頭文字〈イニシャル〉D THE MOVIE

イントロダクション&ストーリー

友人の樹とガソリンスタンドでバイトをしながら、車を買うことを夢見ている高校生の藤原拓海。彼は稼業である“藤原とうふ店”の配達も手伝っていた。父のハチロク(AE86)に乗っての配達は自然と拓海に完璧なドライビング・テクニックを教え込んでいた。それもそのはず、拓海は秋名最速の走り屋と言われた父・文太の英才教育をこの配達で受けていたようなものなのだ。ある日、チーム「妙義山ナイトキッズ」のリーダー、中里毅が拓海たちのバイトするガソリンスタンドにやって来る。中里の挑戦に樹が受けて立つが惨敗。その夜、中里は峠で信じられない運転をするハチロクを目撃する。またある日、チーム「赤城レッドサンズ」のリーダー 高橋涼介が拓海の父 文太に挑戦を突きつける。だが、父はその挑戦を息子に受けさせる。この勝負に勝てば、拓海は茂木なつきとのデートにハチロクを貸して貰えるのだ。勝負は高橋ではなく、「妙義山ナイトキッズ」のリーダー中里が相手となるが、拓海はその勝負に勝利する。これを契機に周囲の拓海への態度が変わり始める。拓海はなつきへの想いばかりでそんな勝負には関わる気もなかったのだが・・・・。

コラム・見どころ

実写での映像化は実現不可能とされてきたしげの秀一原作の人気レーシング・コミックが、遂に香港で映画化された。『逆境ナイン』や『NANA』、『タッチ』と今年は人気コミックの実写映画化が流行りになりつつあるが、この『頭文字D』はその中でも待望の、究極の実写化といえるだろう。

「香港にはこのような山道がないうえ、原作で描かれたような道路をつくることができない」という監督の意見から、日本の群馬県榛名山(劇中では秋名山)を借りきって行った撮影、そのスケールのデカさは圧巻である。レーシング・バトルのシーンでは1つのショットを撮るためにその瞬間のシーンだけではなく、レースをまるごと撮影。作品の主役であるからこそパーフェクトなものを目指した、こうした車のシーンだけで50日間も費やすという凝りようであった。エディソン・チャンは「レースのシーンは面白かったが、正直怖かった。カーブを曲がるとき、横転してしまうんじゃないかと思うけれど、曲がり切って車道に戻るんだよ」とこの映画の見所であるドリフト・バトルの感想を述べている。

レーシング・バトルはほとんど実写で構成、しかも車のスピードも実際のスピードに近い状態で撮影されており、臨場感、ビート感のある映像に仕上がっている。また、日本でのロケという事もあって、よくある海外の映画の勘違い日本の表現は一切含まれていない。日本で公開されるものに関しては既に日本語が吹き替えてあるので、日本の原作で香港が作った映画という不思議な感覚は感じないであろう。むしろ香港映画だからこそ出来た映画なのかもしれない。

監督は『インファナル・アフェア』シリーズで世界的な成功を収めたコンビ、アンドリュー・ラウとアラン・マック。10年間連載された原作コミックを120分弱の脚本にするため、忠実に原作を表現すべきか、原作を離れても良い脚本に仕上げるべきかなど試行錯誤の結果、原作の要素をうまく盛り込んだファンも納得の作品に仕上げている。残されたエピソードも多く、監督は“パート2”にも意欲を見せているが、大いに期待したい。

主人公の藤原拓海役に台湾・香港・中国大陸・アジア全域で絶大な人気の台湾人ミュージシャン ジェイ・チョウ。「僕が拓海と似ているところは、寡黙なところ。友人にあまり悩みを打ち明けないし、いつもボーッとしている。拓海を演じることで注意したのは、意識しすぎないこと。原作のファンのなかでは、すでに「頭文字D」の世界ができあがってるからね」と彼は語っている。ヒロインの茂木なつき役には映画、TV、舞台にと活躍する鈴木杏。その他、高橋涼介役にエディソン・チャン、中里毅役にはショーン・ユー、拓海の父親文太役にアンソニー・ウォンなど“インファナル・ファミリー”の面々など豪華キャストが集った。ちなみにキャスト全員はクラッシュなど数ヶ月の経験を重ねながら、素晴らしいレーサーとなったが、その中で最も習得が早く、優秀だったのはショーン・ユー。コースを走りながら何度となく華麗なスピンを披露していたようだ。

キャスト・スタッフ

出演:
ジェイ・チョウ/エディソン・チャン/ショーン・ユー/ジョーダン・チャン/鈴木杏/アンソニー・ウォン
監督:
アンドリュー・ラウ/アラン・マック
脚本:
フェリックス・チョン
原作:
『頭文字D』 しげの秀一(講談社刊)
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