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カムバック!イ・ヨンエ

エンタメライター&編集者の高橋尚子さんが贈る、『師任堂(サイムダン)、色の日記』放送前の復習コラム。

まずは、本作が13年ぶりのドラマ復帰となるイ・ヨンエを復習。放送前に、幅広い彼女の出演作と併せて、彼女の女優人生をふりかえってみましょう。

第1回:ドラマ編~メロドラマの女王  (2017.1.5更新)
第2回:映画編~美しさを武器に    (2017.1.6更新)
第3回:時代劇編~世界的お茶の間層へ (2017.1.10更新)

第3回:時代劇編~世界的お茶の間層へ

"メロドラマの女王"として一時代を築き、凛とした輝きで映画界からも愛されたイ・ヨンエですが、彼女の名を世界的お茶の間層にまで知らしめたのは、間違いなく『宮廷女官 チャングムの誓い』でしょう。

「宮廷女官チャングムの誓い」


日本をはじめ、海外における"韓国時代劇ブーム"の火を付けた作品であり、イ・ヨンエの活き活きとした魅力が詰め込まれた1本です。


その前に。

実は、イ・ヨンエ初の時代劇は、95年の『宮廷女官キム尚宮』まで遡ります。主人公は、光海君を王にすべく陰で支えた敏腕尚宮キム・ゲシ(キム・ケットン)。
『王の女』『華政』でも出てきたので、歴史ドラマ好きには馴染みの人物でしょう。

キム・ゲシ(『華政』より)


"悪女"として知られるこの人物に扮したイ・ヨンエは、野望渦巻く宮中で巧妙な駆け引きによりのし上がっていく華麗な生きざまを堂々たる演技で魅せ、高い評価を受けました。

初の時代劇で初主演、さらに歴史に名高い悪女という難役を、デビューからわずか2年で演じ切ったわけです。


同年の2時間ドラマ『イ・ヨンエの宮廷料理人』(95年)の好演と合わせ、時代劇との好相性は保証済み。その後、メロドラマや映画での活躍を経て、2003年、満を持して臨んだ時代劇大作が『〜チャングムの誓い』です。

聡明でありながら、ボールのようにどこに飛んでいくか分からない快活なヒロインは、王や歴史上の偉人を主人公にしたこれまでの時代劇の重厚なイメージを一新し、国境を越えて幅広い世代から愛されたことは周知の通りです。

物語は、母の遺志を継ぎ、宮廷女官の道を進むチャングムが、水刺間(スラッカン)の料理人として頂点を目指し、さらには医女として究めていくまでの半生。

「宮廷女官チャングムの誓い」


前半は、持ち前の好奇心と行動力で、問題に首を突っ込んでは周囲をヒヤヒヤさせたり、ピンチをチャンスに変えて成功を掴んだりと、その痛快な活躍は目が離せません。

危なっかしい面もあったチャングムが宮中を追われ、医女として再び宮廷に戻る後半は、芯の強さや意思の強さがぐんと際だち、1人の女性としての成長も目を引くことに。


チャングム役にイ・ヨンエを熱望した"時代劇の名匠"イ・ビョンフン監督は、こう語っています。

「多様な表情を持ち、魅力溢れるチャングム役に必要なものは、第一に知的さでした。
それから、自分の目的を果たそうとする粘り強さと正義感。さらに、恋に落ちる女性としての愛らしさ、直向きさ、豊かな情緒もあってほしかった。
それをすべて満たしていたのが、イ・ヨンエさんだったのです


時代劇の人物に相応しい気品も、彼女の武器。

私生活では二児の母親になり、豊かな人生経験を加えた今、イ・ヨンエが魅せる新たな"時代劇メロ"『師任堂(サイムダン)、色の日記』に、期待が高まります!


「宮廷女官チャングムの誓い」©2003-2004 MBC


「華政」
発売元:フジテレビジョン/ポニーキャニオン
(C)2015 MBC

Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。

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