南極日誌

イントロダクション&ストーリー

物語の主人公は南極の到達不能点を目指す6人の男たち。1958年にソ連の探検隊がただ1度だけ征服したその地を目指し、6人の男たちは必要な物資を積み込んだソリを引き摺り、ひたすらに白い氷原を進んでいく。ベース・キャンプにはこの探検隊の唯一の女性が残り、通信を中心に様々な業務に没頭している。気象条件などに悩まされながらも、彼らは南極の太陽が完全に沈みきり、一日中が夜に変わってしまう日までに目的地である到達不能点を征服することを目指していた。そんな彼らの様相が変わり始めるのは、風になびくボロボロになったイギリスの国旗とその下に埋まっていた80年前に遭難したイギリス隊の日記を発見してからだった。順調に思われた彼らの行程はまるでその日記に類似するように異変をきたし、犠牲者まで生み出してしまう。隊員に拡がる疑心暗鬼の空気、それを無視し、強引に目的地を目指す隊長。そして、彼らには更なる恐怖が襲い掛かる。

コラム・見どころ

この秋も話題作が続々と待機している韓流作品。その先陣を切って公開されるソン・ガンホ、ユ・ジテ主演による壮大なスケールで描かれる南極を舞台にした探検隊の物語。

隊長を演じるソン・ガンホは「南極という極限状態の中で人間の欲望や根源的な心理を濃密に、精巧に描いている」、隊長を尊敬する最年少の隊員を演じるユ・ジテは「シナリオを読む間中、演技のアンサンブルが魅力的に思えた」とこの作品に出演した理由を語っている。作品は構想から、そのスケールゆえに7年以上の歳月を費やして映画化されている。『オールド・ボーイ』で一躍その名を知らしめたユ・ジテもそれ以前に出演を決定していたという。

実際の撮影は南極ではなく、ニュージーランドで行われたのだが、果てしなく拡がる真っ白な氷原と抜けるような青空、そこを吹き荒れるブリザードなどのスケール、川井憲次による音楽、吹き抜ける風などの音響はとにかくでかい画面、良い音響で観て欲しいと思うほど圧倒的。極限状態の中で徐々に偏重をきたしていくという探検隊を演じるソン・ガンホ、ユ・ジテら役者陣の演技も素晴らしい。ただ、遭難したイギリス隊の日記を発見してから、ホラー、オカルト的な要素が絡むことにより、物語の方向にブレが生じてしまった感があるのが残念だ。南極の到達不能点を私生活を投げ打ち、自分たちの力のみで目指すとなれば、必然的に極限状態にはなるだろう。それを揺らすキーとして、遭難したイギリス隊の日記は分かるが、その後の展開は個人的に本当に残念。これだけのスケールと恐怖を描ける要素があるのにもったいないと感じてしまった。登場人物のひとりにでも思い入れが出来れば、ずいぶんと変わるのだろうが。

監督はこの作品が長編デビュー作となるイム・ピルソン。脚本には『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督も参加している。

キャスト・スタッフ

出演:
ソン・ガンホ 『殺人の追憶』『JSA』/ユ・ジテ 『オールド・ボーイ』/カン・ヘジョン 『オールド・ボーイ』
監督:
イム・ピルソン
音楽:
川井憲次 『リング』『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』
撮影:
チョン・ジョンフン 『親切なクムジャさん』
照明:
パク・ヒョンウォン 『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』
配給:
シネカノン
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