンプ中は大学の学部生全員が、同じデザインや色のTシャツを着てミッション達成のために学校近郊を走り回るため、とにかく路上がカラフル。 8月には香港全土でこうした光景が見られ、 街には学生の姿が目立ちます。

10月~11月には、 オープンキャンパスと学部紹介を兼ねたOPEN DAYが開催されます。
この時期には、 各学部の在校生が大学構内にブースを設置し、 来年度に入学する予定の学生またはその保護者に向けて所属学部の紹介をします。 OPEN DAYでは、 各学部が来場者に向けておみやげ(主に文房具)を配布するのが定番です。 在校生の生の声が聴けるチャンスということもあり、 学科選びに迷っている香港の高校生は、 毎年10月~11月に市内の大学をハシゴするのが一般的です。

香港の成人年齢は18歳。 一律で18歳になると運転免許の取得が可能になったり、 飲酒や選挙での投票なども可能になります。
日本と大きく異なるのは、18歳になると、誕生日から30日間以内に、子供用の身分証から大人用の身分用に切り替えることになる点です。また、台湾と同様、 あまり成人を祝う決まったイベントはないようです。


先輩が後輩を世話し、後輩が先輩を尊敬するタイの大学生活

タイの大学では、8月に“ラップノォーン”という新入生歓迎式が開催されます。
このイベントでは、在校生がいくつかにグループに分かれてキャンパス内にブースを作り、新入生は自分で好きなグループを選んでそのブースに行き、様々な出し物やもてなしを受けるというもの。このイベントで新入生と在校生が一緒に食事し、ダンスやゲームをしながら、学部や学年を越えて仲良くなります。
これは、 人と人とのつながりを大事にするというタイの国民性が表れている大学行事で、このイベントを通してタイの大学生は、「先輩が後輩を世話し、 後輩が先輩を尊敬する」ということを体験します。

また、毎年旧暦の12月(現在の10月あるいは11月)の満月の夜には、「【各国ライフスタイルシリーズ 学校行事編】アジア6カ国の小学校・中学校・高校の年中行事・イベントは?(https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3314/)」でも紹介した、 伝統行事「ロイクラトン」が開催。
高校までの学校行事と同様、バナナの木と葉っぱ、飾りの花、線香と蠟燭などで作られた灯籠(クラトン)を川に流すのですが、大学ではこのクラトンの上にロウソクと線香を立てて、大学構内の池に流します。また大学構内では、飲食店が出店したり、ミニコンサートが行われたりもします。このイベントには、大学生だけではなく一般客も参加できるため、日本の大学の学園祭のようにキャンパス全体がにぎわいます。

タイの成人年齢は18歳で、この年齢に達すると、飲酒・喫煙・自動車やバイクの免許が可能となり、選挙権が与えられます。



欧米の大学とも提携し留学支援  マレーシアでは大学制度もグローバル

様々な人種と民族が入り混じるマレーシアは、大学の制度や種類も非常にグローバルで、多様性を重んじます。

例えば、日本と同様、マレーシアにも国立大学と私立大学がありますが、それは経営する母体が異なるだけではなく、学校の制度や使用言語などを大きく変える違いとなります。 国立大学に関していえば、地元マレー人の比率が高く、授業中に使用される言語のほとんどがマレー語の大学や、マレー文化やイスラム教を学ぶ専門学部がある学校も多いです。

また、マレーシアでは多くの大学がイギリスやオーストラリア、アメリカ、カナダなどの大学と提携しており、大学留学への架け橋となっています。マレーシアでは、入学時にマレーシアの大学に入学し、在学中に留学、そのまま海外の大学を卒業することも一般的ですし、学位に関しても欧米の大学の資格が取得できます。

大学の多様性や自主性を重んじるため、入学式と卒業式、学期ごとののオリエンテーションWeekがある以外は、特に決まった学校行事ありません。

マレーシアでは成人年齢は18歳と定められており、喫煙や選挙権を取得する年齢も18歳以上となっていますが、飲酒できる年齢に関しては2017年に18歳以上から21歳以上へ引き上げになりました。成人のお祝いなどを行う風習は特にないようです。


自由を重んじ、大学ごとに様々な独自イベントが行われるベトナム

ベトナムの大学には、ベトナムの首相直属の国家大学や、教育・訓練省に属する国立大学(地方総合大学や工学、経済、法律、芸術などの専門大学を含む)、 私立大学、2年~3 年制の短期大学などがあります。大学によって、学部制度やカリキュラムが異なるため、学校行事に関しても、入学式・卒業式以外に特に決まった学校行事はないようです。
なお、 日本の大学の文化祭などでよく行われているように、成功した卒業生が母校に戻って講演会を行ったり、学生と交流を行ったりするイベントや、有名な芸能人との音楽交流会、海外から留学してきた学生との交流会などは活発に行われています。

ベトナムの成人年齢は基本的には18歳以上となっています。
ただ、ベトナムは他の対象国と違い、飲酒可能な年齢に制限がなかったり、普通自動車の免許取得可能年齢が20歳であったりするため、さほど成人の年齢は重要視されず、お祝いなども行いません。 また、婚姻年齢に関しても、男性は20歳以上(女性は18歳以上)となっています。


大事な儀式は大学指定の服装で 協調性と実地研修を重んじるインドネシアの大学

インドネシアでは、8月下旬の大学の入学シーズンに「Upacara Penerimaan Mahasiswa Baru」という正式な新学生歓迎式が開催されます。
この儀式では、大学のホールに新入生と一部の在校生、教授らが集まり、学長や教授がスピーチを行います。参加する学生は、デニムなどのカジュアルな服装は避け、各大学のジャケットや白いシャツ、黒のフォーマルなパンツ、頭にはヒジャブを被るか、大学のロゴのついた帽子などを身につけます。

8月または9月には、Orientasi Studi dan Pengenalan Kampus ( Ospek ) という新入生に大学の魅力を紹介するイベントも開催されます。
これは、キャンプ場などで行われるイベントで、新入生と先輩が仲良くなるために一緒にキャンプをするという行事です。ただ、実際「仲良くなる」というよりは、先輩からのいたずら会とも言われます。 本来、先輩が新入生をお世話し、大学の事を教えたり、トレーニングさせたりするイベントなのですが、度を超えた内容で、上級生による新入生いじめなど事件化をしてしまうこともあり、過去にはニュース番組をにぎわせたこともあります。服装は基本的にはカジュアルで大丈夫ですが、大学ジャケットや帽子をかぶるのが基本です。
また、インドネシアの大学の特徴として、Kuliah Kerja Nyata ( KKN )という実地研修があります。
これは、 大学4年生、 つまり卒業生がグループ単位となってインドネシア国内の農村地域などへ赴き、 特定の課題テーマに取り組むというものです。 テーマは地域開発や貧困対策などにかんするものが多く、 KKN に 参加する学生たちは、 お互いに学部や専門分野の垣根を超えて協力し、 課題をこなします。

多民族国家のインドネシアでは、地域や民族によって成人年齢や儀式のやり方は様々です。
特徴的なものを上げてみると、西スマトラ地域では成人年齢に達すると(成人年齢は不明、 13才~19才頃)、女性のみを対象に、鎮痛剤使用せず鉄や石や木材を使って、Kerik Gigiと呼ばれる歯を研ぐ儀式が行われ、この儀式を経て女性が結婚できるようになり、 美しくなると言われています。
他にも、ニアス島には石をジャンプして飛び越える儀式Fahomboがあります。 昔は男性がこの儀式を行うと、戦争に参加できるようになる、とされていました。 現在では、大人になるための象徴の儀式とされています。


いかがでしたか?学校行事やイベントは国によって様々です。 「各国ライフスタイルシリーズ」では、 各国の新生児の誕生や冠婚葬祭、学校行事、人生の様々な節目のお祝い事、その他国によって異なる風習などをリサーチし発表していきます。


<過去に公開された「各国ライフスタイルシリーズ」の記事はこちら>

【各国ライフスタイルシリーズ 誕生編】アジア6カ国の出産や赤ちゃん誕生にまつわるイベントは?
https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3002/
【各国ライフスタイルシリーズ 幼少編】アジア6カ国の子どもにまつわるイベントは?
https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3124/
【各国ライフスタイルシリーズ 学校編】アジア6カ国の入園式・入学式の服装やギフト・購入品は?
https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3192/
【各国ライフスタイルシリーズ 学校行事編】アジア6カ国の幼稚園・保育園の年中行事・イベントは?
https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3232/
【各国ライフスタイルシリーズ 学校行事編】アジア6カ国の小学校・中学校・高校の年中行事・イベントは?
https://fj-com.co.jp/articles/blog/funjapanlab/3314/


[Fun Japan Communicationsについて]
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