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【インタビュー】『親愛なる君へ』チェン・ヨウジエ監督 後編 "映画は信じ合わないと成り立たない"

ありのままの台湾の生活、ありのままの多様性  

― チェン・ヨウジエ監督にとって、『親愛なる君へ』で思い入れのあるシーンはどこですか?

チェン監督 全てです(笑)。逆に、思い入れはないけど、僕が好きなシーンでもいいですか? 

― ぜひ教えてください!

チェン監督 あっても無くてもいいようなシーンなんですが、(モー・ズーイー演じる)リン・ジエンイーが子供と一緒にごみ捨てに行く姿を屋上から撮ったシーンです。このシーンが一番生活を感じさせるシーンだと思うんです。僕自身も、息子とよく一緒にごみ捨てに行ったりするし。台湾人にとっては、一緒にごみ捨てに行くのは、台湾らしい生活の風景なんです。

本作のカメラマンは香港の方なんですが、彼も「台湾のごみ捨ての風景がとても面白い」と言っていて。2人で話し合って映画に取り入れようと決めたんです。ほんとにどうでもいいようなシーンなんですけどね(笑)。

― そういう日常のシーンがあるからこそ、彼らが家族として繋がっている感じが伝わってくるのかもしれません。

チェン監督 一緒にごみ捨てに行くって、家族の始まりだと思うんです。それってロマンチックじゃないですか?(笑)


― 日本人からみた素朴な疑問なのですが、チェン・シューファンさん演じるパートナーの母とウー・ポンフォン(吳朋奉)さん演じる警察官は台湾語を話し、そのほかの人達が華語を話しています。それも台湾でそれはよくある風景なのでしょうか? それとも、あえて追加した設定なのでしょうか?

チェン監督 よくある風景です。あえて自然にしたいからこそ、そうしました。台湾語か華語に統一するという話も出ましたが、2つの言葉が日常の中にあることが、台湾では普通のことです。この人とは華語で話して、この人とは台湾語で話して。それが台湾ですから。「多様性」ということは、言葉だけじゃなくいろんな意味で、大切だと思うんです。わざとじゃない、ありのままの多様性。それがこの世界なので。

― ありのままの多様性が描かれているからこそ、先ほど監督がおっしゃった「信じられる」作品につながっていくのかもしれませんね。

チェン監督 そうかもしれませんね。


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