【ほぼ週刊 映画紳士タモ コラム VOL.40】「男のM化
がどんどんと進行中だ。テレビをつければニューハーフだとか明らかにそれと分かる人たちが何だかだとせせこましく喋っている。何が悪いって言うわけじゃぁないのだけど彼等の個性の強いことと言ったら大阪のオカンも及ばない。それは多分生殖力を捨てたため芽生えた生命力なのだろう。それに引き換え男のフェロモンを出して男っぽさを強調することはもはや少数意見的変人扱い化されてしまっている。
昔はSM志望の男は皆Sに群がってきたのに今はどうやら逆転しているらしい。何と言っても日本人の夫婦は7割がセックスレスという衝撃的数字。性欲の減退、それに代わるヴァーチャル嗜好の膨張とAKB的オタクの拡大。恐ろしいことに共立女子大の鹿島茂教授の唱えるおままごとボーイ=オス衰弱説の正当性が日に日に高くなっている。

その衝撃は今から36年前のことだった。突如日本征服してしまった映画『流されて...』が公開された当時はどうだったろう。まだまだ男はオスとして強いパワーを発揮していたのかどうか。正に男の復権、女の服従を堂々とテーマにした映画がイタリアからやって来たのだから最高のタイミングで大ヒットとなった。この年公開された『エマニエル夫人』とともに実はその要因として映像がきれいだったとか男たちが失って久しい弱肉強食ストーリーなどの話題もあるが、何よりも若い女性が劇場にどっと詰め掛けたことがあげられる。今までは観たくても観られなかった女性に勇気を与えた映画だったのだ。
夏のバカンスで地中海ヨットクルーズを楽しむお金持ち夫婦の仲間たち。中でも一際わがままで気位の高いラファエラが下働きのジェナリーノに無茶を言ってボート遊びに出るがエンジンが壊れ漂流してしまう。見つけたのは無人島、そこで二人は原始共同生活を営むことになる。そうなれば強いのは男、今まで命令ばかりしていたラファエラは真逆の立場に。ジェナリーノはここぞとばかり責めまくる。やがて二人はSM反作用で究極の恋人同士になるがクライマックスはさらなるどんでん返しが待っていた。

今を見据えたような内容もさることながらフェリーニの助監督を務めたリナ・ウエルトミューラーの女性ならではの視点と芸術性。前年に公開されたリリアーナ・カヴァーニの『愛の嵐』もヴィスコンティ命の女流監督だった。この頃からわが国でも第1次オイルショックがもたらしたオバンパワーを筆頭に田中内閣が倒れ長島茂雄が引退するなどタフな男が去り、世の中の風俗リーダーは確実にS化した女王様時代に移行していったのである。

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