監督
市川準
3月27日(金)よりロードショー
村上春樹の短編小説「トニー滝谷」(文藝春秋刊「レキシントンの幽霊」所収)を、市川準監督がメガホンを取り、2005年に映画化した『トニー滝谷』。
その静謐で美しい画作りが高く評価され、“伝説的な一本”として語り継がれてきた本作が、公開から21年の時を経て4Kリマスター化され、
3月27日(金)より『トニー滝谷 4Kリマスター版』として、角川シネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開されることが決定した。
本作は、『BU・SU』(87)、『つぐみ』(90)、『東京夜曲』(97)などを手がけた市川準監督が、長年にわたり愛読してきた村上春樹作品の中でも、
映画化への思いを温め続けてきた短編小説「レキシントンの幽霊」所収の「トニー滝谷」を、念願かなって映像化した作品である。
トニー滝谷という名の、孤独な人生を歩む男性を主人公に、愛する女性と巡り合えた幸福なひととき、そしてその後に訪れる喪失を、静かに描き出す。
イッセー尾形は、主人公・トニー滝谷と、彼の父である滝谷省三郎の一人二役を演じ、宮沢りえは、トニーの妻・A子と、妻の死後に彼の前に現れる女性・B子という二役を演じている。
また、本編のナレーションは西島秀俊が担当。坂本龍一が手がけた音楽は、ピアノを基調とした密やかな旋律で、作品全体に漂う孤独感を繊細に表現している。
空気に色がついているかのような独特の色調と、静謐で美しい画作りが絶賛された本作は、
第57回ロカルノ国際映画祭にて、審査員特別賞、国際批評家連盟賞、ヤング審査員賞をトリプル受賞するなど、国内外で高い評価を獲得した。
4Kリマスター版の制作にあたっては、市川監督の信頼を受け、ポストプロダクション全般を任されていた撮影監督・広川泰士の指示のもと、
白黒とカラーの間ある中間色を再現するためのグレーディング作業を重ね、唯一無二の透明感を湛えた映像世界が完成。
また音響面では、本作を含め長年にわたり市川作品を支えてきた録音技師・橋本泰夫が、サウンドエディターの野村みきとともに、
オリジナル音源をベースに、4K版に対応した音作りを施している。
併せて解禁されたポスタービジュアルは、2005年公開当時のアートディレクター・柿木原政広自身が新しく手掛けたもの。
かつてA子の衣装部屋であった無機質な空間を舞台に、上部には横たわるトニー滝谷の孤独な姿、下部にはB子の姿を捉えた印象的な一枚となっている。
静謐で張りつめた空気感が、4Kリマスターによっていっそう鮮明に浮かび上がる。
【あらすじ】戦後の東京。孤独な幼少期を送り、成長したトニー滝谷はデザイン会社に就職し、イラストレーターとして黙々と働く日々を送っていた。
ある日、彼は偶然出会った女性・A子と結婚し、長く続いていた孤独な時間は終わりを迎える。明るく優しいA子は、衣服を買い集めることに強い執着を持って
いたが、トニーはその癖を理解しきれないままも、静かに受け入れ、穏やかな結婚生活を続けていた。
しかしある日、A子は不慮の事故で命を落としてしまう。深い喪失感に耐えられないトニーは、彼女の残した大量の服を前に、A子の代替を求めるよう
になる。そして、A子によく似た女性・B子をアシスタントとして雇い、彼女にその服を着てもらうことで、妻の死に慣れようとするのだが……。

市川準
イッセー尾形 宮沢りえ 篠原孝文 四方堂亘 谷田川さほ 小山田サユリ 山本浩司 塩谷恵子 猫田直 木野花
撮影:広川泰士
音楽:坂本龍一
ナレーション:西島秀俊
企画:市川準事務所 製作:橋本直樹 米澤桂子 プロデューサー:石田基記 照明:中須岳士 録音:橋本泰夫 美術:市田喜一