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【インタビュー】『空海ーKU-KAIー 美しき王妃の謎』楊貴妃役・チャン・ロンロン

遣唐使として中国・唐へ渡った若き天才僧侶・空海が、詩人・白楽天(のちの白居易)と共に、歴史を揺るがす巨大な「謎」を解き明かしていく極上エンターテインメント大作『空海ーKU-KAIー 美しき王妃の謎』。本作でチャン・ロンロンが演じたのは、本作の最重要人物であり、絶世の美女と呼ばれた中国唐代の皇妃"楊貴妃"だ。主に映画界で活躍し、『光にふれる』(12・チャン・ロンジー監督)、『陽陽』(08・チェン・ヨウチェ監督)などで世界的にも高い評価を得てきた彼女にとって、本作はどういう存在なのか。そして、世界的巨匠チェン・カイコーとの仕事、2度目の共演となったホアン・シュアンなどについても話を伺った。


プロフィール:チャン・ロンロン
1987年生まれ。フランス人と台湾人のハーフ。2000年に子役としてデビューし、その後、数多くの映画やドラマに出演。順調にキャリアを重ねてきた実力派。近年の出演作は、『52Hzのラヴソング』『恋する都市 5つの物語』(どちらも現在日本で公開中)など。
(アジドラファンの皆さんにとっては「愛∞無限?Endless Love?」(10)のヒロイン役が馴染み深いでしょうか?懐かしいところでは、「山田太郎ものがたり?貧窮貴公子?」(01)の山田家の長女役に出演していたりも!)


『空海ーKU-KAIー 美しき王妃の謎』公式サイト http://ku-kai-movie.jp

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― 本作に出演されることになった経緯を教えてください。

チェン・カイコー監督は楊貴妃の役を、随分時間をかけて探していたようです。演技力があり、尚且つ今まであまり見たことのない新鮮味のある人を探していて、時間がかかっているというお話を聞いたんです。以前『光にふれる』という映画で一緒に仕事をした方が、私を推薦してくださって、監督にお会いすることになりました。

初めてお会いしたときには「起用されないだろうな」と思っていたのですが、2回目にお会いしたときに、「時代劇の衣装を着てみてくれ」と言われたんです。今まで私は時代劇に出たことがなかったので、どんな風に見えるのか想像出来なかったみたいで。それで、衣装合わせをして、写真を撮っているうちに「これはいけるかもしれない!」ということになって、出演することになりました。



― 今までも世界で活躍する監督とお仕事をされているチャン・ロンロンさんですが、「これはチェン・カイコー監督ならではだな」と感じたことはありますか?

まず、チェン・カイコー監督は知識や教養がとてもある方です。たくさんの作品を監督されていますが、歴史についてもお詳しいし、いろんなことを計算されて作品を作られています。
例えば、唐の街並を復元するのにも、6年かかっているんですよね。建物や服装についてもよくご存じです。今までご一緒させていただいた世界的な監督はみなさん、本当にIQが高いですね。記憶力も良いし、いろんなことが頭に入っていて、それを映画に活かすことが出来ていると思います。

本作でもチェン・カイコー監督とご一緒させていただいて、様々なことを学びました。

ひとつは、今までに経験のなかった時代劇に出演できた事です。

もう一つ、昔の女性がどのような仕草をしていたのか、どのような目の動きをしていたのか、という事です。そういうことは、現代を生きる私達には、普通はわからないですよね。映画の中で、李白が私のことを見るシーンがあるのですが、私は最初「なぜ私のこと見てるの」という風に見返していたんです。そうしたら監督に「それは違う」と言われました。
「確かに楊貴妃は自由奔放な女性ではあるけれど、当時の女性は恥じらいを持っていて、男性に見られても、はっきり見返すことはしないんだ」と。
確かに昔の詩などでも、「女性は花の如し」と表現したりしますよね。昔の女性と現代の女性は違うんだな、と監督と一緒に仕事をすることで、ハッキリと知ることが出来て、勉強になりました。



― 本作での楊貴妃というキャラクターは、表情での演技が非常に重要だと感じました。演じる際に意識されたポイントはありますか?

撮影が始まる前に監督が、この映画において楊貴妃がどのような存在なのか、話してくださったんです。「弱くはないけれど、現実味のない人。みんなから慕われて、崇められる存在だ。」と言っていました。あとは、「気持ちを顔に出してはいけない。怒ったからといって、眉をしかめたりせず、淡々と、あっさりと、目で演技をするように。」とも言われました。

目で演技することに関しても「相手によって違う演技をするように。」と。白龍に対してはちょっとおちゃめな雰囲気を、李白に対しては嬉しさを、皇帝に対しては少し距離を置いている様子を出すなど、相手によって演技を変える必要があったんです。

私は今までそういう演技をしたことがなかったので、撮影が始まってからも不安で...。何度もマネージャーに大丈夫かどうか確認していました。今までの私のファンの方はこういう演技を受け入れてくれるのか、気に入ってもらえるのかということが、とても心配だったんです。

でも、映画が完成され、皆が見てくれた反応を見て、自分の演技を理解してもらえたことがわかり、とても感動しました。



― 白龍たちに髪飾りを渡すシーンが、さりげないシーンながらも、物語において大切な意味を持ってきます。あのシーンはどのようなことを考え演じられましたか?

楊貴妃は白龍や丹龍と一緒にいるときが一番リラックスしていて楽しい時間なんです。楊貴妃は世の中がどういうものなのか、汚いところも含めて全部知っています。だからこそ、まだ無垢で天真爛漫な彼らと一緒にいると楽しいんですよね。

白龍が自分の心の中の苦しみを打ち明ける、というシーンがあります。それを楊貴妃が慰め、二人の間で気持ちが通じ合うんです。そして、「白龍は丹龍と二人だから良い、どちらも欠けてはいけない」という話をします。楊貴妃の善良さが表れているシーンだと思います。

楊貴妃は後宮にたくさんの女性がいるにも関わらず、一心に寵愛を受け、皇帝以外は全員自分の目下、という状況にいます。それでも、男女や身分の違いも関係なく、白龍たちと友達のように接します。白龍も楊貴妃をとても慕っていて、最後まで楊貴妃一人のために行動したんだと思います。



― 日本では、なんと3か月連続でチャン・ロンロンさんの出演作が公開となりますが(2017年12月『52Hzのラヴソング』/2018年1月『恋する都市 5つの物語』/2月『空海ーKU-KAIー 美しき王妃の謎』)、そのうちの2作品でホアン・シュアンさんと共演されていますね。

そうなんです!普段、彼のことを"シュアンシュアン"って呼んでるぐらい、仲良しです(笑)。『恋する都市 5つの物語』で共演したときに、とても仲良くなりました。

その時にホアン・シュアンさんから「次はどんな作品に出たい?」と聞かれて。まだその時『空海ーKU-KAIー』の話は全くなかったんですが、「時代劇かな」なんて答えていたんです。そうしたら、彼に「え、その顔で時代劇に出たいの?」と言われました(笑)。

その約1年後に『空海ーKU-KAIー』に出演することが決まって、ホアン・シュアンさんに連絡したら、「本当に?君が楊貴妃なの?!それはいいね!」と言ってくれて。ホアン・シュアンさんの役どころからすると、楊貴妃は50年前の女性なので想像するしかない人だったけれど、「君が演じるなら想像しやすい」「夢が叶って、良かったね」と言ってくれました。



― 最後に、これから作品をご覧になる方に、①この作品の見どころ ②楊貴妃の見どころ をそれぞれ教えてください。

映画の見どころは、"愛情"、"人"、"景色"です。作品の中では、非常に豊かな愛情が表現されています。おそらく見た人それぞれ、「自分はこういう愛情が好き」と自分に合ったものがあると思うので、そこを見ていただきたいです。"人"は、それぞれの役者の演技です。皆、爆発力のあるすごい演技をしています。"景色"は言わずもがな、というかんじですね。

あとは、私が演じる楊貴妃を気に入って欲しいです。初めて時代劇に挑戦して、私自身もとても努力したので、皆さんの期待を裏切らないと思います。


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【上映情報】



タイトル :「空海 ―KU-KAI― 美しき王妃の謎」 
監督 :チェン・カイコー  
原作 :夢枕獏「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」(角川文庫/徳間文庫)
主題歌 :RADWIMPS「Mountain Top」 (ユニバーサルミュージック/EMI Records)
出演    :染谷将太 ホアン・シュアン チャン・ロンロン 火野正平 松坂慶子 阿部寛
声の出演 :高橋一生 吉田羊 東出昌大 イッセ―尾形 寛 一 郎 他
公開日  :2月24日(土)ロードショー
上映時間 :2時間12分
配給 :東宝・KADOKAWA

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