『ス』チ・ジニ来日舞台挨拶 in シネマート六本木

内容

現在、絶賛開催中の《韓流シネマ・フェスティバル2008春》。そのゲストとして、主演作である『なつかしの庭』『ス』とゲスト出演している『まぶしい日に』という3作品が上映されているチ・ジニが来日。『なつかしの庭』と『ス』の2作品で舞台挨拶を行った。もちろん、チケットは発売と同時に完売。ここではスペシャルゲストとして崔洋一監督も登場した『ス』の舞台挨拶の模様をご紹介します。



MC:皆様、チ・ジニさんです。


チ・ジニ:お会いできて嬉しいです。見覚えのある方もいらっしゃいますね。


MC:今年の《韓流シネマ・フェスティバル2008春》では、チ・ジニさんの出演作が主演作も含めて3作品(主演『ス』『なつかしの庭』 ゲスト出演:『まぶしい日に』)上映されていますが、その感想は。

チ・ジニ: 10本あまり(シネマート六本木では特別上映の2本も含めて全14作品)の上映作品の中で3本の出演作が上映されるのは本当に嬉しいことです。来年は出演作がないと思いますので、再来年に出演作を上映していただければと思っています。この『ス』は特別に思い入れのある作品です。それは崔洋一監督と苦労を重ねながら作り上げた作品だからです。私自身は本当に楽しみながら撮影をすることが出来ました。皆様はいかがでしょうか。

MC:楽しみながら撮影することが出来たとおっしゃっていましたが、激しいアクションシーンも多く、実際は大変だったのでは。

チ・ジニ:撮影に入る3ヶ月ほど前から、毎日、2、3時間の武術の練習を重ねました。私よりもスタントマンの方が、劇中で私に殴られたりと本当に苦労をしたと思います。私の相手役だったスタントマンで撮影中に靭帯を切られた方もいて、気の毒に感じました。 私も多少の怪我はしましたが、大事には至りませんでした。アクションをするのは爽快な気分でした。




MC:靭帯を切られたスタントマンの方のお見舞いには行かれたのですか(笑)。


チ・ジニ:ええ、お見舞いにも行きました。幸いにも軽症であったこと、元々、運動もしていたので回復も早かったようです。実は、私も2、3箇所くらいは骨が折れるのではないかと覚悟をしていました。


MC:日本の崔洋一監督ということで、従来の韓国映画と比ての演出の違いは感じましたか。


チ・ジニ:確かに今までの韓国映画とは違う印象でした。最近の韓国映画にはどちらかといえば「軽めで楽しめる作品」というトレンドがあります。崔監督の作品は言葉で説明するのは難しいのですが、重さを感じます。正面から圧迫されるような重厚感を感じることが出来る新しい印象です。今までの韓国映画ではそういった作品がなかったので、観た方には新鮮な印象があったと思います。





MC:実は今日はスペシャルゲストをお招きしています。崔洋一監督です。督が現れたときに黄色い歓声があがりましたね。今の感想は。


崔監督:この声だけでドキドキしています。今日が最初で最後ではないでしょうか(笑)。
(客席から「監督!」の声)
崔監督:ありがとうございます。一言お礼を申し上げたいと思います。(撮影、製作は)激動の1年半でした。チ・ジニがいなければ、この映画はなかったと思います。本当に感謝しています。それと靭帯を切った犯人は俺だ!そうしようと思ったのは僕なので、一部責任があると思っています。さっき、多少の怪我をしたとチ・ジニは言っていましたが、撮影は本当にしんどかったと思います。男です、こいつは!


MC:チ・ジニをキャスティングしたポイントは。


崔監督:これは出会いですね。普段は日本映画界で仕事をしている僕と韓国映画界で大活躍をしているチ・ジニの出会いの一瞬です。制作会社の傍の高級料理屋で昼食を一緒にとったのですが、チ・ジニは物静かで、肝が据わったどっしりとした男でしたね。そのときは僕も寡黙だったんですね。普段はおしゃべりなのに(笑)。ソウルを離れてからチ・ジニのインタビューを読んだら「こいつ(崔監督)はヤクザだと思った」と話していましたが、違うだろう(笑)。人と人の出会いは前提もなしに会い、一瞬でこの目の前の人間と仕事をするんだとも感じるのです。チ・ジニもそう思ってくれたと思います。この意味不明な日本から来たおじさんと運命を共にするということでふたりは出会ったのだと思います。


MC:これまで出演してきた韓国映画と崔監督の演出の違いは。


チ・ジニ:本当に違うなと感じました。でもそれは育ってきた環境、映画製作の環境も違うのですから当然だと思います。私は崔監督を本当に信頼していましたので、演出の違いは全く問題になりませんでした。状況によってはそうした信頼もゆがみますが、今回はそういうこともなく、第一印象のままに監督を信じていきました。本当に力のある監督です。男のことは男がよく分かります。





MC:崔監督は厳しい監督として知られていますが。


チ・ジニ:監督は徹底的に完璧を求めて仕事をする方です。ですから厳しいという概念とはちょっと違います。俳優やスタッフで監督のことを厳しいと思った方は、そう思った方がミスをしたのでしょう。監督は完璧を求めている方ですから、私はその助けになりたいと思っていました。本当に素晴らしい方でした。


崔監督:涙が出た。


MC:チ・ジニさんに期待されること、韓国映画への期待は。


崔監督:彼は僕より若く、色んな幅を持ち、様々な監督と仕事をしています。事実、中国映画にも出演し、僕とも組んでいます。僕は彼には世界へ出て行って欲しいと思っています。もちろん、韓国映画、韓国のテレビドラマも我々に影響を与えてくれますが、私より若い世界の才能と出会い、チ・ジニが活躍することを願いたいです。そうした可能性を秘めています。彼の話を聞けば分かるかもしれませんが、彼の意識とは別にすでにインターナショナルな方です。そういう意味で様々な世界の様々な若い作家たちとの仕事を期待しています。そして、大金持ちになって、僕に声を掛けてくれればいいかなと思っています(笑)。大好きな男です。





MC:今後のアジア映画の可能性は。


チ・ジニ:質問への回等の前に、今の監督の話を聞き感じたのですが、監督は私より年上ですがこれからも作品を作っていくと思います。私は1本でも多く、監督の作品に出演できればと思っています。これは社交辞令ではなく、監督の映画に出演することは本当に光栄です。そのためには私ももっと頑張らなければと思っています。
アジア映画は大きな可能性を秘めていると思います。今回の『ス』も合作で、崔監督にとっても新たな試みであったと思います。映画は監督、俳優、スタッフが1カ国にとどまる必要はないと私は考えています。ですから、これをきっかけに多くの方に多くのトライをしてもらいたいと思います。映画界で芸術に携わっている方は自由な発想ができるはずなのに、どちらかというと保守的になることもあると思います。そういった部分を打ち破り、もっと自由に作れば、アジアでもいい作品がもっと生まれるのではないかと期待しています。


崔監督:素晴らしいですね。今、チ・ジニが言ったことを憶えて、他でも言おうかと思いますが(笑)。今回は東京の六本木でこういう機会を与えていただき、嬉しく思っていますが、チ・ジニが言ったように、我々が越境していく、どんどん国や民族の境を越えて、1本の映画のために集まるということは異能や異才と出会っていくことでもあります。それが我々作り手にとって大切なことだと思います。次は香港のプレミアで会うかもしれませんし、これが上海かもしれないし、ニューヨークの大きなプレミア会場で会うことがないとも言えません。そういう可能性をアジア映画は秘めていると思います。そのためには皆様の支持が必要ですし、私たちは今日、会場に来ていただいた皆様のような人々の熱意に甘えることなく、努力をしていきたいと思います。僕ももうちょっとはやれると思っています。
話が戻りますが、撮影中に僕がいきりたつと、チ・ジニが日本的な「まあまあ」ではなく、スットやって来て、きちんと「監督次はどうしましょうか」などと言い、僕を沈静化させるのです。撮影中はその繰り返しがありました。そういう意味ではすごく助けられました。
今日は六本木ですが、明日は香港で会いましょう!


MC:最後に挨拶を。


崔監督:ふた言です。感謝します。ありがとうございます。


チ・ジニ:本当にありがとうございます。皆様、元気でお過ごしください。そして、笑顔で過ごしてください。笑うと新しい世界が広がると思います。


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