君に捧げる初恋

イントロダクション&ストーリー

物語の主人公はティルという高校生。実は彼はイルメという幼馴染に恋して、いや、求婚している。ティルとイルメは生まれてからの時間をほぼ一緒に過ごしている。それはイルメの母親が亡くなったため、ティルの母親が片方の乳をティル、もう片方をイルメに与えて育てたからだ。ふたりは乳飲み仲間なのだ。少年時代、ティルはイルメの父親にあそこに毛が生えたらイルメを嫁にやると約束されたのだが、その約束は果たされじまい。この日も船に乗り込み、橋の上のイルメと彼女の父親、そして通学中の生徒たちに対し、こんなに毛がぼうぼうなのにとアピールを試みた。実はイルメの父親ヨンダルは彼とイルメの通う高校の熱血教師なのだ。 ある日、ヨルダンは生徒の前で、イルメの成績を超えた奴にイルメをやると宣言する。教室は沸立つが、ティルは腑に落ちない。でも、ヨルダンにうまくまかれたかのように勉強に打ち込むことになる。IQは146ありながらも、全国で30万位という最低ランクのヨルダンは努力を重ね、なんと名門ソウル大学に合格。これでイルメは自分のものと思ったティルだがそこには更なる試練が待ち構えていた。

コラム・見どころ

『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンが物心がついてから何十年にもわたるひとりの幼馴染の女性への想いをコミカルに描いたラヴ・ストーリー。

物心がついた頃の初めての恋の相手が幼馴染ということは良くあるが、それをずっと思い続けているということはあまりないと思う。でも、このティルはそうなのだ。それは少年時代に言われた「あそこに毛が生えたらイルメをお前にやる」という大人のたちの悪い冗談のトラウマなのかもしれない。とにかく嘘をつかれて傷ついたという気持ちとイルメへの想いはティルの中で比例するかのようにどんどんと大きくなってきているのだ。ティルはイルメの目の前でも「お前が可愛くて我慢できない、どうすればいい?」と嘆きのような、思いつめるような告白までしている。ふたりの気持ちもきっと通じているはずなのだが、うまく繋がらない。それはあの父親ヨルダンがいるからなのだ。

ヨルダンはイルメが生まれてすぐに愛する妻を亡くしている。それゆえに娘を愛する気持ちは人一倍強い。イルメの幼馴染で、自分の生徒であるティルにも心の底では信頼を寄せている。ティルは問題児として、職員会議で退学させるという議題にまで上るが、庇うのはいつだってヨルダンだ。ヨルダンは若さゆえの暴走とティルの素直さを知っているのだ。実はティルとイルメの関係がうまくいかないのは、ヨルダンがいるからだけではない。ティルの母も息子を愛するあまり、イルメのことを息子を誘惑するインバイ、乳を飲ませた恩を忘れたかと怒鳴り込む激情タイプなのだ。

オープニングのティルの船の上での男の主張など面白いシーンも満載なのだが、そうした中、ティルとヨルダンのいがみ合いながらも通じ合っていく男の気持ちがいい。この男の関係というのはこの作品の大きなテーマ、物語の流れを決めていくのだが、それゆえにイルメの気持ちは蔑ろにされていく。イルメは彼氏を作って大学生活を楽しみたくて仕方がないのだが、それもこのふたりによりふさがれていくのだ。イルメはティルと結ばれたい、気持ちを確かめたいと思っているのに、ティルはヨルダンとの約束を重要視してしまう。その結果は分かりきったことなのだが、このふたりにはその想像力すらない(というか、お互いがいるから安心しきっている)。物語はここからエンディングに向かって、てんやわんやになるのだが、その辺は作品を観てのお楽しみに。

主演のティルを演じるチャ・テヒョンは最初の暴走系のパーマ頭の高校生が、マッシュルームのような頭になり、服装も発言も落ち着いていくさまを縦横無尽にコミカルに演じている。一方、イルメを演じるソン・イェジン(『私の頭の中の消しゴム』、『四月の雪』)は優しくも凛とした女性を演じている。ヨンギル役のユ・ドングンは『大変な結婚』でも理解力を持つヤクザ一家の兄を印象的に演じていたが、ここでもそうした印象的な、説得力ある演技をみせている。

前半は大いに笑わせながらも、後半でジーンとさせてくれるのはいかにも韓流映画らしい、うまいパターン。それを演じるチャ・テヒョン、ユ・ドングンの縦横無尽の行動はもちろんだが、肝となるのは前半はお人形のようだったソン・イェジンの後半からの動きだろう。でも、だからこそ、その裏にある気持ちは自ずと伝わってくるはず。オリジナルタイトルは『初恋死守決起大会』。物語の内容は『君に捧げる初恋』でもあるが、確かに『初恋死守決起大会』はティルの暴走を考えるとしっくりとくる。初恋を遵守するという発想自体がすごいと思うのだが、この作品は守り、守られようとした者たちのそうした行動が大きく訴えて来るのだ。

キャスト・スタッフ

出演:
チャ・テヒョン『猟奇的な彼女』
ソン・イェジン『私の頭の中の消しゴム』
監督/脚本:
オ・ジョンノク「ハッピー・トゥギャザー」

2003(C)IM Pictures

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