相棒 シティ・オブ・バイオレンス

イントロダクション&ストーリー

昔の生き様に蓋をし、バーの経営者として静かに暮らしていた男 ワンジェが店で厄介ごとを起こした若者たちに殺された。刑事としてソウルで働くテス、この地元の顔役であるピロ、学生の頃からワンジェに助けられていたドンファン、その弟で無鉄砲なソックァンという高校の頃、一緒に喧嘩や悪戯に明け暮れた仲間たちも葬儀には集まっていた。夢と希望に溢れていたあの頃から20年近くの年月が流れ、それぞれの生き方、この田舎の街も大きく変わっていた。例えば、司法書士を目指していたドンファンはその夢をかなえることが出来ず、弟との関係もうまくいっていない。街では観光特区によるカジノ誘致などを巡り、用地買収の動きが盛んになっており、それを引率しているのがピロだった。そんな中、テスとソックァンは独自にワンジェを殺した連中を探り出そうとする。

コラム・見どころ

キム・ギドク監督、パク・チャヌク監督など、韓国映画界の中でも独自の位置を保ちながら、世界的な評価を受けている才能は多数存在している。この作品を監督したリュ・スンワンもそうしたひとりである。自らが企画、監督、脚本、主演までも手がけた長編デビュー作となるオムニバス作品『ダイ・バッド 死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか』で韓国国内の圧倒的な評価と熱狂的なファンを獲得したリュ・スンワン監督は劇場長編4作目となる『クライング・フィスト』でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞している。その作風を貫いているのは肉体を徹底的に駆使した“アクション”である。

この作品は仲間の物語である。20年近くという時間の経過も関係なく、通じ合う部分を持っているがが、その時間の経過が変えてしまったものもある仲間たちの物語と仇討ちの物語が、最高のアクションを満載して、ここでは描かれていくのだ。弁護士を目指していたドンファンは何度となく司法書士試験に落ち、生きる自信をなくすとともに、そのことが家庭を逼迫し、弟であるソックァンとの関係を険悪にしている。街の顔役となっているピロはカジノのための土地取得のために恐喝をはじめあらゆる手段を講じていく。ソックァンはそんなピロの下で働いていたこともある。テスは刑事という真っ当な生活を送っているが、この故郷からはずっと離れて生活していた。高校生の頃の仲睦まじかった情景がフラッシュバックしながら、現在の彼らの物語は思わぬ展開へとはまりこんでいく。

ワンジェを殺した奴、黒幕を探し出そうとテスとソックァンは動き出し、少年、少女たちの襲撃を受ける。ヒップホップのダンス、アクロバティックな動きをするBMXなど、リズムに根ざしたストリートのカルチャーをうまく利用した今までにない興奮が味わえるアクション・シーン。ユニフォームに身を包み、金属バットを持った少年たち、ホッケーのスティックを持った少年たち、鎖を手にしたセーラー服の少女たちがホッケーのパッドと野球のボールを打ち込むことで始まる古典的な、でもあまりにも多人数の敵を相手にする商店街での大乱闘シーン。ラストの山場のシーンには日本の東映ヤクザ映画と香港アクションを感じさせるようなセンスと一難去ってまた一難というロール・プレイング・ゲーム的な展開を持ち込んでいる。作品の半分以上を占めるであろう、CGではなく、肉体を駆使した様々なスタイルのこうしたアクションはリアルさというより、コミックを読んでいるような面白みに溢れ、ニヤリとする感覚と興奮を味わえるはずだ。

ソックァンを演じるのはリュ・スンワン監督自身。「初心に戻る」という決意から、自らが主演をすることにしたという。同じく主演のテスを演じるのは武リュ・スンワン監督作品には欠かすことの出来ない俳優にして武術監督の韓国を代表するアクション俳優チョン・ドゥホン。正にこの作品タイトルのような関係でふたりが作り上げた「ハリウッドや香港映画とは違うアクション映画」がこの作品なのだ。また、ピロを『スーパースター☆カム・サヨン』のイ・ボムス、ワンジェを『ブラザーフッド』のアン・ギルガン、ドンファンを『王の男』のチョン・ソギョンが演じている。

韓国映画というと“女性”的なイメージが強いが、リュ・スンワン監督の作品は“男性”が存分に楽しめるエンタテインメント的なものとなっている。だからといって、“男性”のみの作品ではなく、コミック的な要素を持ったアクション・シーン、爽快感とテンポの良さは女性も十分に虜にしてしまうはずだ。韓国では公開2週間で100万人を動員する大ヒットを記録、欧米各国での公開もすでに決定している部分からもそうした面白みは感じ取れるはずだ。印象的なエンディング・シーンまで、韓国映画の持つ面白みをとことん味わってもらえればと思う。

キャスト・スタッフ

出演:
リュ・スンワン/チョン・ドゥホン/イ・ボムス/アン・ギルガン
監督:
リュ・スンワン
脚本:
リュ・スンワン
撮影:
キム・ヨンチョル
音楽:
パン・ジュンソク
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