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【最新アニメin台湾】アニメ『2049+絕處逢聲』、モーションキャプチャで台湾の伝統芸能の動きを再現

ニュース提供元:用心娛樂  画像・動画:冉色斯動畫

金鐘奨やヒューストン国際映画祭で数々の賞を受賞したアニメ制作会社の冉色斯が、新たにドラマ「2049」の同名アニメを手掛けた。12月1日、「2049+絕處逢聲(原題)」の初上映記者会見が開かれ、主人公の男女の声を務めるリン・ジェーシー(林哲熹)とジャニス・イエン(閻奕格)、AIロボット役のリン・ウェイニー(林葦妮)が登壇した。

     

宮廟の少年・阿威は祖父の医療費を稼ぐため、土地開発に反対する少女・夏雨と協力し、世界歌唱ダンスコンクールに出場する。先祖伝来の官将首(※)の出で立ちと独特なパフォーマンスは、観客の関心を引くことに。やがて阿威と夏雨の思いは日増しに高まっていき、家族、友情そして愛のための争いに巻き込まれ……というストーリー。
※官将首:台湾の伝統民俗「陣頭」の一つで、神様の使いである将軍を指す

ヒロイン夏雨の声を担当するジャニスは、劇中のコンクールがかつて出場した台湾のオーディション番組を思い起こさせたと明かす。彼女は当時、番組のためにアメリカから台湾に来たが、家族も友達もなく、部屋に閉じこもって自炊する日々を過ごす。出場の緊張とプレッシャーを分かち合える人が少ない中、イーソン・チャン(陳奕迅)の「我們都寂寞」で孤独な心境を切々と歌い上げた。「周囲の批評が気にならないといえば嘘になるけど、コントロールできるものでもない。Let it go!」と、曲をしっかり歌い上げることだけを見据えた結果、満場の喝采を浴びて優勝を果たした。

普段の話し方は男っぽいと自ら語るジャニスだが、本作の吹き替えでは意識的に声を高くし、「いったい誰の声なのか」とファンを驚かせたという。立ち退きを阻止しようとするシーンでは「感情が昂ってきて、喉の調子なんて気にせず叫んだ。気持ちよかった」と話し、「同級生がいじめられれば立ち向かった。私は衝動的な牡羊座だから」と学生時代の思い出にも触れ、劇中と同様、正義感が強い面を明かした。

ジャニスと阿威を演じるジェーシーは、一見何の接点もなさそうな二人だが、実は初めての共演ではない。映画『樂獄(原題)』に主演したジェーシーは、主題歌を歌ったジャニスと初上映会の際に一度会っていると明かした。ジェーシーは今回、官将首の言葉を覚えるだけでなく、汚い言葉遣いや怒号をあげるシーンもあったため、「毎回セリフが多すぎて声が枯れた」と吐露した。また「自分が演じた中で最もイケメンの役!」と会場中を笑わせる一方、「自分の好きなことを一生懸命やっている人ほど、魅力的な輝きを放っているもの」とコンクールについての考えを示した。

AIロボットの声を担当したムームーことウェイニーは、子どもに物語を読み聞かせするのが好きで、普段からネット上でアニメを探しては自分で吹き替えするほどだという。「声優という人生の夢がかなってうれしい。死ぬ前に『トイ・ストーリー』の吹き替えもしたい」と話した。ピクサーには届かずとも冉色斯に認められたことに対しては「大きな一歩を踏み出せた」と興奮した様子を見せた。苦労した点は、長いテクノロジー用語と英語を一息に話さなければならなかったこと。吹き替えの際、感情のない彼女の声を聞いたジェーシーは「僕はこんなに感情を昂らせているのに、楽しすぎだろう」と冗談めかしてツッコミを入れた。

「2049+絕處逢聲」は冉色斯アニメ、台湾大哥大myVideo、瀚草影視文化が制作、華研國際音楽がサントラ制作を担当した。モーションキャプチャを駆使し官将首の動きを融合させ、さらにステージデザイン、ダンスビジュアル、エンターテインメント性の高い音と光の効果で、視聴者を驚かせるほどの映像に仕上がっている。

また、台湾で初のインタラクティブなアニメ作品で、視聴者は自分を主人公とし、展開の異なる二つの物語を選ぶことができる。そのほかmyVideoの豪華会員に加入すると、男女主人公のメイキング映像の視聴が可能だ。myVideoと東森電影台ではテレビシネマ版として「2049+絕處逢聲」72分間のハイライト映像も放送する予定。台湾では12月4日から毎週土曜夜10時(台湾)、myVideoで独占配信中。



翻訳・編集:二瓶里美
編集者、ライター。2014年より台湾在住。中華圏のエンターテインメント誌、旅行情報誌、中国語教材などの執筆・編集に携わる。2020年5月、張克柔(字幕翻訳家・通訳者)との共著『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』(三修社)を上梓。2017年4月より、ラジオ番組「Asian Breeze」では台湾の現地情報を発信するコーナーを担当中。

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