デュエリスト

イントロダクション&ストーリー

舞台は朝鮮王朝時代。王朝の混乱に乗じて、市中には大量の偽金が出回っていた。この日、捕盗庁の刑事たちは市場で潜入捜査を行っていた。その時、泥棒という声が響き渡り、市場はちょっとした混乱となる。潜入捜査をしていた若い女刑事のナムスン、彼女の先輩であるアンらは泥棒を追いかけ始める。その頃、同じ市場で、仮面をつけ、剣の舞を披露していた男が金の仏像を受け渡している男たちを斬りつけ、それを奪い逃げ始める。その場面を目撃したナムスンは男を追い、剣を交える。男の仮面が割れ、金の仏像も割れる。金の仏像からは偽金用の鋳型が落ち、割れた仮面からは“悲しい目”をした美麗な顔がのぞいた。男を取り逃がしたナムスンは偽金事件の容疑者であるこの男を追い続けることになる。

コラム・見どころ

市中に氾濫する贋金。その出所を追う刑事たち。朝鮮王朝の時代を舞台に“悲しい目”をした事件の重要人物とそれを追う女刑事の許されぬ想いを描いた、カン・ドンウォンとハ・ジウォンという韓流若手スター主演の話題作。

オープニングのこの市場のシーンから、この作品は今までの韓国映画とは違う感触に満ちている。それは映像の質感に最も現れている。市場の中の幕など多用な色彩、多彩なカメラワーク、大胆な編集。台詞も決して多くなく、役者の動きと躍動感溢れる音楽がこうした映像と一体になり、リズミカルに物語が流れていくのだ。その分、物語の骨子が分かり難いという部分も生まれているのだが、これは監督があえて狙った部分だろうう。

物語は“誰が何の目的で偽金を偽造、流通させているのか”というミステリアスなテーマも持っているのだが、“悲しい目”をした美麗な顔の男とナムスンの悲恋ともいうべき物語が中心になってくる。偽金事件の容疑者であるその男を追いながら、時には命をかけて剣を交わすことで彼女は自分の中に今までなかった感情が沸き起こってくること、迷いを知るのである。そして、ナムスンは重要な捜査のためにその男が暮らす、王朝の重要人物の家へ女中として忍び込むことになる。

イ・ミョンセ監督はこの作品の売りのひとつであるアクションについて「肉体のアクションではなく、感情のアクション」を描こうと思ったと語っているが、ふたりは剣を交わすたびに、お互いの中で今までになかった感情がわきあがってくることになる。そのためにこうしたアクション・シーンは剣術などの型から入るのではなく、タンゴなど互いの感情が通じ合わなければならないダンスなどから入っていったという。本格的なアクションを期待すると肩透かしを食うかもしれないが、逆に監督の狙ったアクションは華麗さ、美しさだけでなく、徐々に官能的な部分も生み出している。剣術ではなく“舞”、“会話”と考えた方がしっくり来るかもしれない優雅さがあるのだ。

少年のような刑事ナムスンが少しずつ女性的になっていく様を演じるハ・ジウォン、人情味に溢れる彼女の先輩刑事アンを演じるアン・ソンギも素晴らしいのだが、“悲しい目”をした美麗な顔の男を演じるカン・ドンウォンの存在感が圧倒的だ。監督は彼に会ってすぐに「この役は彼しかいない」と確信したというが、剣のアクション・シーン以外はほとんど動きもなく、台詞はほとんどないにもかかわらず、その美しさでスクリーンに目を釘付けにしてしまう。それはカン・ドンウォンが好きなら、何度でも通い詰めたくなるほどのものだ。

“追うものと追われるもの”、“善と悪”・・・・、それらのものが辿る末路と同じような結果がこの作品でも起こる。それは“悲”である。でも、“悲”は“悲”のままでは終わらないというラストシーンはこの作品の大きな見せ場となっている。ほとんど互いの肌すら触れ合うことのないふたりは剣を交し合うことで最高の喜びを手にし、心の底から変化していくのだ。

この作品、韓国で公開されたものと日本で公開されるものは編集により若干の違いがあり、これからフランスなどで公開されていくものもこれらのバージョンとはまた違った編集が施されていくという。これは監督がその国の観客の感情を考え、行っているものだという。映画は編集が肝とはいわれるが、この作品自体が大胆な編集が行われている作品でもあるので、機会があったら、それらの作品を見比べるのもファンにとっては楽しみになるのではないだろうか(DVD化の際にはディレクターズ・カットがあったりして)。

“物語ではなく、映像的な美”、“台詞ではなく、動き”で通じ合いたいのに通じ合えない立場にあるふたりの想いを描いたこの作品には「美しい」、「こうして欲しかった」など様々な感想があるだろう。でも、カン・ドンウォンのファンにとっては最高の作品であることだけは間違いないはずだ。

オフィシャルサイト: http://www.duelist-movie.jp/

キャスト・スタッフ

出演:
カン・ドンウォン 『彼女を信じないでください』/ハ・ジウォン 『恋する神父』『愛しのサガジ』/アン・ソンギ 『MUSA 武士』『シルミド/SILMIDO』/ソン・ヨンチャン
監督:
イ・ミョンセ『NOWHERE 情け容赦無し』
撮影:
ファン・ギソク『友へ チング』
音楽:
チョ・ソンウ『四月の雪』
美術:
チョ・グニョン/イ・ヒョンジュ

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