ブレイキング・ニュース

イントロダクション&ストーリー

作品の舞台は香港。犯罪組織を待ち伏せ捜査する刑事たちが追跡を始めようとしたその時、予想しない状況が重なり、犯罪組織の人間たちと刑事たちの銃撃戦が始まる。逃げる犯罪組織の人間たちに対し、刑事たちは街中で彼らを追い詰めようとする。しかし、この捕り物劇は失敗。しかも交通事故の現場を中継、取材していたマスコミにその様子の一部始終を報道されてしまう。その中には犯人に撃たれまいとし、手を挙げ、命乞いをする警官の姿まであった。マスメディア、市民からの非難を浴び続ける警察は機動部隊にワイヤレスカメラを仕込み、犯罪組織の人間の逮捕までの全てを中継し、名誉回復をはかろうとする。物語は警察内での力関係、マスコミを利用しあいながらの攻防戦などを通しながら、ラストの犯人との対決へと進んでいく。

コラム・見どころ

世界でも最も精力的な映画監督ジョニー・トーがケリー・チャン、リッチー・レンらの香港スターを迎えて送り出す、サスペンスフルな人間ドラマ。

今年は『PTU』、『イエスタデイ、ワンスモア』に続き、この作品が3本目の日本での公開作となるジョニー・トー監督。残念ながら、その内容の面白さに反して、興行は今ひとつという結果に終わっているのだが、この『ブレイキング・ニュース』はその中でも最も完成度が高い作品といっても過言ではないだろう(でも、他の2作も本当に面白い)。警察が名誉回復のために、犯人の逮捕までを中継する、この設定だけでも面白さがあるのだが、こうした部分についてジョニー・トー監督は「「警察の仕事が“犯人をどのように捕まえるか”ではなく“事件を市民にどのように伝えるか?”になっていると思う。世界中の警察で政治的な武器として、そのようなテクニックが必要になってきているんだ。」と現実世界の大きな変化を語っている。ここには失態続きのこの国の警察にも思い当たる節があるのではないだろうか。そして、メディアの発達による犯罪の劇場化もこれに大きな拍車をかけている。

印象的なシーンがいくつもあるが、その中でもクレーンを使い、なめるように銃撃シーンを撮っていくオープニングの長まわし(この作品はこのシーンをスクリーンで観るだけでも映画的な醍醐味が堪能できると断言したい)、ある部屋に人質を取り、閉じこもった犯人たちと人質が気持ちを通わせていく料理&食事(これも料理はうまそうだし、感情がうまく表現されている)が本当に素晴らしい。こうした印象的なシーンを積み重ねながら、物語は最後の対決までサスペンスフルに進んでいく。それは犯罪サスペンスでありながらも、人間対人間の迫真のドラマなのである。

ジョニー・トー監督はこの作品で「自分もフレッシュにする」という意味合いから今まで彼の作品へ出演したことがないケリー・チャン、リッチー・レン、ニック・チョンという3人の香港を代表する俳優を主演に抜擢。もちろん共演にはラム・シュー、サイモン・ヤムというジョニー・トー組ともいうべき常連も顔をそろえている。この役者陣の演技も見事である。

“華流”の盛り上がりが伝えられる中で、どうも日本では盛り上がりに欠ける香港映画、この作品『ブレイキング・ニュース』はそうした部分に風穴を開けるかもしれない上質なエンタティンメント作品である。

キャスト・スタッフ

出演:
ケリー・チャン/リッチー・レン/ニック・チョン
監督:
ジョニー・トー
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