the EYE2

イントロダクション&ストーリー

タイのバンコクにあるショッピングモール。ここでジョーイという女性が男に贈るネクタイをどれにするか迷っている。離れた地にいる男に「緑色は好き?」と携帯電話で確認を入れるが、ほとんど相手にされない。彼女は男に捨てられたのだった。その後もカードで買い物をしまくった彼女はホテルに戻り、多量の睡眠薬を貪り、自殺を図る。しかし、その自殺は未遂に終わる。その時から、彼女には見えないものが見えるようになっていた。

コラム・見どころ

角膜移植により見えないものが見え始める恐怖を描き、ホラー映画としてアジア映画史上に残る大ヒットを記録した『the EYE【アイ】』。トリロジーとなるこの第2弾『the EYE2』では妊婦に恐怖が襲い掛かる。

1ヵ月後、香港で彼女は自分が妊娠していることを知る。彼女は中絶を考えるが、過去にそうした経験があるため、医者は乗り気ではない。それでも中絶をしようとしていたが、お腹の生命の映像を見せられ、気持ちが傾き、最後は産むことを決意する。しかし、その頃から彼女は更に見えないものが見えるようになり、精神的に追い詰められていく。

ホラー映画としてアジア映画史上に残る大ヒットを記録した『the EYE【アイ】』は角膜移植手術を受けた少女がその1週間後に自殺をした、という実際に起こった事件を下敷きとして製作された“見えないものが見える”恐怖と切なさが同居するホラーであったが、この作品は実話をベースにしてはいないものの、“見えないものが見える”恐怖と切なさというテイストはきっちりと受け継いだ作品となっている。ただし、物語の舞台、登場人物などは前作とは関連のない、全くのオリジナルとなっている。

では、この作品が『the EYE【アイ】』と全く別物かというとそんなことはない。主要となるスタッフは監督、編集にパン・ブラーザース(オキサイド・パン&ダニー・パン)、製作にピーター・チャン、脚本にジョジョー・ホイ、撮影にデーチャー・スィーマントラなど、『the EYE【アイ】』の面々が携わっている。『the EYE【アイ】』というアジア映画に大きな足跡を残したスタッフたちが新たなステージに挑んだのが、この『the EYE2』でもあるのだ(そして、この『the EYE』シリーズは3部作となっており、この『the EYE2』の後には『the EYE3』の公開も控えている)。

この作品の恐怖はトラウマになる、ふとした瞬間に思い出し、嫌な気分になってしまうというものである。映像的に映し出される“見えないもの”はその効果的な音響と相まっても極まるような恐怖感はあまり感じない。物語自体も前半はわざとぼかしている部分も多いため、見えにくくなっている。それが中盤以降、一転してくる。身につまされるような恐怖に捉えられていくのだ。特に女性、中でも妊婦は相当に残るものがあるのではないだろうか。これがこの作品に“恐怖のマタニティ・ホラー”というコピーが名づけられた所以でもある。ホラー映画が妊婦とそのお腹の中の子に及ぼす影響は相当に大きいということを耳にしたことがあるが、この作品は捉え方によってはそうなるだろう。ただ、それだけではなく、この作品には切なく、胸にジワーっと湧き上がってくるような感動、後味が残されている。ここが本当に素晴らしい。

主演は日本での人気は今ひとつの感もあるが、アジアでは絶大な人気を誇るスー・チー。男に捨てられた痛手と“見えないものが見える”ことにより精神的なバランスを完全に崩してしまう女性を見事に演じている(その奇行がマタニティ・ブルーとして処理されるのもうまいというか、可笑しい)。なんというか、スー・チーのあの顔自体が鬼気迫るものを持っており、それがこの物語とうまく結び尾付いたなという印象もある。

トラウマ的な恐怖を持っているが、そのトラウマは余りにも切なく、救いを持っているような流れへと繋がっていく。そこから生み出されていくものは恐怖以上に感動的ですらある。パン・ブラーザースらしいスタイリッシュな映像も効果的だ。前作の方を支持する人が多いだろうが、そうした前作との比較ではなく、独立したものとして、この作品も相当にいいものとなっている。ちなみに前作の『the EYE【アイ】』と同様にこの作品もハリウッド・リメイクが決定しているという。

キャスト・スタッフ

出演:
スー・チー『クローサー』『トランスポーター』/ジェッダーボーン・ボンディー//ユージニア・ユアン/フィリップ・クォック
監督:
パン・ブラザース
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