ドラゴン・プロジェクト

イントロダクション&ストーリー

整体院を営むシウボウはイルカの調教師として働く長男のニッキー、高校生の長女のナタリーと暮らしている。妻は子供たちが幼い頃に亡くなり、彼は男手ひとつでふたりを育ててきたのだ。この日、シウボウは娘を迎えに来た高校の前で、いつも通りの自分の武勇伝を高校生たちに披露していた。それは娘にとっては幼い頃から聞かされてきた辻褄の合わないホラ話、息子にとってもそれは同様だった。食事の席でシウボウはいつものように最新の面白い話を聞かせるが、息子は気に入らないように席を立ってしまう。息子と娘に嫌われている寂しさを、シウボウは妻の写真に向かって語りかけるしかなかった。

そんなある日、シウボウが何者かに襲われ、姿を消してしまう。その組織はニッキーとナタリーにも襲い掛かり始める。幼い頃から父親にカンフーの手ほどきを受けていたふたりは何とか危機を脱するが、父親には身の危険が迫っていた。それはあの武勇伝のホラ話が真実であったがゆえに起こった出来事だった。

コラム・見どころ

香港オールスターともいうべき豪華なキャストが集結し、御大ジャッキー・チェン製作総指揮により『エンター・ザ・フェニックス』で最高の劇場長編監督デビューを飾った大人気俳優のスティーブン・フォン。ジャッキー・チェン自身がその才能を絶賛したように、『エンター・ザ・フェニックス』は往年の香港映画を思わせるノワール、アクション、そしてコメディの要素が融合したエンタテインメント作品だった。この『ドラゴン・プロジェクト』はそんなスティーブン・フォンが監督としての真価を発揮した長編第2作目の作品となる。

今回の作品でスティーブン・フォンが挑むのは香港映画の王道ともいうべきカンフー映画の世界。カンフー映画にも様々なタイプのものがあるが、師匠でもあるジャッキー・チェン譲りのコミカルな要素を持ったカンフー・エンタテインメントである。そしてこれもジャッキー・チェンと同じく、この作品ではスティーブン・フォン自身が主演を演じている(前作と同様に脚本も彼自身手によるもので、今回も前作以上の八面六臂の活躍だ)。その他の出演者はアンソニー・ウォン、ジリアン・チョン&シャーリー・チョイのアイドル・デュオTWINS、ダニエル・ウー、マイケル・ウォン、ウー・マなどのこれまた豪華な面々。ただし、デビュー作のようなカメオはなく、今回はアクションに比重を置きながら、誰もが楽しめるエンタテインメントに徹した作品を作り上げている。

「アクションを素晴らしいものにしなければならないと思った」と語るスティーブン・フォンは武術指導アドバイザーに『マトリックス』など世界を舞台に活躍するユエン・ウーピンを指名。冒頭のアンソニー・ウォンによる忍者のような敵とのワイヤーを活かしたシーン、工事現場の足場を縦横無尽に使ってのスティーブン・フォン、ジリアン・チョンと敵とのシーン、長刀使いが素晴らしい少年との刀を使ったシーンなど、様々なスタイルが取り入れられたアクションは本当に素晴らしい。しかも、最近はニヒルな役ばかりの印象が強いアンソニー・ウォン、TWINSのジリアン・チョンといった普段はアクションと縁のないであろう俳優たちが最高の体のキレでアクションを行っているのだ。これには香港映画の奥深さを感じるはずだ。

その他、スティーブン・フォンとジリアン・チョンの些細なことでのいがみ合いの兄妹喧嘩もカンフーになってしまうシーン、アンソニー・ウォンがあのブルース・リーの物真似をするシーン、人体模型の骨を使用してのヌンチャクのシーンなど遊び心に満ちたアクションも最高だ。こういったシーンに大笑いしながら、物語は佳境へとグイグイと突き進んでいく。そういった点ではこの作品も監督デビュー作である『エンター・ザ・フェニックス』と同様に往年(1980年代)の香港映画のノリを持ったものとなっている。スティーブン・フォン自身がそこを目指しているわけではないだろうが、彼自身の中にそうしたエンタテインメントの要素が満ち溢れていることだけは確かだろう。

この作品は香港でも熱狂的に受け入れられたというが、観ればそれも十二分に納得するはずだ。監督第1作目は豪華スターに支えられたと言われたかもしれないが(決してそんなことはない)、この作品でスティーブン・フォンはこれからの香港映画界を担う監督のひとりとなったことだけは間違いない。すでに控えているであろう3作目がどんな作品になるのかも本当に楽しみだが、それまではこの『ドラゴン・プロジェクト』とデビュー作の『エンター・ザ・フェニックス』というエンタテインメント性に満ちた香港映画らしい香港映画を存分に楽しもうと思う。

キャスト・スタッフ

出演:
アンソニー・ウォン/スティーヴン・フォン/ジリアン・チョン
監督:
スティーヴン・フォン
製作総指揮:
ジャッキー・チェン 
製作:
ウィリー・チャン/ソロン・ソ
脚本:
スティーヴン・フォン
音楽:
ピーター・カム
撮影:
プーン・ハンサン
武術指導:
ユエン・ウーピン
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