ディバージェンス-運命の交差点-

イントロダクション&ストーリー

警察の顔的な役割も担っていたことがある刑事のシュンはカナダから香港まで重要な証人を護送していた。その機内で彼はある女性を目撃し、心の内側へと入り込んでいく。彼の恋人は10年前に失踪し、そのことから彼は全く立ち直る事ができず、彼女がいつか戻ってくるとどこかで確信しているのだ。

彼が護送している証人は香港の有数の実業家であるイウのマネーロンダリングの重要な鍵となる男だった。しかし、彼らが空港に無事到着し、車で走り出したその時に銃弾が天上から襲い掛かる。証人は即死し、事件は闇の中へと放り込まれてしまう。この殺しを実行したのはフリーの凄腕の殺し屋であるコークだった。

事件の現場から血まみれのままでイウの会社へと乗り込んだシュンはそこでどうしようもない怒りの気持ちをぶつけるが、イウの右腕である敏腕弁護士のトウによりあまりにも冷静な対応を受けてしまう。重要な証人を射殺されたこと、イウの会社で行った失態により、シュンは自らの刑事としての立場を徐々に追い詰められていく。

コラム・見どころ

アーロン・クォック、イーキン・チェン、ダニエル・ウーという香港の3大スターが競演した、先の展開が読めないミステリアスでサスペンスフルなノワール作品

この作品はアーロン・クォック、イーキン・チェン、ダニエル・ウーという香港の3大スターが競演、日本でもヒットをしたジャッキー・チェン主演の香港復帰作でもある作品『香港国際警察/NEW POLICE STORY』、『ジェネックス・コップ』のベニー・チャンが監督であるということで製作段階から大きな話題を提供していた。作品の製作費は香港映画としては破格の4000万香港ドル(日本円で約6億5千万円)を費やしている。

この作品でアーロン・クォックは刑事、イーキン・チェンは実業家の右腕である敏腕弁護士、ダニエル・ウーは凄腕の殺し屋を演じている。物語はこの3人それぞれの抱えたものがひとつの事件をきっかけに交わり、何かが起こり、事件が解明していくという『インファナル・アフェア』シリーズ以降の香港映画が生み出したスタイルとなっている。刑事にとって重要な証人が殺されたとなれば、その事件の本丸である実業家の右腕の弁護士と衝突するのは必然的なものだが、ここで面白いのは姿を見せるべき存在ではない殺し屋がしゃしゃり出てくることだろう。そこには当然、大きな理由がある。

この作品はミステリアス・タッチのサスペンス・ノワールものなのだが、アーロン・クオック演じる刑事、イーキン・チェン演じる敏腕弁護士、ダニエル・ウー演じる殺し屋それぞれのキャラクターがしっかりとしているのが大きな魅力となっている。誰もが大きな悩みや過去を抱え、細い橋から転げ落ちようかとしている完璧ではない人間なのだ。知的さ、冷血さと家庭的な面を持つ弁護士を演じるイーキン・チェンというのは新境地であろうし、飄々としたクールさを持ったダニエル・ウー演じる殺し屋も魅力的だ。その中でも彼女が失踪したことから精神的不安定さを持っている刑事を演じるアーロン・クオックは特に光っている(台湾金馬奨 最優秀主演男優賞 受賞、香港電影金像奨 最優秀主演男優賞 ノミネート)。弁護護士の妻と刑事の記憶の中の彼女の2役を演じるアンジェリカ・リー、の手の香港映画には欠かせない俳優であるエリック・ツァンなど脇の俳優も印象的だ。

作品の見所のひとつは刑事と殺し屋が頭からビニール袋を被されての窒息寸前の、観ている方が本気でハラハラするほどの壮絶なアクションシーンだろう。この決戦の場所となる市場に至るまでのアパートを飛び降り、高速道路を走りというチェイスも素晴らしい。その他にも印象的なシーンがいくつもある。ただ、コンプレックスしたスピーディーな物語であるため、ついていくのがやっとといった感を抱く方もいるかもしれない(とにかくエピソードはボリューム一杯なのだ)。でも、そういった部分も主演の3人のキャラクター、思わぬ展開が補ってくれることは間違いないだろう。

役者の味わい深さ、圧倒的なアクション、物語展開の豊かさなど現在の香港映画の面白みはこの作品にきっちりと詰め込まれている。『インファナル・アフェア』シリーズ以降、確実に面白くなってきている香港映画の真髄を示す1本だろう。

キャスト・スタッフ

出演:
アーロン・クォック 『アンナ・マデリーナ』『SPY_N』/イーキン・チェン 『ツインズ・エフェクト』『ヒロイック・デュオ 英雄捜査線』/ダニエル・ウー 『80デイズ』『香港国際警察/NEW POLICE STORY』/アンジェリカ・リー 『The EYE』
監督:
ベニー・チャン『香港国際警察/NEW POLICE STORY』『ヒロイック・デュオ 英雄捜査線』
脚本:
アイヴィ・ホー『アンナ・マデリーナ』
美術監督:
ウィリアム・チャン『2046』
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