世界

イントロダクション&ストーリー

物語はこの“世界公園”でダンサーとして働く女性や仲間たちの群像劇として展開していく。登場する女性や男性のほとんどはこの“世界公園”で働き、暮らしている。そこにはアトラクションの一環としてロシアなどからダンサーもやってくる。彼らは自国では満足な稼ぎが得られないため、世界のこうしたアトラクションを転々としている。それは相当に辛いことなのだが、“世界公園”という世界から抜け出せず、恋愛など日々の悩みに追いかけられる彼らにとっては羨むべきものなのだ。そんな彼らを羨むのが田舎から抜け出せない仲間たちである。仮に抜け出してきたとしても彼らのような安定した仕事を得ることはまず出来ないのだ。でも、仲間たちはより多く稼ごう、稼げると思い、この都会へとやってくるのだ。

コラム・見どころ

香港で最もエネルギッシュな映画監督ジョニー・トー、香港を代表する俳優アンディ・ラウ、サミー・チェンのトリオによるセレブな泥棒元夫婦の小粋なエンタティンメント作品。

北京電影学院の卒業制作として作成した作品『一瞬の夢』でベルリン国際映画祭の新人監督賞、最優秀アジア映画賞を受賞以降、1作ごとに世界が注目する存在となったジャ・ジャンクー監督の待望の最新作。

“華流”(ホアリュウ)という中華圏の作品を中心としたブームが湧き起こるのはこれからだろうが、“韓流”がスター映画だけでなく、監督の才能(例えば、キム・ギドクなど)に目を向けたのと同様のことが起こってくるのも確実だろう。今回紹介する作品『世界』のジャ・ジャンクー監督はその代表格となるはずだ。

すでに熱心な映画ファンの間では大きな注目を浴び続けているジャ・ジャーク監督は北京電影学院の卒業制作として作成した作品『一瞬の夢』でベルリン国際映画祭の新人監督賞、最優秀アジア映画賞を受賞以降、『プラットホーム』、『青の稲妻』という作品を発表し、世界の映画人の注目を浴び続けていた。これらの作品でジャ・ジャンクー監督が描いてきたのは、監督自身とも重なる現代の中国の若者たちの姿や経済的な格差の拡大など支配体制へのやんわりとした不満、揶揄である。

この作品『世界』は北京郊外に実在するテーマ・パーク“世界公園”を舞台としている。“世界公園”は世界中の著名な建築物のミニチュアが集った公園だという(日本にも似たものがありますよね)。両親が北京にやって来た際にここを案内した監督は「世界が突然、自分たちの身近に思えたが、実際のところは、より遠くなっていた」とその時の気分と相反していった気持ちを語っている。世界に近づいているはずなのに、決してそうではない、その想いがこの『世界』という作品のテーマになっている。

明らかに中国の改革開放路線が生んだ結果のひとつを描いているこの作品だが、グローバリゼーションという瞬間の変化、田舎と都会的な差異に覆われる世界にとってはここで描かれている状況は他人事ではないだろう。世界は無視できないほど近くなっているが、そこはあまりにも遠くなっているのだ。そして僕たちの自身の欲望などに取り囲まれた悩みはより深刻化していく。

作品はジャ・ジャンクー監督の特徴である美しく、リアルな長まわしの映像にアニメーションなどを取り入れるという新機軸も見せながら、明らかに監督の成長と同様に進化した面を見せている。

実はこの作品はジャ・ジャンクー監督にとって初めて中国国内で正式に公開される作品だという。これは世界を見据えた中国政府の大きな変化でもある。そしてこのことは新たな芽を生じさせるはずなのだ。そういった意味では、今後の中国の若手が作り出していく映画は目が離せないだろう。

キャスト・スタッフ

出演:
チャオ・タオ、/チェン・タイシェン、/ワン・ホンウェイ
監督・脚本:
ジャ・ジャンクー
  • コメント

一覧へ戻る