
「蜀紅錦」から知る蜀錦・蜀錦とは?|中国時代劇トリビア#142
唐代の益州を舞台に、亡き父の染色秘法を継承し、蜀錦の技術と職人たちを守りながら、産業の発展をも目指した勇敢で芯の強いヒロインの成長と、愛する人との出会いを描いていく「蜀紅錦~紡がれる夢~」。今回はこのドラマに登場する気になる“アレ”を探っていきたいと思います!
蜀錦とは?

「蜀紅錦~紡がれる夢~」©2024 Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved.
ドラマ「蜀紅錦~紡がれる夢~」で登場する蜀錦とは、いったいどんな織物なのでしょうか?
蜀錦とは、漢代から三国時代にかけて蜀郡(現在の中国四川省成都市周辺)で生産された特色ある錦織物の総称。蜀錦の歴史は二千年に及び、主に染色された熟絹糸を使用し、経糸(たていと)で模様を浮かび上がらせる技法を用いています。四川蜀錦、蘇州宋錦、南京雲錦、広西チワン族の壮錦は「中国四大錦」として知られ、蜀錦はその中でも最も有名な絹織物として知られています。四川は古くは「蜀」「蜀国」「蚕叢(さんそう)の国」とも呼ばれ、養蚕や絹織物産業の発祥が最も早い地域の一つであり、蜀錦は春秋戦国時代に起こり、漢・唐の時代に最盛期を迎えました。その名は蜀地に由来し、伝統的な錦織物技術の中でも長い歴史を持ち、深い影響を与えてきたとされ、日本の国宝級伝統工芸品「京都西陣織」の起源ともされているそうです。
蜀錦の製作は、ドラマにも登場するように、李英英が手掛ける染糸など原料の加工から始まり、いくつかの工程を経て行われていきます。李英英の兄・李耀庭や、婚約者の趙修緣らが得意とする錦織りは、高度な芸術工芸とされています。蜀錦に用いられるという花楼織機は高く組み上げられた2段式で、上段と下段でそれぞれの役割を持つ2人の織り手が同時に織機を操作する大掛かりなもの。織機の音で判断しながら、細やかな模様を共同作業で織り上げていくため、熟練の職人同士でも一日で数センチの錦を織ることができず、それゆえ非常に希少なものとされ、蜀錦が庶民には手が出せない高価な品になっていたのです。

「蜀紅錦~紡がれる夢~」©2024 Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved.

「蜀紅錦~紡がれる夢~」©2024 Youku Information Technology (Beijing) Co., Ltd. All Rights Reserved.
2025年11月より順次配信予定
DVD
セル|2025年8月13日より順次発売(全2BOX/各19,800円税込)
レンタル|2025年8月2日より順次レンタル開始(全16巻)
提供:エスピーオー/テレビ東京メディアネット 発売・販売元 エスピーオー
https://www.spoinc.jp/official/shokkokin/

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。
中国時代劇を見て感じるちょっとした不思議や疑問を解説します。


記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!
Twitter
Facebook