あらすじ

時は高麗初期。皇宮に不幸を招くという破軍星の下に生まれた皇子ワン・ソ(チャン・ヒョク)は皇宮を追われ、金剛山で育つ。ワン・ソの父、ワン・ゴンは権力争いの絶えない皇宮を建て直すため、ワン・ソを呼び戻すが、自身は何者かに暗殺されてしまう。ワン・ゴン暗殺の犯人を追って中原の開封(ケボン)にやって来たワン・ソはその地で渤海最後の王女、シンユルに出会う。
―5年後、ワン・ソは腹違いの姉であり、豪族ファンボ家を母に持つヨウォンと結婚していたが、今も王建暗殺に隠された陰謀を追っていた。その頃、シンユルも青海商団を率いて高麗にやって来ていた。ワン・ソとの再会に胸をときめかせるシンユルだが、ワン・ソは彼女に気付かず、さらに彼が結婚していると知り、すっかり失望してしまう。一方、ワン・ソの妻ヨウォンは弟のワン・ウクを次期皇帝の座に就けるべく、密かに陰謀を巡らせていた。その先には死んだワン・ゴンの従弟で皇宮の支配者、ワン・シンニョムの姿があった。

もっと作品を楽しむためのプチ解説

狂った皇帝か?光輝く皇帝か!?光宗ワン・ソ

豪族の力を削ぎ、中央集権によって王の権力を高めたほか、科挙を実施するなど、大胆な改革で名君と呼ばれた光宗。また、民心を得られなければどんなに良い政策も無意味だとして、仏教を通して民心の安定に力を注ぎ、濟危寶(チェウィボ)と呼ばれる貧困層や病人のための救済所を作ったりもした。反面、在位後半には敵対すると思われる豪族や親族を徹底的に排除したため、狂った皇帝との批判もあった。

幻の国、渤海とは?

渤海は大祚榮(テジョヨン)が698年に建国。中国東北地方に広大な領土を持ち、その規模は全盛期には統一新羅のおよそ8倍にも及び、周辺国との交易で栄えた。日本とも700年代から約200年に渡り交流があった。後半は王位継承の混乱、統治していた民族の独立などによって徐々に国力が弱まっていく。10世紀になると権力抗争の激化で不安定になったところを新羅と通じた契丹に攻め込まれ926年に滅亡する。高麗には渤海の王族や住民などが多数亡命し、王建も彼らを受け入れ、優遇したという。