盗られてたまるか

イントロダクション&ストーリー

物語の主人公はゲーム・プログラマーとして大ヒット作を生み出し、欲しいものは何でも手に入る男 チェ・ガンジョ。そのルックス、生活スタイルと相まって、彼は時代の寵児としてもてはやされている。そんな彼は隠された趣味を持っていた。それは泥棒だった。

ある日、彼は何もない土地にぽつんと建つ豪邸に忍び込む。そこで彼が出会ったのは巨大な液晶TVと冷蔵庫に入った得体の知れない、刺激的な料理だった。その料理に魅入られた美食家の彼は自宅でそれを再現しようと試み、その料理を味わうために再び、あの豪邸へと忍び込む。

実はその料理を作っていたのはもうひとりの主人公である公務員のコ・サンテの妻だった。味覚障害のため。酸味と辛味が区別できない妻は常に見掛けは素晴らしいが、味は壮絶な料理を作り出していた。味覚障害は彼の娘と息子にも遺伝。彼は妻には相手にされず、娘や息子にも馬鹿にされるという辛い思いをしていた。しかも、泥棒の前で気絶するという醜態までさらし、父親としての権威は地の底にまで落ち込んでいた。そんな彼は泥棒を捕まえ、男になろうと武術を学び始めるのだが。

コラム・見どころ

全てにおいてパーフェクトだからこそ、刺激を求めて泥棒稼業を楽しむ男をTVドラマ「バリの出来事」で人気のソ・ジソブが演じた韓国映画らしいコメディ作品。

この作品の主役は実はソ・ジソブではなく、小心な父親を演じるパク・サンミョンである。『花嫁はギャングスター』でもヤクザを妻に持った小心者の公務員の男をコミカルに演じていたが、この作品でもそのテイストは存分に活かされている。パク・サンミョンが演じる課長という役職がついた公務員コ・サンテはその役職に見合わない豪華な家に暮らしている。実はこの家は妻の両親の力があったからこそ、建てられたもの。妻の父は高名な発明家なのだ。でもその発明家としての想像性と母親の味覚障害が妻に遺伝として受け継がれたことが、コ・サンテにとっては最悪の状況のひとつ、あの料理を生み出したのだった。料理が趣味で、料理本を読む妻はそこにオリジナリティという創造性を入れ込んでしまうのだ。その結果が「美しいものには毒がある」というような料理である。この日も彼の部下がその犠牲となっていた。

一方、ソ・ジソブ演じるゲーム・プログラマーのチェ・ガンジョはもって生まれたルックスもあり、時代の寵児、カリスマ的存在として持て囃されている。手に入れられるものは全て手に入れたはずなのだが、それでも満たされない何かがある。そんな時、彼は泥棒という作業を楽しむのだ。赤外線が縦横に走る現場を飛び越え、金庫を開ける歓びなどは何もにも変えられないスリルと充実感を彼にもたらしてくれる。でも、その泥棒は彼にとっては大切な趣味であるのだから、大きな行動には出ても、大それた事はしない。なんと言ったって、彼は金で手に入るものなら、全てを手に入れることが出来るのだ。そんなチェ・ガンジョがたまたま泥棒に入ったコ・サンテの家で、そのスリル以上の刺激に出会う。それがコ・サンテの味覚障害の妻がつくった料理だった。その料理のために彼はその家に何度も浸入し始める。しかもコ・サンテの妻にはメッセージまで残していく。

愚痴すらも言えずに日記に行き場のない気持ちと希望をしたためるしかなかった父親はある日を境に変わっていく。それは実践派の武道を運があったとはいえ、マスターし、持って生まれた小心を克服したからだった(この武道の師範が相当におかしい)。コメディ映画なんだけど、ここからの展開はそういった部分を超えて、ちょっと感動すらさせるものがある。オヤジというのは生き方が下手なのか、どうも家庭の中で煙たがれる傾向があり、実際にそうなっていることが多いと思うのだが、この映画はそういったオヤジにこそ勇気を与えてくれる物語となっている。こうはうまくはいかないけれども、やはりオヤジが頑張らなきゃいかんよ、そこが家族をまとめあげていくのだよと言っているかのようなのだ。物語のクライマックスはまさにそういったものとなっている。

この作品は日本の小説を映画化したものである(原作は脚本家としても活躍する 斉藤ひろし)。実は武田鉄矢と明石家さんま主演により映画化(1994年)もされているので、こちらが元になっているのかもしれない(当然想像が出来るとは思うが、小心な父親を演じたのは武田鉄矢、泥棒は明石家さんまが演じている)。デイテールなどは大きく変わっているが、その作品と観比べてみる、原作と読み比べてみるのも一考だと思う。

韓流のコメディ作品は庶民性、いい意味でのバタ臭さが売りだが、この作品もそういった典型的なノリを持ったものに仕上がった、多くの人が楽しめる作品だ。ソ・ジソブはもちろんだろうが、作品のバタ臭さ、哀愁を一気に背負うパク・サンミョンにぜひ注目して欲しいと思う。

キャスト・スタッフ

出演:
ソ・ジソブ「バリでの出来事」
パク・サンミョン『リベラ・メ』
監督/脚本:
イム・ギョンス『6月の日記』
原作:
斉藤ひろし著『SF サムライ・フィクション』

2005(C)KOREA PICTURES.

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