『リサイクル -死界-』パン・ブラザース監督(ダニー&オキサイド・パン) インタビュー

内容

今年(2007)、ハリウッド進出第一弾となる『ゴースト・ハウス』(7月21日全国ロードショー)が全米ボックスオフィスNO.1を記録したダニー&オキサイド・パンのパン・プラザース(パン兄弟)監督。香港、タイを拠点に活動し、スタイリッシュな映像、独特な味わいを持ったホラー作品を生み出し、映画祭での評価など、既に高い評価を獲得していたパン・ブラザース監督だが、『ゴースト・ハウス』の全米No.1獲得により、名実共に現代のホラー映画を牽引する存在となったことは間違いないだろう。

そんなパン・ブラザース監督の新作『リサイクル -死界-』が公開される。この作品はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された他、ポルトガル国際映画祭での受賞、香港アカデミー賞での受賞など世界的に高い評価を獲得。その評価通り、作品もタイトル以上の深みを持った物語、映像のセンス、主演のアンジェリカ・リー(『the EYE』)の好演などホラー映画ファンはもちろん、アジア映画ファンにとっても見どころの多い、ホラーと片付けるだけではもったいなさ過ぎるパン・ブラザース監督ならではの世界に仕上がっている。この作品『リサイクル -死界-』の公開に際し、パン・ブラザース監督に電話インタビューを行うことが出来た。

Q:作品を観て、『リサイクル -死界-』というタイトルの意味する部分に感嘆したのですが、アイデアはどのように生まれたのでしょうか。

A:作品のアイデアは環境保護の意識から生まれました。環境保護をしっかりやらなければ、恐ろしい世界を自らが作り出すことになるとよく話しますが、その恐ろしさをホラーの中で表現しようと思いました。

Q:作品には“アイデアの墓場”も出てきますが、パン・ブラザース監督のアイデアの墓場を作るとしたら、どれくらいの山ができますか。

A:たくさんの山になりますね。例えば、この作品ではゴミ捨て場や、捨てられた動物も撮りたかったのですが、時間の制約などで撮ることを諦めざる得ませんでした。

Q:ホラーといっても、監督作品は人間の切なさや感情を上手く描いています。どうして、単純な怖さのみを描こうとしないのでしょうか。

A:我々、物を作る人間は常に何か新しいものを作り出そうと考えています。いつも同じ場所で足踏みをしているような、ただ単純に怖いだけの作品は観客も飽きるでしょうし、それ以前に我々が飽きてしまうから、描かないのです。

Q:では、すでに具体的な新しいアイデアはお持ちなのですか。

A:あります。今度はポリス・ストーリー、よくある警察と泥棒の話を撮ろうと思っています。そして、新しい試みとしてその中にホラー映画の面白みを入れ込もうと考えています。通常のエキサイトなポリス・ストーリーではなく、今までにない怖いポリス・ストーリーを撮ろうと思っています。

Q:そういった形でホラーにこだわる理由はどこにありますか。

A:我々がこだわっているわけではなく、市場の需要です。

Q:今回の作品では荒廃したアパートメントの中にある荒廃した遊園地など、セットがとにかく印象的だったのですが、それはどのように構築していったのですか。苦労はありましたか。

A:通常通りのやり方でやっています。もちろん、時間とお金をかけてやるしかないのですが。もっとも辛かったのはセットではなく、実景で撮影した橋のシーンです。真夏の撮影だったため、熱中症で倒れるスタッフが出るなど、あのシーンは大変でした。セットは自分たちが求めた以上のものができました。

Q:作品でのあのシーンは青みがかり、逆に寒さを感じますよね。

A:それが映画の持つ魔力だよ。

Q:アンジェリカ・リーの起用は『the EYE』以来だと思いますが、女優としての成長を感じましたか。

A:演技全体とリズムの取り方、テンポのよさに成長を感じました。例えば、作品の中で彼女が驚くシーンが何度もありますが、実際の撮影ではそこは何も見ていない、自分のイマジネーションのみで作り上げるしかありません。ここが役者にとって、ホラー映画で最も難しい部分です。それを彼女は本当に見事に演じました。

Q:兄弟で監督をする利点と難しい点は。また、今回の作品ではどのような役割分担がありましたか。

A:利点はふたつの脳でひとつの作品を創作できることです。難しい点は100%信頼しあい、協力しなければ、そうした利点や効果も出ないということですね。今回の作品でも特に役割分担などの区別はしていません。脚本を書くとき、ストーリーボードを書くときはふたり一緒ですし、実際の撮影現場では分業しながら、撮影をしていきます。そして、相手の撮ったものをもうひとりが編集するのです。そうすれば、素晴らしい作品が出来上がるのでが、ここは一番難しい部分でもあるのです。

Q:最後に、この作品を観る日本の映画ファンにメッセージをお願いします。

A:怖いだけでなく、反省する気持ちになってくれれば、人生の中で何か忘れ去っていないだろうかと思い出してもらえればと思います。

『リサイクル -死界-』は6月23日より、シネマート六本木にてロードショー。

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