イノセントワールド-天下無賊‐

イントロダクション&ストーリー

妻が出掛けたのを見計らい、英語の個人レッスンをしてくれている美しい女性に襲い掛かるある企業の社長。しかし、社長はその場をある男に撮影され、逆に脅しを受け、高級車を盗み取られてしまう。社長を脅した男の名はワン・ポー。彼と女性教師を演じたワン・リーは詐欺とスリを生業とする恋人同士だった。しかし、この仕事をまだ続けたいと思うワン・ポーと、もう止めたいと考えているワン・リーは車内で口論となり、ワン・リーは車を降りてしまう。そんなワン・リーに声を掛け、駅まで自転車で送ってくれたのが、シャーケンという純真無垢な青年だった。

ワン・リーは駅でワン・ポーと再会。シャーケンは都会で稼いだ大金を手に田舎へと戻る列車に乗ろうとしていた。シャーケンは泥棒がいるなんて全く信じてもいないし、信じようともしない。そんなシャーケンをワン・リーはスリだらけの列車内で、彼に悟られずに守りきることを決意。一方、ワン・ポーは最終的にその大金を自分のものにしようと画策し始める。こうして、シャーケンの持つ、無防備な大金を巡り、スリたちの攻防戦が繰り広げられていく。

コラム・見どころ

中国映画というと、どうしても文芸的、芸術的な作品のイメージが強いが、この作品の監督であるフォン・シャオガンは「95%の芸術的な作品に対する5%のエンタテインメント作品」を作り出しているひとりだと自ら語っている。シャオガン監督はそうしたエンタテインメントを送り出す監督の中でも最高のヒットメイカーであり、常に中国で公開されるハリウッド映画以上の収益をたたき出している。今まで、彼の作品は日本でもいくつかロードショー公開されてきたが、今年はこの作品とチャン・ツイィー主演の『女帝 エンペラー』が公開されることにより、更なる注目を浴びることは間違いないだろう。

主演のワン・ポーを演じるのは香港が生んだ亜細亜を代表するスター アンディ・ラウ、ワン・リーを演じるのは台湾を代表する演技派女優であり、歌手としても活躍するレネ・リウ、列車内のスリたちのボスをシャオガン監督作品の常連であり、多くの中国映画で活躍する名優グォ・ヨウが演じている。アンディ・ラウにとってはこの作品が中国映画への本格的な進出の第一歩となるが、台湾のレネ・リウも出演していたりと、こうした部分には確実に変わりつつある中国映画界が感じ取れる。

シャーケンを守ろうとするワン・リー、他のスリたちからシャーケンを守りつつも彼の持つ大金を自分のものにしようとするワン・ポー。ワン・ポーとワン・リーの関係、列車内の人間関係の駆け引き、狭い列車内を縦横無尽に使用したアクションシーン、そして巧妙なスリの手口など、エンタテインメント的要素をふんだんに盛り込みながら、物語は列車の持つスピード感と同様に、先へ先へと進んでいく。

シャオガン監督はこの作品について「戦争や衝突の多い時代だからこそ、夢のような世界を描こうと思った」と語っている。日本ではサブタイトルとなっている“天下無賊”とは“泥棒のない世界”を意味しているのだが、ワン・リーの想い、ワン・ポーが心の葛藤の末にたどり着くクライマックスのシーンには多くの観客が感無量となるはずだ。

キャスト・スタッフ

出演:
アンディ・ラウ/レネ・リウ/グォ・ヨウ/リー・ビンビン/ワン・バオチアン/チャン・ハンユー
監督:
フォン・シャオガン
脚本:
フォン・シャオガン
撮影:
チャン・リー
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