【ＩＮＴＲＯＤＵＣＴＩＯＮ】
6人の運命は、あの夜一変した。善になるも、悪になるも、タイミング次第なのかもしれない。
ジャーナリストのフー・ ムーチン（胡慕情）が書いた無差別殺傷事件に関する3つのレポートに触発され製作された、社会派サスペンス。2022年3月に台湾で公開され話題を呼んだ本作は、2021年に台湾のアカデミー賞とされる金馬奨でワン・ユーシュエン（王渝萱）が最優秀助演女優賞、2022年には台北映画祭の台北電影奨で、脚本賞、音楽賞、最優秀助演女優賞を受賞した。また、2023年米国アカデミー賞では、国際長編映画賞部門で台湾代表作としてエントリーされた。
メガホンを取ったのは映画界とテレビ界で活躍し、数々の受賞歴があるロウ・イーアン（樓一安）。大ヒットを記録した『先に愛した人』(2018)で注目された新人俳優、ホァン・シェンチョウ（黃聖球）が主役を務め、その親友役を本作で金馬奨の新人賞にノミネートされたパン・ガンダー（潘綱大）、同じく本作で金馬奨、台北電影奨で受賞したワン・ユーシュエン（王渝萱）が不良少女役、記者役を『親愛なる君へ』(2020)で知られるモー・ズーイー（莫子儀）が演じる。

【ＳＴＯＲＹ】
18歳の誕生日を迎えたばかりのジャン・ウェン(ホァン・シェンチョウ)が、夜市で乱射事件を起こした。その動機について、周囲の誰も見当がつかない。彼を助けたい親友のアーシン(パン・ガンダー)は「殺意はなかったこと」を証明するために奔走する。この事件で唯一犠牲になったシャオセン(ライ・ハオジャ)は、ゲーム「王者の世界」で多くのファンを持つプレーヤーだが、実生活では規則正しく平凡な生活を送る地味な公務員。その婚約者のビータ(ホァン・ペイジァ)は仕事中心の生活になっており、2人の間にはすれ違いが生まれていた。リンリン(ワン・ユーシュエン)は非行に走る少女。同じく「王者の世界」にのめり込み、ゲームのため偽のIDとヌード写真を用いてシャオセンを誘惑し協力を得ていた。黎明アパートを取材する記者、バイ菌(モー・ズーイー)は偶然、現場に居合わせ、事件の真相を突き止めることを決意する。
6人の運命が夜市で交錯する。もし、彼らが犯行前に別の選択をしていたら、悲劇は起きなかったのだろうか…。

【CAST & STAFF】
黃聖球（ホァン・シェンチョウ）／ジャン・ウェン役
2012年、チアン・シウチュンとシュー・ユーティン監督によるテレビドラマ『台北ラブストーリー～美しき過ち』のツーエン役でデビューし、2018年にはシュー・ユーティンとシュー・チーイエン監督による映画『先に愛した人』で銀幕デビューを果たし、第55回金馬奨最優秀新人男優賞にノミネートされる。作中では、夜市で無差別殺人を犯した男、ジャン・ウェンを演じる。裕福で幸せな家庭に育つが、18歳の誕生日に一線を越えて公務員を射殺してしまうのである。彼はなぜそんなことをしたのか、そしてその理由は？

莫子儀（モー・ズーイー）／バイ菌役
国立台北芸術大学の演劇学科を卒業し、1996年から演劇や映像作品に携わり、テレビ、映画、舞台と多岐にわたって活躍する。2018年、『台北歌手(原題)』に出演し、ロウ・イーアン監督と共に第53回金鐘賞(台湾エミー賞)でドラマ番組部門の最優秀脚本賞を受賞、2020年には『親愛なる君へ』で第22回台北映画祭の最優秀男優賞、第57回金馬奨の最優秀男優賞、第2回台湾映画評論家協会賞男優賞、第12回青年映画手冊年間最優秀男優賞を受賞している。作中では、衝動的でシニカルな性格の熱血ジャーナリストを演じている。リンリンが住む裏社会の取引に使われるアパートの取材を予定していた彼は、偶然にも無差別殺人犯逮捕の重要参考人に...。

黃姵嘉（ホァン・ペイジァ）／ビータ役
国立台北芸術大学の舞踊学科卒業。2009年、『查無此人(原題)』で第44回金鐘賞ミニドラマシリーズの最優秀助演女優賞にノミネートされる。2018年、『台北歌手(原題)』で第53回金鐘賞ドラマ番組部門の最優秀女優賞を受賞。 作中では、無差別殺人事件の被害者の婚約者ビータを演じており、殺人事件当日は残業中で、退社を待っていた婚約者が夜市で死亡事故に遭い、罪悪感を覚えると同時に、毎日遅くまで働いている自分は一体何なのかと考えさせられる。

潘綱大（パン・ガンダー）／アーシン役
台湾で人気のオルタナティブバンドEggPlantEggの『Back Here Again (英題)』のミュージックビデオに出演し、注目を集めた後、『拉格朗日什麼辦法(原題)』や『風中浮沉的花蕊(原題)』等のTVドラマに出演し、演技力を磨く。2019年にはHBOアジア・オリジナルズの『Invisible Stories – Lian (英題)』で主演に抜擢され、18歳の自閉症少年を演じる。2021年には台北映画祭で期待の新星を選出する「非常新人(SUPERNOVA)」に選ばれる。作中では、ジャン・ウェンと漫画を共に描く親友のアーシンを演じている。親友が殺人を犯すつもりはなかったと確信し、彼のために証拠を見つけたいと考えている。本作で第58回金馬奨の最優秀新人賞にノミネートされた。

王渝萱（ワン・ユーシュエン）／リンリン役
台北の市立復興高校演劇科出身。15歳のとき、ロウ・イーアン監督の映画『White Lies, Black Lies (英題)』でデビューし、主役のアニー・チェンの学生時代を演じた。 その後、『Little Blue (英題)』で長編映画での初主役を務める。作中では、建て替えを控えた古いビルに住む少女を演じる。夜市殺人事件の当日、自身の住むアパートの取材をする記者と会う予定だったが、アクシデントが起き、行けなくなってしまう。もし、彼女が夜市に行っていたら、事件の行方は変わっていたのだろうか？本作で第58回金馬奨と第24回台北映画祭の最優秀助演女優賞を受賞している。

賴澔哲（ライ・ハオジャ）／シャオセン役
多彩な役柄をこなす舞台俳優として、数多くの舞台・映画・テレビ作品に出演し、2016年には『出遊(原題)』で第38回金穗賞の最優秀男優賞を受賞している。作中では、存在感のない小物公務員を演じているが、実はゲーム「王者の世界」で稀代の王として活躍している。殺人事件当日、夜市で婚約者の退社を待っていたが、無差別殺人事件に巻き込まれ、唯一の被害者となる。

監督・脚本　樓一安（ロウ・イーアン）
映画とテレビの両分野で活躍する脚本家兼監督で、そのダークユーモアとキャラクターを生かした緻密なストーリー展開で最もよく知られる。2005年の『快樂的出航(原題)』、2009年の長編映画『A Place of One's Own (英題)』、2013年の『廢物(原題)』では、台湾の文化や社会・人種問題に触れ、国内外で賞を獲得した。2015年の長編映画『White Lies, Black Lies (英題)』と2022年の長編映画『ガッデム 阿修羅』は、いずれも台湾で実際に起きた事件をモチーフにしている。作品を通して、現地の文化や人種問題、階級差や世代間ギャップがもたらす社会問題に常に大きな関心を寄せている。

公式Twitter

Tweets by asura_movie0609