アメノナカノ青空

イントロダクション&ストーリー

物語の主人公は女子高生のミナ。常に左手を手袋で覆っている彼女は学校に親友もいない、どこか陰りを持った少女である。それは彼女が生まれてからのほとんどを病院で過ごしてきたからだった。そんな彼女の親友は母親のミスク。お互いをミナ、ミスクと呼び合い、なんでも相談し、冗談を言い合う親子を超えた関係だ。

ある夜、いつものようにミナがヘッドフォンで音楽を聴き、部屋の窓から外を眺めながら、タバコをふかしていると地上から見ず知らずの若い男が「俺にも1本くれ」と声をかけてきた。仕方なく、タバコと亡くなった父の形見であるライターを投げるミナ。彼は彼女たちが暮らすマンションの下の階に引っ越してきたヨンジュという男だった。結局、大切なライターは返してもらえず、その翌日からヨンジュのミナへの猛烈なアタックが始まる。最初は相手にもしたくなかったミナだったが、次第に彼に好感を抱いていき、ずっと病院で過ごしてきた初めての恋へ繋がっていくというものだ。

コラム・見どころ

『マイ・リトル・ブライド』の公開により日本での人気も急上昇中のキム・レウォンと『箪笥』の主演で大きな注目を浴びたイム・スジョン主演によるピュアで切ないラブストーリー。

物語の展開はなんとなくとも想像がついてしまう。ま、基本ラインは典型的な韓国映画らしい物語なので好きな人にはたまらないのかも知れないが、そこが弱いと感じる向きも多いだろう。ただ、この作品はその辺りをこれでもかというほど“濃く”、“しつこく”したり、典型的なラブ・コメ的展開に持って行くこともしない。物語全体を“さらり”と“爽やか”なタッチで描いていくのだ。これは若手の女性監督の作品であるということが大きな要因だろう。その女性監督はこの作品が映画監督デビュー作となるイ・オニ。彼女はこの作品について「ラブストーリーの中で今まで何度も描かれてきたこと、それには描かれなかった人と人とのつながりを、暖かく、しかもクールな方法で表現した」と語っている。例えば、母親とミナの関係、ミナとヨンジュの関係、そして彼女が通う高校の前で毎日のように交通整理をする男に関する噂、こうした人間の関係が過剰な表現ではなく、隣にあるかのように描かれていく部分は共感を呼ぶだろう。

韓流ファンが最も注目するであろうキム・レウォンは前向きで奔放で、明るさと優しさに満ちたカメラマン役を演じきっている。間の抜けた若者のようでありながらも、その笑顔と行動力でミナを包んでいく様は、スクリーンを見つめる多くのファンも虜にしていくだろう。特に後半になれば、なる程、その演技の説得力は増してくる。実はこの役は彼の出世作であるTVドラマ「屋根部屋のネコ」で演じたキャラクターのギョンミンと似ていた部分が多かったため、キャラクター作りには相当に悩み、撮影現場では監督と意見の衝突を見ることもしばしばだったという。ファンならそういった部分を超えて彼自身が生み出したこのキャラクターを十二分に味わい、愛せるはずだ。

実はこの作品の主人公はイム・スジョン演じるミナである。すでに20代も半ばなのにその少女っぽさからか、この作品でも違和感なく女子高生を演じている彼女は「(女子高生を演じることが)今24歳のイム・スジョンにできる演技であるならば、それはそれで悪くないと思っています」と語っている。イ・オニ監督はこの作品を「ミナの成長映画として捉えています」と語っているが、陰りを持ちながらも子供っぽさが残るミナがヨンジュと出会うことなどで徐々に変わっていく様をイム・スジョンは説得力のある表情で演じきっている。間違いなく、今後も期待できる女優である。彼女の親友を演じる母親役のイ・ミスクも素晴らしい演技を見せている。

邦題である『アメノナカノ青空』はヨンジュがミナに差し出した傘の内側に描かれている青空の絵から取られている。映画の中ではミナの心情をうまく表す小道具として使用されているのだが、この作品の原題は『・・・ing』という。現在進行形を表すこのタイトルは「過去の思い出となってしまった瞬間も、誰かの心の中に刻まれている限り、それが心に残れば、輝かしい現在でありうる」という意味合いからつけられたというが、作品ではそういった部分以外でも様々なこと、状況が進行していく。

“さらり”と“爽やか”なタッチで描こうとした物語は正直、もうちょっと整理すればよかったのにという部分がある(特に前半)。役者陣の演技が申し分ないレベルにあるため、どうしてもその感が強くなってしまうのだ。それでも後半の展開は多くの方の頬を濡らし、心地よい気分に浸らせることは間違いないだろう。キム・レウォンのファンにとっては存分に振りまかれるその笑顔だけでも見逃すことは出来ない作品だ(もちろん、イム・スジョンのファンもね)。また、イ・オニ監督には今後もこのタッチで新たな分野へと突き進むことを大いに期待したい。

キャスト・スタッフ

出演:
イム・スジョン/キム・レウォン/イ・ミスク
監督:
イ・オニ
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ユーザーレビュー

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投稿者:mickey  投稿日:2008/12/20

体の弱いミナが今まで過ごして普通の仲間達が経験する幸せを我慢、耐えてきて、明るく優しい心の持ち主ヨンジェは神様からのプレゼントだと思います。中に青空の写真を描かれた傘をヨンジェがミナに空から渡した瞬間、私は、その傘に描かれた青空はヨンジェの笑顔・暖かさその物の様に思いました。辛い時、悲しい時には僕が(ヨンジェ)ミナを幸せにして挙げるよ�そんなヨンジェからのメッセージの様に思いました。結果、ミナの母もヨンジェのお陰でミナの幸せな姿を見られて、ミナは先に他界しとても悲しいけど、ミナの幸せな姿はずーっと心の中で光輝いている事でしょう。ヨンジェはまるで素のレウォンさんの様でとても自然で良かったです。益々レウォンさんが好きになりました。

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