Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

<キム・ミニ以前/以後>監督ホン・サンスの8作品を「ザ・シネマメンバーズ」にて配信開始

   
『よく知りもしないくせに』©2009 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

選択肢が少ないながらもエリック・ロメールやツァイ・ミンリャンなど、その独自のセレクトでジワジワと注目を集めつつある配信系ミニシアター、 「ザ・シネマメンバーズ」が、かねてよりユーザーから期待を寄せられていたホン・サンス監督作品を9月から順次配信開始。なお本作品群は洋画専門CS放送「ザ・シネマ」でも9、10月に放送予定。

男女の恋愛模様を、会話を中心とした演出で少人数のロケによって描く作風で、エリック・ロメールを引き合いに出して語られることの多いホン・サンス監督。しかし、ザ・シネマメンバーズでは、特集名にあえて、「韓国のエリック・ロメール!?」と、「!?」を付けて、本当にロメールのようなのかどうかを問いたい。観て、あなたなりに確かめてほしいという構えだ。

ザ・シネマメンバーズで今回配信するのは、「キム・ミニ以前/キム・ミニ以後」ともいうべき8作品。映画監督が主人公で、アウトサイダー的に訪れた場所での出会いや不和が、ときに映画への哲学を織り交ぜながら描かれる、「キム・ミニ以前」4作。(よく知りもしないくせに』『ハハハ』『教授とわたし、そして映画』『次の朝は他人』


『ハハハ』© 2010 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

そして、不倫が報じられ、公私にわたるパートナーとなっている女優キム・ミニとの関係自体を描いているかのような「キム・ミニ以後」4作(『正しい日 間違えた日』『夜の浜辺でひとり』『クレアのカメラ』『それから』)。どの作品にも共通するのが、まるで私小説のような、ホン・サンス自身の人生の投影だ。

作風も、「キム・ミニ以前」4作では、主人公の男性によるナレーション、あくまでも男性中心に進んでいく会話や物語など、どこか女性が存在として軽んじられているようなところを感じるかもしれないが、「キム・ミニ以後」4作では、ホン・サンスとキム・ミニの二人が出会った最初の作品「正しい日 間違えた日」の後半を境に男性のナレーションはその後の作品から消え、ヒロイン:キム・ミニを描くようになっていく。


『夜の浜辺でひとり』© 2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

ゆるんだ構図、特徴的なズーム、ドキュメンタリービデオのような生っぽい撮り方などの手法が徐々に洗練され変わっていくところも8作品を通して観ていくことで、より鮮明に感じるだろう。例えば「キム・ミニ以前」を何本か観るだけでは、その”クセの強さ”に違和感を感じる人もいるかもしれないのだ。

「なるほど、ある意味ロメールだ」と思うかもしれないし、もちろん気に入らなかったり、「全く良さがわからない」ということもあるかもしれない。そういう時には遠慮なく感想を声に出そう。間違いなどないのだから。「韓国のエリック・ロメール!?」と、「!?」を感じていただける特集は、9月-10月と、2カ月かけて8作品を順次配信開始。


『それから』© 2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.


「ザ・シネマメンバーズ」ホン・サンス監督 配信作品

『よく知りもしないくせに』 9月1日~配信
『ハハハ』 9月8日~配信
『夜の浜辺でひとり』 10月8日~配信
『それから(2017)』 10月22日~配信

その他のラインナップ
『教授とわたし、そして映画』、『次の朝は他人』、『正しい日 間違えた日』、『クレアのカメラ』

「ザ・シネマメンバーズ」サイト: https://members.thecinema.jp/video_list/line-1597969907121

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP