素敵な夜、ボクにください

イントロダクション&ストーリー

カーリングの韓国代表チームのイ・ジンイルは大事な試合の一投で勝負をかけ、失敗。チームは試合に負け、そのプレイの責任を問われた彼は代表チームからはずされてしまう。半ば、自暴自棄になった彼は日本にいる後輩のパク・ファンソクの所へと遊びに行く。

女優として活躍する木村いずみは、その気持ち、プライドの高さとは裏腹に死体などさえない端役ばかりでフラストレーションが溜まる一方だった。ある日の夜、彼女は日本のおばさんたちに大人気の韓流スター、カン・スンヒョンが宿泊するホテルの前で、本物に出会い、一夜を共にする。これで女優としての成功を手にしたと確信する彼女だったが、目覚めるとスヒョンの姿はなく、彼女の故郷である青森への切符が残されていた。彼女は期待を胸に久々に帰郷し、「カン・スンヒョンと結婚する」と家族に話すが、その希望もあっという間に葬り去られてしまう。彼女がカン・スンヒョンと思っていたのは、彼にそっくりなイ・ジンイルだったのだ。

コラム・見どころ

「有名になる!」という自己欲にために“韓流”の人気スターと寝る木村いずみという女。彼女は思い込みが強く、自分勝手な相当に嫌な女である。勝手にカン・スンヒョンだと思っていた男が別人と分かると「責任を取れ!」とその場で大激怒。実はイ・ジンイルという男も自分がカン・スンヒョンに似ていると知った上で、女を口説くための日本語ガイドを片手に日本にやって来ているのだから、同じように嫌な男である。このふたり、お互いに強気で時分勝手な性格なのだ。でも、このふたりに振り回される周囲はたまったものじゃない。

「責任を取れ」、「お前も楽しんだじゃないか」などと大揉めになる中、ジンイルの後輩のファンソクから「有名になりたいなら、先輩にカーリングを教わって、オリンピックに出ればいいじゃないですか。」という思わぬ提案がされる。“オリンピックに出た女優=有名になれる”、この一点のみでいずみはその場にいた3人の幼馴染の友人、妹を巻き込み、カーリングへと乗り出していく。でも、カーリングなんて誰ひとりやったことがないし、ルールなんてひとつもわからない。ジンイルは全く協力する素振りすらない中、ファンソクをコーチに現実を安直に考えている素人たちの悪戦苦闘が始まる。

身勝手な主人公のいずみ、その妹でこれも我が道を行くタイプのひかり、カン・スンヒョンの大ファンである頑なで生真面目な裕子、唯一の主婦である聡子。幼馴染や姉妹という共通項以外は全くバラバラのキャラクターを持つ4人が、身勝手ないずみに引っ張られていく形でカーリングの世界にのめりこんでいく。最初はリンクに立つのもやっと、何とか形だけは出来るようになったが、小学生との練習試合でコテンパンにやられ、誰もがいずみの身勝手さについていけなくなり、チームは空中分裂。しかし、「有名なりたい」という気持ちはもちろん、“カーリングの魅力”に取り付かれ、ひとり練習に打ち込むいずみにジンイルが手を差し伸べ、お互いの関係が近づいていく。

出演は主人公のいずみ役に吹石一恵、ジンイル役に韓国を代表する男優キム・スンウ、ひかり役に関めぐみ、裕子役に占部房子、聡子役に枝元萌、ファンソク役に飛坂光輝。監督は『桜の園』『12人の優しい日本人』など多くの傑作を撮っている中原俊。男優としては韓国映画界から日本映画初主演となるキム・スンウは今後の韓国映画界と日本映画界を結ぶ架け橋、俳優たちの兄貴分として、並々ならぬ決意を持って、この作品に臨んだという。また、試合も含むカーリングのシーンは「日本カーリング協会」お墨付きといってもいいほど、現実に則った形で撮影されたという。この作品を観れば、あの独特の緊張感の裏にある計算、ストーンの軌道の美しさなどカーリングの更なる魅力にも気付くはずだ。

共通となる言葉もない中、コミュニケーションを取り合っていくジンイルといずみのシーンがいい味わいを生んでいたり、青森県内に実在する店が出てきたりと様々な点で見所があるが、何と言ってもバラバラなキャラクターの4人がカーリングの魅力に取り付かれ、それぞれに役割を見出し、チームとしてまとまっていく部分が、この作品の最大の魅力だろう。身勝手ないずみに振り回されながらも、それぞれが友情、恋、カーリングへの想いなどを通して、成長し、まとまっていく様がきちんと描かれているのだ。もちろん、悪戦苦闘、トラブルだらけの過程なのだが、だからこそ、彼女たちのあり方に大きな共感も生まれてくる。いずみは身勝手で掻き回すだけの嫌な女かもしれないけど、爆発的な力を持った牽引車的な存在でもあり、そのことを長い年月をかけて友情を培ってきた仲間たちも分かっている(実際、自分たちの周りにもこういう奴いるでしょ)。そういう部分では自分の仲間たちの顔を思い浮かべながら観ることのできる作品だろう。もちろん、基本路線は直球のラブコメなので、デート・ムービーとしてもお勧めだ(観た後にふたりでチャチャ入れてね)。

キャスト・スタッフ

出演:
吹石一恵/キム・スンウ/占部房子/関めぐみ/枝元萌/飛坂光輝/八戸亮/木野花
監督:
中原俊
脚本:
黒沢久子/袮寝彩木
主題歌:
広瀬香美  『サプライズ未来』
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