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前半のキーパーソン、絶対的な悪役“董卓(とうたく)”

 曹操を語る上でも、「三国志」を語る上でも、前半のキーパーソンとなるのは、やはり董卓(とうたく)だろう。羅貫中(らかんちゅう)がまとめた「三国志演義」以降、悪役として描かれてきた曹操が、近現代においては政治家としての評価が高まり、映像化作品や漫画などで主人公として描かれるケースが増えてきた。それに対し、董卓は常に紛うことなき絶対的な悪役として存在し続けている。これは、陳寿(ちんじゅ)が記した歴史書「三国志」において「残忍で暴虐非道な男」と評されているからに違いない。
史実を大胆に脚色した「三国志演義」ではなく、歴史書でここまではっきりと示されると、悪人を善人には変えづらいのだろう。また、曹操、袁紹(えんしょう)、孫堅(そんけん)、劉備(りゅうび)といった英傑たちが力を結集して戦おうとするという面においても、董卓が悪の役割を果たすことは非常に重要なのだ。一方で、董卓の死に関しては、ほとんどの映像化作品で史実とかけ離れたエピソードが採用され、語り継がれている。王允(おういん)の養女・貂蝉(ちょうせん)を巡って、董卓と養子の呂布(りょふ)が対立するというのは完全に創作。貂蝉は架空の人物なのだから。しかし、このエピソードは昔から人気で、貂蝉は実在しないのに、楊貴妃(ようきひ)、西施(せいし)、王昭君(おうしょうくん)と並ぶ古代中国四大美女の一人に数えられている。ちなみに、本作では歌手・女優として人気の美女、セシリア・ハンが貂蝉を演じている。