緑茶

イントロダクション&ストーリー

大学院に通う、内気な性格の女性ウー・ファンは自分のふさわしい男性を求めて、ブラインド・デートを繰り返していた。その際に彼女はひとつのルールを決めていた。それは緑茶を注文すること。グラスの中に落とした茶葉の開き方で、相手の男との恋の行方を占っているのだ。その緑茶占いは彼女が友人から教えてもらったものだった。この日、彼女が逢った男性はチン・ミリャン。彼は彼女に惹かれていき、何度となく、半ば強引にデートへと誘い出すが、うまくいくのか、いかないのか、さっぱり見当がつかない。彼女と喧嘩別れをしたある夜、彼は友人と行ったホテルのラウンジで彼女に瓜ふたつの女性がピアノを演奏している姿を見かける。友人によれば、彼女は誰とでも寝る女なのだという。疑心暗鬼で彼女に声をかけると、そこにいたのはあの大学院生とは全く正反対の奔放な性格の女性で、彼はベッドを共にする。そして、ふたりの女性の間で男の心はあの茶葉のように揺れ動いていく。

コラム・見どころ

ルックスは同じなのに性格は正反対の女性、そこに翻弄されていく男。中国映画界の奇才チャン・ユアン監督が最先端の北京を舞台に描く、スタイリッシュでミステリアスなラブ・ストーリー。

この作品を観ると、自分たちが持っていた中国映画のイメージが変わってしまうのではないだろうかと思う。美しい映像、アンビエントな電子音楽、筋道の見えない物語展開・・・・、「どこかのヨーロッパの監督がアジアの俳優を使って撮ったんだよ」と言われれば「あ、そうなんだ」ときっと納得してしまうであろう世界がここには広がっているのだ。とにかく出てくる場所がここが中国とはとても思えないファッショナブルな場所ばかりなのだ。実際、この作品でロケーションとして使われている場所は最先端の、ヒップな北京なのである。この作品を観光ガイドにするという手も「あり」だと個人的には思ってしまうほどだ。

チャン・ユアン監督は中国映画の“第六世代”(1960年代から1970年代にかけて生まれた監督、1980年代後半以降に作品を発表してきている監督たちと括られることが多い)を代表する監督のひとりである。これまでにベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『ただいま』、独自の英語勉強法を知らしめるために中国を講演して歩く青年の様子を捉えたドキュメンタリー作品『クレイジー・イングリッシュ』、ありふれた愛が壊れるまでの様子を生々しく捉えた『ウォ・アイ・ニー』などが日本では公開されている。共通性はないのだが、どれもが魅力的なものをもっている。その中でも映像的な魅力に満ちているのが、この作品であることは間違いない。色味といい、捕らえ方といい、とにかくスタイリッシュのひと言に尽きる映像が展開しているのだ。撮影を担当しているのはウォン・カーウァイ監督の作品でおなじみのクリストファー・ドイルで彼らしい映像も堪能できるのだが、この完成された独特の雰囲気を生み出したのはチャン・ユアン監督のセンスゆえだろう。

作品のタイトルは女子大生が男と会うときには必ずしているという、友人から聞いた緑茶占いからきている。彼女はグラスの中に茶葉を落とし込み、その茶葉が開いていく揺らめきで男との愛の行方を占っているのだ。占いの結果がどうなるのかは分からないが、茶葉の揺らめきのように男はふたりの女性の間で揺れ動いていくわけだ。こんな占いをやってもらいたいかと問われれば、あの女性ならねと答えるかもしれない。

その正反対の性格を持つ女性ふたりを演じるのは中国新四大女優のひとりであるヴィッキー・チャオ。彼女たちに翻弄される男を演じるのは中国を代表する男優にして監督のジャン・ウェン。映画はこのふたりだけのものといっても過言でないほど、役者としてのふたりの魅力に覆われている。毅然としたヴィッキー・チャオとどこかコミカルなジャン・ウェンという絵柄もすごくいい。

最先端の北京を舞台にひとりの男とルックスは同じなのに性格は正反対の女性との間で恋の駆け引きが生まれてくる。ふたりの女に翻弄されながら、男はこれは同じ女ではないだろうかと疑心暗鬼になっていくのだ。この正反対の性格を持つ女の関係は・・・・、そこは劇場で味わってもらえればと思う。

キャスト・スタッフ

出演:
ジャン・ウェン/ヴィッキー・チャオ/ファン・リジュン
監督:
チャン・ユアン 『ただいま』『ウォ・アイ・ニー
撮影:
クリストファー・ドイル 『HERO』『2046』

(C)保利華億傅媒文化有限会社

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