デイジー

イントロダクション&ストーリー

画家の卵であるヘヨンは平日の昼間は祖父の経営する骨董店で働き、週末は観光地のある広場で似顔絵描き、夜は自らの個展に向けての作業に追われている。そんな彼女の元には定期的にデイジーの鉢植えが届けられていた。それはあの田舎で起こった出来事で彼女を助けてくれた顔も名前も分からない運命の人からのものだと彼女は信じていた。ある週末、いつものように広場で似顔絵描きの仕事をしていると、同じ韓国人と思われる男性が席に着き、肖像画を描いて欲しいと頼んできた。その男の傍らにはデイジーの鉢植え、彼女は彼こそがあの運命の人だと確信する。しかし、男は数分もすると「時間がないのでまた来ます」と立ち去ってしまった。翌日、再び現れた男はまたすぐに立ち去ってしまうが、会う回数を重ねるごとにふたりは親密さを増していった。男の名はジョンウという。実はジョンウは彼女が運命の人と確信していた人物とは別人だった。彼女にデイジーを贈り続けていた人物はこのふたりの関係もずっと追い続けていた。彼の名はパクウィ。この3人は運命に導かれるように交わっていく。

コラム・見どころ

香港と韓国の精鋭のコラボレーションが生み出したファンタジックなラブストーリー。

『私の頭の中の消しゴム』で日本でも完全にブレイクしたチョン・ウソン、『猟奇的な彼女』、『僕の彼女を紹介します』のチョン・ジヒョン、『氷雨』、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』のイ・ソンジェという“韓流”ファンにとってはそれだけでも魅力的なキャスト。ここに『インファナル・アフェア』シリーズを生み出し、ハリウッドへの進出も決定している、香港映画界を代表する監督アンドリュー・ラウが絡むとなると香港映画好き、“韓流”に余り興味のない映画ファンにとってもぐっと来る何かがあるのではないかという期待が生じてくる。そうした期待を裏切らない、様々な映画ファンが楽しめるものにこの作品は仕上がっている。

そもそもこの作品が韓国の俳優陣とアンドリュー・ラウ監督とのコラボレーションになったのは、完成した脚本を読んだプロデューサーの「脚本が素晴らしかったので、これは韓国映画に留めておくのは惜しい、もっと大きなプロジェクトにしたい。」という判断からだった。この脚本にはラブストーリーの要素とノワールのテイストがあるため、その両方を撮ることが出来る監督ということで白羽の矢を立てられたのがアンドリュー・ラウ。脚本を読んだアンドリュー・ラウは「読んだ瞬間から、僕が撮るしかない運命的なものを感じた。全く新しいラブストーリーになる予感があった。」と語っている。

作品は最初にチョン・ジヒョン演じる女性、その後にイ・ソンジェ演じる男性、そしてチョン・ウソン演じる男性それぞれのプロフィールが彼らのモノローグと映像によって描かれていく。チョン・ジヒョン演じる女性が「この人が運命の人だ」と確信した出来事もイ・ソンジェ演じる男性からすれば“偶然の産物”でしかないのだが、その“偶然の産物”が互いにとってどうしても欠かせないという想いを生み出していく。本当の当事者であるチョン・ウソン演じる男性はその状況をただ見守るしかない。見守るしかないのは女性の幸福を誰よりも彼が願っているからだ。しかし、彼自身が女性に接近せねばならない、近づけるチャンスが巡ってくる。書いてしまえば、誤解から生まれた本当の愛と誤解からはじかれた本当の愛というありがちな物語であるのだが、それぞれの視点と思い込みによって見えるもの、信じることが全く違ってくること、それを生み出した偶然というタイミングを描いていくこの手法が役者の演技と相まって、効いているのだ。

また、作品全体には『デイジー』の花のように乾いた、カラッとした空気が漂っており、このことが物語にファンタジーのような側面を生じさせ、ロマンチックな気分に浸らせてくれる。これは韓国でも香港でもアジアでもない、ヨーロッパのオランダを舞台としたこと、香港映画界で様々な作品を撮ってきたアンドリュー・ラウの演出によるところが大きいのだろう。

この作品はチョン・ウソン、イ・ソンジェ、チョン・ジヒョンのファンはもちろん、一般的な映画ファンにも楽しめるものに仕上がっている。この作品以外にもアジア圏域では様々なコラボレーションが行われているが、こういった作品がどんどんと生まれていくことで、アジア映画の面白みも深まっていくはずだ。

キャスト・スタッフ

出演:
チョン・ジヒョン 『猟奇的な彼女』/チョン・ウソン 『私の頭の中の消しゴム』/イ・ソンジェ  『氷雨』
監督:
アンドリュー・ラウ
プロデューサー:
チョン・フンタク
サウンド/デザイナー:
梅林茂/チャン・クォンウィン
美術:
ビル・ルイ

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