家門の危機

イントロダクション&ストーリー

韓国最大のヤクザである白虎組の女ボスの願いは未だ独身の長男インジェにエリートの花嫁を迎え、この家を真の名家にすることだった。彼女の息子たち3人の中でも長男の出来は飛びぬけているが、この長男は全く結婚をするきがないのだ。この日もインジェはホテルのロビーでお見合いをするが、相手に全く興味を示さない。それはインジェが目の前で交通事故死した昔の恋人を忘れられないからだった。しかし、この日、信じられない出来事が起きる。インジェはその彼女に瓜二つの女性とすれ違うのだ。

その女性の名はシンギョン。この日、ヤクザ対策担当の検事である彼女はホテルに滞在している釜組のボスの部屋へと向かったが、逆に釜組の面々に追われることになってしまう。偶然にもその状況に出くわし、彼女を救ったのがインジェだった。そして水と油のようなお互いの立場を知らずに、ふたりは近づいていくことになる。

コラム・見どころ

韓国では公開と同時に566万人を動員、2005年の年間興行成績第2位、歴代ラブ・コメディ第1位を記録したこの作品、日本では『大変な結婚』というタイトルで公開された作品(『家門の栄光』/2002年の年間興行成績第1位)に続く、シリーズものの第2弾となる。シリーズものとはいっても物語自体は1作目と関係のない独立したものになっている。前作から数年というタイムラグを考えると、これは仕方ない部分だろう。ただし、前作と共通するものもそこには存在している。それは田舎の力のあるヤクザの子供たちの伴侶を巡るテンヤワンヤの騒動である。

『大変な結婚』はIT企業の若き社長が酔って記憶をなくし、ヤクザの組長の大事な娘と一夜を明かしたことから沸き起こる騒動を描いた人情味にも満ちたコメディ作品だった。娘の父や兄たちは男の血統の良さも気に入り、なんとか、娘と男を引っ付けようと両人の意思も関係なく、動き回るわけだ。今回の作品ではヤクザの組である自分の家を名家にするために母親が長男を何とかしようと四苦八苦しているときに長男にとっては忘れられない女性に似た、ヤクザの家にとっては公務員という学のある女性が現れる。ヤクザ側には女がヤクザ対策担当の検事であること、女性には男がヤクザの跡取りであるということは分からない。でも、これはもちろん自然とばれ、「ヤクザの彼女が検事とは!」というお家存続の危機、テンヤワンヤの騒動が起こるわけだ。そんな恋の物語は後半、思わぬ展開になっていくが、そこは劇場で楽しんでいただければと思う。

長男の兄弟、母親や女に一方的な思いを寄せる同僚の検事など、主人公の周囲にいる人物たちの存在と行動がすごくいい味わいを出しているのだが、それ以上に従来の男臭いイメージとはふた味も違う、主人公を演じるシン・ヒョンジュンと女優だけでなくTVのバラエティ番組の司会者としても圧倒的な人気を獲得しているキム・ウォニのコメディアンヌとしての素晴らしさが印象に残る。特にキム・ウォニをヒロイン役として使ったことにより、いい意味での下世話さ、気風の良さが生まれ、この作品を単なるラブ・コメディとは違うレベルにしていると思う。

例えば、眠り薬で倒れたシンギョンをインジェは自分の部屋に保護するのだが(当然、彼女が起きた後にすったもんだとなる)、ここでは普通の女優ならやらないかもしれないなという出来事が起きる。また、ヤクザ連中の内偵に行った際にはある言葉に過剰に反応して、大立ち回りをみせる。こういったとにかく面白く、痛快なシーンがキム・ウォニという存在にピッタリとはまっているのだ。一方、、シン・ヒョンジュンは持ち前の男らしさはもちろんだが、その裏側にある情けなさがいい味わいとなり、役者としての新たな魅力を生み出している。

この作品は良くあるトレンディーなラブ・コメディではなく、ヤクザの男気と検事の女気が上手く絡まった“人情ラブ・コメディ”ともいうべきものになっている。要するに、幅広い世代が楽しめる面白さを持ったからこそ、この作品は韓国映画史上に残るヒットを記録したわけだ。ちなみに韓国ではこの作品と同じ主要キャストによるシリーズ第3弾『家門の復活』が公開され、大ヒットを記録している。『家門の危機』を観れば、この続編もぜひ!となるはずだ。

キャスト・スタッフ

出演:
シン・ヒョンジュン/キム・ウォニ/キム・スミ/タク・チェフン
監督:
チョン・ヨンギ
脚本:
キム・ヨンチャン
撮影:
ムン・ヨンシク
  • コメント

一覧へ戻る