ドラゴン・スクワッド

イントロダクション&ストーリー

多くの死傷者が発生した警察と黒社会の銃撃戦は香港社会を大きく揺るがした。香港警察は威信を賭け、この時に捕らえた黒社会の首領タイガー・デュンの弟パンサーを法廷に出廷させる準備を進め、その警護のために国際警察から若手5名を召集する。しかし、法廷へ向かう当日、護送車は襲撃され、パンサーはどこかへ連れ去られてしまう。国際警察の5人は任務を遂行できなかったことから、事実上の更迭として交通課にその身分を預けられる。交通課の責任者はあと5日で引退という男であったが、この5人の気持ちを汲み取り、事件へのヒントを与え、5人は事件の真相へと迫っていく。

コラム・見どころ

当初、パンサーは黒社会の首領タイガー・デュンによって連れ去られたと考えられたが、パンサーを連れ去ったのは黒社会の首領に対して大きな恨みを抱く組織であった。このパンサーを連れ去った組織は国際警察の若者が預けられた交通課の男とも深い因縁を有している。この辺りの関係性や個々が抱える状況などを散りばめながら、物語は進んでいく。基本は圧倒的なアクションであるのだが、この個々が抱えるドラマが相当に効いてきている。

といってもこの作品の基本はアクションである。冒頭からラストの国際警察の面々と組織の対決シーンまで、圧倒的な銃撃戦(香港映画史上最も銃弾を使用したとか)、カンフーなどの肉弾戦、カー・チェイスとこれでもかというくらいにアクションシーンが続いていく。2時間弱の作品だが、その半分以上はこうした怒涛のようなアクションシーンで占められている。ヴァネス・ウー、ショーン・ユーのファンである多くの女性たちが足を運ぶことが予想される作品ではあるが、こうしたアクションシーンや個々の持つドラマといい、実は相当な男臭さに満ちた作品なのである。

アクションシーンは香港映画らしい派手さ、キレに満ちたものだが、そうした部分だけでなく、早いカット割りで展開していく映像の美しさ、その映像と一体になったパーカッシブな音楽も光っている。特に大量の紙ふぶきが舞う中、袋小路となっているビルでの銃撃戦のシーン、ヴァネス・ウーがマイケル・ビーンを追いかけ、寺の中で一戦を交えようとするシーンなどは印象に残るはずだ。また、5人がそれぞれの腕を競おうとする射的のシーンもユーモアに満ちていて面白い。

監督のダニエル・リーはこの作品を自らが10代の頃に観て、影響を受けた日本のドラマ「Gメン'75」へのオマージュとして作り上げている。作品中にはその名シーンを監督なりに再現したシーン、監督が「Gメン'75」の大きな魅力として語る「一致団結して事件を解決するという一貫したテーマ」がきちんと描かれている。アクションは本家より何十倍も派手になったが、そこに内包するドラマの上手さなどはオリジナルの良さをそのまま継承しているわけだ。ちなみに「Gメン'75」の“Gメン”とは「アメリカ合衆国のFBI連邦捜査官の略称(government men)」から波及し、独立した権限を持つ特殊捜査官的な意味で使用されている。「Gメン'75」の“Gメン”も警察から独立した組織であり、この作品の主人公である国際警察の若者たちも香港警察に管理されながらも独立した存在となっている。

出演はアジア圏で圧倒的な人気を誇る“F4”のヴァネス・ウー、『インファナル・アフェア』シリーズで大きな注目を浴び、一躍、香港を代表する若手男優となったショーン・ユーという“華流”の人気スターに加え、『M:I:Ⅲ』などハリウッドを中心に活躍するマギー・Q、中国から『カンフーハッスル』のホァン・シェニー、『太陽の少年』のシア・ユイ、『ただいま』のリー・ビンビン、香港から『the EYE【アイ】』のローレンス・チョウ、サモ・ハン、サイモン・ヤム、韓国から『シルミド/SILMIDO』のホ・ジュノという若手からベテランまでのアジア圏の俳優に加え、ハリウッドから『ターミネーター』などで活躍するマイケル・ビーンが参加するという国際色豊かで魅力的なキャスティングとなっている。また、製作総指揮にはスティーヴン・セガールが参加しているのも注目だろう。

ヴァネス・ウー、ショーン・ユーなどのファンは彼らの格好良さに、往年のファンは交通課の責任者を演じるサモ・ハンの男っぷり、マイケル・ビーンの悪役ぶりに痺れ、怒涛のようなアクションの中に展開する人間ドラマに胸を動かされるはずだ。監督は「Gメン'75」にオマージュを捧げているが、そのオリジナルを知らなくても十二分に楽しめる、香港アクション持つ面白さが集約された作品になっている。もちろん、「Gメン'75」のファンにはぜひ足を運んでもらいたい。

キャスト・スタッフ

出演:
ヴァネス・ウー/ショーン・ユー/ホアン・シェンイー/シア・ユイ/サモ・ハン/マイケル・ビーン
監督:
ダニエル・リー
アクション監督:
チン・ガーロウ
脚本:
ダニエル・リー/ラウ・ホーリョン
製作総指揮:
スティーヴン・セガール/キャサリン・ハン
音楽:
イ・ビョンウ
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