とかげの可愛い嘘

イントロダクション&ストーリー

ジョンガンの小学校に転校して来た黄色いレインコートを着た女の子 アリ。彼女は以前、ジョンガンが道で見かけ、心を奪われた女の子だった。自己紹介で彼女は、自分に触ると災難がおこる。その災難を防ぐためにレインコートで身を包んでいるのだと話す。生徒たちは半信半疑だが、実際にそういった事態が起こり、皆は彼女を敬遠し始める。しかし、ジョンガンだけは彼女と仲良くし続けるが、彼も彼女に触れたことから病気に罹り、彼女は彼の前から消えてしまう。

コラム・見どころ

ジョンガンにとっては一目惚れした可愛い女の子であるアリ、アリにとっては初めての親友で優しさを提示してくれた男の子ジョンガン。ジョンガンとアリの関係は仲睦まじいものから、子供時代の初恋へと変わっていく。恋には何らかのボディ・タッチングが生じてくる。でも、アリの生身の身体に触れたものにはちょっとした事故から極端な場合には死までが生じている。それは偶然かもしれないが、アリにとっては自分の身体にかけられた呪い以外の何物でもない。結局、ジョンガンもハシカに罹り、アリは彼の前から姿を消す。そしてジョンガンは転校をすることになる。10年後、高校生になったジョンガンはアリから突然の連絡を受け、彼女が以前住んでいた寺を訪ねる。ここでもふたりはお互いの気持ちを通わせていくが、アリに触れたジョンガンは発病してしまい、彼女は再び姿を消す。

そして8年後に彼女は職場のジョンガンの前に姿を現す。ジョンガンは探偵を使うなどして彼女を探しまくっていたのに、いつだって彼女は今まで何事もなかったかのように姿を現し、いつの間にか姿を消してしまう。これを繰り返されるたびにジョンガンの彼女への想いは強くなっていく。だから、この熱望していた再開に際し、ジョンガンは彼女が仕事が終わるまで逃げないようにその足を自分の靴紐で椅子に縛り付けるという行動にまで出る。

現れは消え、何年も経ち、何事もなかったかのようにまた現れ、消えてしまう彼女。彼女は自分の身体は生まれながらに呪われている、私のことを宇宙人が迎えに来る、英語が上手くなったのはお寺に欧米人の幽霊が出たからだなどと今まで何事もなかったかのように本当のような嘘のような話をし続ける。一見、翻弄する女とそんな彼女に一途の男という構図が浮かぶかもしれないが、そういった泥臭さは彼女が彼の前から消えた理由が判明するまでは感じることはない。それはアリの性格や姿勢が変わることなく、そうしたアリにジョンガンはぞっこんだからだ。だから、ふたりの行動は別れなど肝心要の部分では彼女が主導となる。「ここからこっちには来ないでね」と子供の頃と変わらないことが大人になっても繰り返されていく。

彼女を捕まえるチャンスは何度もありながらも、それを自分の優しさゆえに逃してしまうジョンガンだが、ある日、自分の前で「さよなら」をして消えたはずのアリを見つけてしまう。それまでは振り回されるままだったジョンガンは待ち続けるのではなく、自らが動き始める。こうして物語の流れはちょっとファンタジーじみたものから、現実味を持った、韓流らしい直球のラブ・ストーリーとして動き出していく。それまでの展開とこの先の展開、押さえつけていた気持ちと押さえつけることができなくなった気持ちという前後の絡みが昇華して出来上がっていく流れは本当に上手くできている。

主演はジョンガン役に『マラソン』のチョ・スンウ、アリ役に『トンマッコルへようこそ』のカン・ヘジョンという韓国を代表する若手演技派俳優のふたり。実生活でもカップルである、このふたりの演技力が作品の肝となっているのはもちろんだが、彼らの小学生時代を演じる子役も特筆すべきだろう。この子役の演技、パートがなければ、作品は凡庸な韓流作品でおわってしまっていたかもしれない。タイトルにある“とかげ”は小学生時代のアリがポケットに忍ばせている大切な親友。この“とかげ”は作品の中でふたりを繋ぐ重要なキーとなっている。

この作品が初監督となるカン・ジウンは「大人が読む童話のような映画です。純粋なジョンガンの姿に、忘れてしまった初恋のこと、これから経験してみたい恋のことを重ねてみてください。」と語っているが、その言葉通りにファンタジー的な味わいの中に初めての恋のときめくような気持ち、ひとりの人を愛し続ける気持ちを封じ込めているラブ・ストーリーだ。気持ちの良いストレートを投げられたかのような後味のラブ・ストーリーをぜひ、味わって下さい。

キャスト・スタッフ

出演:
カン・ヘジョン/チョ・スンウ/カン・シニル/チョン・ソファン
監督:
カン・ジウン
脚本:
ファン・インホ
撮影監督:
キム・ヨンフン
音楽:
パク・ギヒョン
  • コメント

一覧へ戻る