【ほぼ週刊 映画紳士タモ コラム VOL.24】女は本能で愛するべきものだ
とは、我等がオジサン・アイドル、ウーゴ・トニャッツイの『狂ったバカンス』のなかでの台詞。イタリアのどこにでもいそうな小金持ちでお洒落でモテモテの中年男を演じてマストロヤンニと並んで人気のあった俳優だが、その等身大ともいえる自然で憎めない演技はいつも哀歓に満ちていて笑ったり泣かされたり。この映画でも冒頭で彼のナンパ法を自信満々伝授する。別に威張って言えるほどのこともないのだが、速攻&即肉体的接触を図るというイタリア的中年男の本能丸出し戦法だ。これでいいのかねえって日本人の真面目なオジサンは今でもこれができない。だが狙った相手がオジサンに似合う年齢の女性なら問題なく積極的アタック法として感心するのだが、この『狂ったバカンス』では相手が相手だからいけません。少女と女の境界線にたたずむカトリーヌ・スパークだからなおさらいけません。前作『太陽の下の18才』の大ヒットで彼女の出演作は国内の配給会社で取り合いの騒ぎを巻き起こすほど(結果東和が『狂ったバカンス』を、次作『禁じられた抱擁』はヘラルドが獲得した)。それもそのはずこの時代、キューブリックが放った禁断のロリータ旋風が吹き上がる中でのスパーク版とあれば受けることは必至だった。スポーツカーで息子の寄宿舎に行く途中、2台の車に分乗する若者グループにつけまわされ親切心からガソリンを上げたのが不幸の始まり。純真とはいえないオジサンだからしょうがないがいつしか親切心はスケベ心に変わり、心の葛藤は安易な肉体的快楽を求めてしまう。そこをここぞとばかり攻めまくるヘソ出しルックの小悪魔スパーク。ときには目の前で白い水着に着替え、ときにはセーター1枚で長い足を見せつける。父親と違わない年の男を弄び、やがて晩夏の海岸を後に何事もなかったように去ってゆく良家の子女的快濶さ。愛は妄想だとウーゴは言ったが、やはり本能だけでは愛は成就しなかったのだ。後に『女王蜂』ではマリナ・ブラディを相手に子作りに励んで死んでしまう男を演じたのも面白い。それにしてもあの頃はどこでもダンス・パーティなるものが流行っていた。パーティ券を買って会場に行くと直ぐ女の子を探す。アダモの♪ブルージーンと革ジャンパー♪が流れれば待ってましたとばかりチークタイムだ。若さこそ本能が許される季節だったのだ。

『狂ったバカンス』DVD情報
http://shop.cinemart.co.jp/shop/goods/goods.aspx?goods=OPSD-S894
「愛蔵版 欧州女優コレクション」公式HP
http://www.oushu-joyu.com/




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