【ほぼ週刊 映画紳士タモ 連載コラム VOL.15】時よ、止まれ、君はあまりにも美しい・・・
これはゲーテの「ファウスト」の中の言葉として突出して有名だがミュンヘン・オリンピックの記録映画の日本タイトルにもなったくらいだから印象深い。でも実際時間を止められる訳ではないので我々映画ファンというか欧州女優ファンは皆、自分たちの或る時間を瞬間じゃなく結構長い間止めていることになる。永遠というか死ぬまでといった方が良いくらい止めっ放しである。そこには美しい女優たちとの儚くも心騒ぐひと時がある。ロッサナ・ポデスタとは『トロイのヘレン』の2年前に出演した『ユリシーズ』から時は止まったままだ。ホーマーの叙事詩「オデッセイ」の映画化で、シルヴァーナ・マンガーノさえも存在を薄くしてしまうほどチョイ役ながら正に神がかり的な可憐さだった。『トロイのヘレン』では女奴隷役で当時20歳のブリジット・バルドーが出演していたが初々しい魅力は認めるが時は止まらなかった。バルドーはハリウッドの映画作りのスケールに驚き、また同い年でありながら主演を張るポデスタとの扱いの格差を見せ付けられて2度とアメリカ映画には出ないと決心したという。

さてこの時代、清楚でありながら豊満な美女といえばシルバ・コシナも忘れられない。『鉄道員』のジュリアである。監督のピエトロ・ジェルミは当時23歳の彼女に不実の愛に悩む娘を演じさせているが、彼女の美しさにはごくありふれた家族の日々を描く中で、現代に通じる女性のひたむきな夢が込められていたような気がする。そんなポデスタとコシナが共演したのは『黄金の七人・1+6エロチカ大作戦』だった。製作・原案・監督は『黄金の七人』シリーズのマルコ・ヴィカリオだが、残念ながら映画の中身はまったく非なるもの。睾丸が何と3つあるという精力絶倫男を巡っての三つ玉大作戦で、まだまだ妖艶さ漂う二人のお色気シーンが最大の売り物で、配給会社はタイトルだけ借りたのだ。しかしこの会社は80年代になって17歳の少女から僕の中では止まったままのカトリーヌ・スパークとポデスタ、コシナの3人が共演した大興奮作『サンデーラバーズ』を東京銀座のシネマ2で公開してくれたから許してあげましょう。
「愛蔵版 欧州女優コレクション」公式HP
http://www.oushu-joyu.com/




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