リサイクル ‐死界‐

イントロダクション&ストーリー

恋愛小説のベストセラーにより、一躍人気作家となったディンインはその小説の映画製作発表の席上で霊体験をテーマにした新作小説の構想とタイトルを明かす。しかし、その小説はタイトルがあるのみで、具体的な内容は全く固まっていなかった。自宅のアパートメントにこもり、彼女は小説の執筆に取り掛かるが、書いては消しの繰り返しで、大筋すらも固まることがない。そんな中、キッチンやシャワールームに明らかに自分のものではない女性の髪の毛が落ちていたり、女性の影が横切る姿が見えたり、ノイズ交じりの電話が何度もかかってきたりなど、彼女の周りで奇怪な現象が起こり始める。

筆が進まないながらも、作品に没頭しているために起こる幻覚なのか、それとも現実なのか、混乱の極みの中、彼女はある事実に気付く。それは自分が原稿として書き記した出来事が起こっているということだった。そして、原稿に書いた出来事が、別の次元へと彼女を運んでいく。

自分が書いたことが現実になっていくという展開は、いかにもホラー的だが、この作品はそこに留まらず、新たな展開へと入り込んでいく。ディンイン自身が入り込んだ別の次元とは人間が廃棄してきたもので出来上がっている世界なのだ。そして、その世界はディンイン自身が心に隠し続けている闇へも繋がってくる。

コラム・見どころ

単なる恐怖ではなく、ディンイン自身が心に隠し続けている闇、切なさを伴ったこの作品を監督したのは、ハリウッド・デビュー作『ゴースト・ハウス』で全米興行成績第1位も獲得し、アジアという枠を超えて、世界的な注目を集める監督となったオキサイド&ダニーのパン・ブラザース。アジアン・ホラーの旗手でもある彼らの描く世界はホラーという枠を超えた深みを持っているが、この作品でもそうしたテイストが十二分に現れている。作品タイトルには“リサイクル”と付いているが、パン・ブラザース監督は「環境保護をしっかりとやらなければ、生まれるかもしれない恐怖をこの作品で描こうと思った」と語っている。でも、そこに展開されている恐怖は、一般的な“リサイクル”という言葉で片付けられないものであり、それが大きな魅力を生み出している。

そうした物語展開の深みに加え、この作品で圧倒的なのはディンインが迷い込んでしまった人間が廃棄してきたもので出来上がっている世界である。この世界は死者はもちろん、ゴミ、アイデア、胎児など様々なもので構築されているのだ。それを巨大なセットや実写で再現した映像は本当に圧倒的だ。

作品はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された他、ポルトガル国際映画祭ファンタジー部門、香港映画賞での部門賞の受賞など高い評価を獲得してきている。主演のアンジェイカ・リーの好演、ロールプレイング・ゲーム的物語展開の面白み、そして、最後は切なさが胸を打つ、ホラー好きのみに独占させておくにはもったいなすぎる作品だ。

キャスト・スタッフ

出演:
アンジェリカ・リー/ラウ・シウミン/レイン・リー/ローレンス・チョウ
監督:
オキサイド・パン/ダニー・パン
脚本:
オキサイド・パン/ダニー・パン
撮影:
デーチャー・スリマントラ
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